衝突
Conflict自分の第1機能と第2機能と同じ情報要素が、相手の1=4,2=3の位置に入る
他:3=2,4=1,5=8,6=7,7=6,8=5


衝突関係は、いちばん噛み合わない関係です
01衝突関係とは
衝突関係は、自分の主導機能の要素が相手の脆弱機能に、創造機能の要素が相手の規範機能に入る組み合わせです。相手から見ても同じ対応なので、どちらから見ても同じ関係です。2人は対角のクアドラに属し、大切にする4つの情報要素(価値要素)が1つも重なりません。自分がILEなら、相手はESIです。
特徴
衝突関係は、16の関係の中で最も噛み合いにくい組み合わせとされています。ですが、はじめから反発し合うわけではありません。離れて見ているうちは、自分に無い力を持つ相手として、新鮮に映ることが多いようです。
一方、距離が縮まると様子が変わります。アウシュラ・レイニン・フィラトワ・グレンコの4人は、近づくほど衝突が起きやすくなるという点で一致しています。しかも悪意からではなく、ふだんの言葉や親切が相手を傷つけてしまうことがあるとされています。
また、同じ出来事が2人にはまったく別のものに見えることもあります。レイニンの挙げる例では、友人が訪ねてきたとき、ILEは人との交流を喜びます。一方、ESIの目に入るのは散らかった部屋と洗い物です。一方が気にかけていることを、もう一方は気に留めないので、「私の問題を無視している」という不満が生まれやすい関係です。
そのうえ、困ったときに助け合うのも難しいとされています。グレンコは、相手の苦手な仕事を代わりに引き受けられない関係だと書いています。ストラティエフスカヤによれば、衝突の相手は、長所よりも欠点のほうに目が向きやすい相手でもあります。
ですが、フィラトワは、距離を保った衝突関係は支え合う形にもなると書いています。離れた位置からなら、自分に無いものを持つ相手として認め合える関係とも言えます。
付き合い方のコツ
付き合い方の基本は、近づきすぎない距離を保つことです。アウシュラは、感情を抑えて礼儀正しくふるまい、深入りしない「安全な距離」を保つよう勧めています。レイニンの答えにある釣り仲間のように、会う場面が限られていれば、おだやかに付き合えることが多いようです。
一方、家族や共同の仕事のように近くで関わるときは、グレンコの勧めが参考になります。役割と分担を先にはっきり決め、決めた計画どおりに進めます。家事は分担しても、同じ作業を2人並んでしないほうがよいとされています。思いつきの工夫やサプライズも、相手には負担になりやすいので控えます。
また、冗談で場を和ませるのはよいのですが、皮肉は避けます。緊張が高まったら、言い合いを続けるより、別の部屋に移るなどしていったん離れるようにします。
02研究者はどう書いたか
創始者のアウシュラは、『ソシオニクス入門』で衝突関係を「紛争的関係」と呼び、その特徴をこう書いています。
かなり強い引力と危険な衝突の関係である。「安全な距離」にいる限り、互いに引きつけ合い、何らかの能力や身のこなしで賞賛し合う。(中略)まったく意図せず互いを傷つけ合い、しかも最大の信頼のモメントに、最も期待しないときに傷つけ合う。
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Это отношения довольно‘ сильного притяжения и опасных конфликтов. Пока такие люди находятся на «безопасном расстояНИ», они привлекают друг друга, восхищают какими-нибудь способностями, в том числе умением держаться, осанкой. (中略) они совершенно непреднамеренно, неожиданно для себя обижают друг друга, причем чаще всего в момент наибольшего сближения и доверия, когда меньше всего этого ожидают
上の引用にある「安全な距離」は、深入りせずに付き合える程度の距離のことです。言い換えると、離れているうちは認め合えるのに、近づくと意図しないまま傷つけ合うということです。しかもそれが、いちばん信頼しているときに起きると書いています。
では、なぜ悪意なく傷つけてしまうのでしょうか。アウシュラは、一方が軽い気持ちで出すことが相手の脆弱機能に入るからだと推測し、こう続けています。
言葉だけでなく傷つく。同じ程度に微笑み、眼差し、動き、小さな親切の申し出さえも傷つけうる。
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Обижаются не только на слова. В равной мере человека могут обидеть, задеть, унизить улыбка, взгляд, движение, просьба о мелкой услуге или наоборот — предложение услуги.
