ソシオニクスの15の二分法 · 第2軸(基本の4軸)
直観/感覚
判定ルール: 自我(第