つまり、相手を傷つけるのは言葉だけではなく、ほほえみや小さな親切の申し出でも傷つけることがあるということです。出す側にとっては自然なふるまいなので、傷つけたことに気づきにくいとも読めます。
そのためアウシュラは、この関係がうまくいくのは、感情を抑えた礼儀正しさで「安全な距離」を保つときだけだと書いています。
レイニンは『ソシオニクス: 類型論・小集団』の質疑応答で、衝突関係の友人とは喧嘩をしないという質問に、こう答えています。
― 私の「衝突」タイプの人々との衝突をどう避ければよいですか?私には友人がいて、われわれは喧嘩しません。一度だけありましたが… ― お分かりになるでしょう、あなたは友人と一緒に住んでいるわけではありません。一緒に釣りに行くだけです。あなたがたは互いに快適で衝突を生まない状況の中で仲良くやっているのです。衝突は近しい関係の中で生じます。
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- How do I avoid conflicts with people of my 'conflicting' types? I have a friend, and we do not fight, it happened only once … - You see, you do not live with your friend. You go fishing together. You get along in circumstances, which are pleasant for both of you, which do not generate conflicts. Conflicts arise in close relationships.
レイニンの答えを平たく言えば、衝突は、一緒に暮らすような近い関係の中で起きるということです。釣りに行くだけの友人となら、衝突の起きない場面だけで付き合えているという見立てです。
レイニンはまた、衝突関係の夫婦を例に、同じ出来事の受け取り方の違いをこう書いています。
二人の人物が衝突関係にある場合を想像してみよう。夫はILE〔原文: ドン・キホーテ〕で、妻はESI〔原文: ドライザー〕である。(中略)友人が訪ねてくるとき、二人の人物はそれをまるで異なる二つの出来事を体験しているかのように、二つの異なる仕方で見る。一方は(中略)肯定的強化を受け、もう一方は客が残した混乱、汚れた皿、カーペットの泥の足跡を見る…。ここでの潜在的衝突は次の通りである。「あなたは私の問題を無視する。」
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Imagine, two people are in a conflict relationship: a husband – a Don Quixote and a wife – a Dreiser. (中略) When friends come to visit the two people see it in two different ways as if they were experiencing to different events: one receives (中略) a positive reinforcement through the third function, while the other sees a mess left by the guests, dirty dishes, dirty footprints on the carpet… A potential conflict here is as follows: “you ignore my problems.”
上の引用にある肯定的強化は、うれしい手応えのことです。例えば、ILEの夫は友人の来訪を人との交流が深まる出来事として喜び、ESIの妻は後片づけの手間として受け取ります。同じ場にいても、2人が気にかけることが重ならないため、「無視された」という不満になりやすいと読めます。
フィラトワは『ソシオニクスの鏡の中の人格』で、『風と共に去りぬ』のスカーレットとメラニーを衝突関係の例に挙げたうえで、実生活についてこう書いています。
実生活においても、実に良好で、支え合うような「衝突」関係が観察されることがしばしばあると指摘しておかなければならない。しかしそれらは常に、距離を保ったものである。パートナー同士が交流の距離を縮めるやいなや、さらに悪いことには結婚するやいなや、衝突は避けられなくなり、多くの場合、その後に離婚が続く。
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Следует заметить, что в жизни часто случается наблюдать действительно хорошие, поддерживающие «конфликтные» отношения. Но они всегда — дистанционные. Как только партнеры сокращают дистанцию общения, хуже того — вступают в брак — конфликты неизбежны и, чаще всего, за ними следует развод.
言い換えると、距離を保ったままなら、衝突関係でも支え合う関係になりうるということです。ですが、結婚などで距離が縮まると衝突は避けられず、離婚に至ることも多いと書いています。
フィラトワは、距離を保った衝突の相手には、自分に無いものを見て賞賛することがあるとも書いています。
ストラティエフスカヤは『お別れしないために』で、双対関係と衝突関係の相手を並べて、こう書いています。
わが双対者ほど、私たちの長所を高く評価する者はおらず、わが「衝突パートナー」ほど、私たちの欠点を見抜く者はいない。
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Никто так высоко не оценивает наши достоинства, как наши дуалы, равно как и никто лучше наших "конфликтеров" не видит наших недостатков.
ここでいう双対者とは、双対関係の相手のことです。双対の相手が長所を高く評価するのとは反対に、衝突の相手は欠点に目が向きやすいという対比です。
ストラティエフスカヤは、ILEとESIの衝突関係を扱った文章で、関係の初めの段階をこう書いています。
関係の初めの段階で、遠い距離にいるあいだ、衝突の相手同士は互いの長所に特に目を留めます。
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На начальном этапе отношений, находясь на далёкой дистанции, конфликтёры особо подмечают достоинства друг друга.
関係の初めは、欠点よりも互いの長所のほうが目に入るということです。アウシュラの「安全な距離」やフィラトワの観察と同じく、離れているうちは認め合えるという見方で、研究者のあいだで一致しています。
ストラティエフスカヤは、衝突の相手に合わせるのは望んでも非常に難しく、事実上不可能な場合があるとも書いています。
グレンコは『64の肖像』で、衝突関係の始まりから緊張が高まるまでの流れを、こう書いています。
このパートナーは、もう一方に対して何らかの異常な影響を与えるため、すぐに注意を引きます。活動領域が分かれていれば、コミュニケーションは概ねもてなしに満ちたものになります。(中略)緊密に働こうとすると、彼の振る舞いはますます混乱を招くものになっていきます。この不一致の結果として苛立ちが蓄積し、当事者がタイミングよく離れなければ、衝突につながりかねません。
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This partner immediately attracts attention with some unusual impact on the other. If the areas of activity are disconnected, then communication is generally hospitable. (中略) When trying to work closely, his behavior becomes more and more disorienting. As a result of this disagreement, irritation accumulates, which can lead to conflict if the parties do not separate in time.
つまり、はじめは相手が強く印象に残り、担当が分かれていれば和やかに付き合えるということです。ですが、一緒に作業するうちに相手のふるまいに戸惑い、苛立ちがたまっていくと書いています。そこで距離を取らないと、衝突につながりやすいとされています。
さらにグレンコは、この関係のいちばんの難点は実際に助け合えないことだと書いています。自分の苦手な仕事を相手に代わってもらえず、外からの攻撃に対して互いを守れないからです。
03しくみ
自分の主導機能・創造機能と同じ情報要素は、相手の側では脆弱機能・規範機能の位置に入ります。 対称関係なので、相手から見ても同じ対応になります。
タイプの組み合わせが変わっても、衝突関係であればこの対応は共通です。ペアごとの対比図と具体的な解説は、下の各ペアのページに掲載しています。
自分の8つの機能の要素が、相手のどの機能に入るかを並べると次のとおりです。
04付き合い方
グレンコは『64の肖像』で、関係ごとに「関係を強めるための推奨事項」を置いています。衝突関係については、次のように書いています。
衝突パートナーと近距離で関わるときは、互いの間で義務を厳格に分担し、確固たる計画に従って遂行しなさい。合理化は、内的な神経質さを抑え、蓄積したエネルギーを家事の維持や外での余暇など、有用な目的に向ける助けとなります。
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When interacting with the conflicting partner at a close distance, strictly distribute the duties among yourselves and perform them according to a solid plan. Rationalization will help you to restrain inner nervousness and direct the accumulated energy to useful things such as household maintenance or outside leisure.
まず、近くで関わるときは役割を厳しく分け、決めた計画どおりに進めるという勧めです。決まりごとで動けば神経質さが抑えられ、たまった力を家事や外での余暇に向けられるとしています。
グレンコは続けて、ユーモアの使い方と離れ方をこう勧めています。
冗談やユーモアで互いを元気づけることが推奨されます。ただし、冗談は注意深くなされるべきで、皮肉は避けるべきだということを覚えておきなさい。緊張が臨界点に達したらすぐに、パートナーの領域から離れなさい。例えば、別の部屋に行くなど。
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It is recommended to cheer each other up through jokes and humor; however, it should be remembered that jokes should be made carefully and should avoid sarcasm. As soon as the tension has reached a critical point, leave your partner’s territory; for example, go to different rooms.
冗談で互いを元気づけるのはよいものの、皮肉は避けるようにとしています。緊張が限界に近づいたら、別の部屋に移るなどして、その場を離れるという具体的な勧めです。
さらにグレンコは、家事の分け方と予定外のことへの向き合い方について、こう書いています。
仲介者を関係に介入させないこと。家事を共同で行いなさい。ただし、同じことを一緒にやらないこと。サプライズや創意工夫を避けなさい。なぜなら、衝突するパートナーはそれに否定的な反応をしがちだからです。
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Do not let mediators intrude in your relationship. Do household duties jointly, but do not do the same thing together. Avoid surprises and inventions, since a conflicting partner is likely to react negatively to them.
上の引用にある仲介者は、2人のあいだを取り持とうとする第三者のことです。言い換えると、家事は2人で分け合っても、同じ作業を並んではしないほうがよいということです。思いつきの工夫やサプライズも、相手には否定的に受け取られやすいとされています。
05まとめ
衝突関係は、自分の主導機能と創造機能の要素が相手の脆弱機能と規範機能に入る関係です。呼び名は研究者でほぼ同じです。アウシュラは「紛争的関係」、ほかの研究者は「衝突関係」と書いています。研究者に共通するのは、離れているうちは認め合い、近づくと悪意なく傷つけ合うという見方です。ですが、支え合えるかどうかについては見方が分かれます。フィラトワは距離を保てば支え合う形にもなると書き、グレンコは互いの苦手な仕事を代わりに引き受けられない関係だと書いています。
該当するタイプペア
+索引(引用文献)
- [1]アウシュラ『ソシオニクス入門』(原題:Соционика: Введение、1998年)第6章 タイプ間関係の理論「紛争的関係」 本文へ
- [2]アウシュラ『ソシオニクス入門』(原題:Соционика: Введение、1998年)第6章 タイプ間関係の理論「紛争的関係」 本文へ
- [3]Reinin『ソシオニクス: 類型論・小集団』(原題:Socionics: Typology. Small Groups.、2010年) 16関係編「質疑応答」 本文へ
- [4]Reinin『ソシオニクス: 類型論・小集団』(原題:Socionics: Typology. Small Groups.、2010年) 16関係編「衝突(Conflict)関係」 本文へ
- [5]Filatova『ソシオニクスの鏡の中の人格』(原題:Личность в зеркале соционики、2001年)第3部 インタタイプ関係「衝突関係」 本文へ
- [6]Stratiyevskaya『お別れしないために』(原題:Как сделать, чтобы мы не расставались、刊年不詳)第II部 冒頭(モデルAの各機能の説明) 本文へ
- [7]Stratiyevskaya『衝突の関係』(原題:Конфликтные отношения: ИЛЭ — ЭСИ (Полная версия)、2009年)衝突関係 ILE–ESI(完全版)冒頭 著者自身のブログ「Соционика от Стратиевской」に再録された著書の章。引用本文は当サイト訳 本文へ
- [8]Gulenko『64の肖像』(原題:64 портрета, или Калейдоскоп в новом свете、2019年)第III部 16タイプ間関係「衝突関係」 底本は英語版。引用本文はその当サイト訳 本文へ
- [9]Gulenko『64の肖像』(原題:64 портрета, или Калейдоскоп в новом свете、2019年)第III部 16タイプ間関係「衝突関係」の「このペアでの関係を強めるための推奨事項」 底本は英語版。引用本文はその当サイト訳 本文へ
- [10]Gulenko『64の肖像』(原題:64 портрета, или Калейдоскоп в новом свете、2019年)第III部 16タイプ間関係「衝突関係」の「このペアでの関係を強めるための推奨事項」 底本は英語版。引用本文はその当サイト訳 本文へ
- [11]Gulenko『64の肖像』(原題:64 портрета, или Калейдоскоп в новом свете、2019年)第III部 16タイプ間関係「衝突関係」の「このペアでの関係を強めるための推奨事項」 底本は英語版。引用本文はその当サイト訳 本文へ
注釈
- ※1MBTIとの対応は機能の並びの解釈にもとづく便宜的なものです。詳しくはMBTIとの違い、MBTIとソシオニクスのタイプはどう対応するのかをご確認ください。
- ※2この位置づけは当サイトの目安です。ソシオニクス理論上の指標ではありません。














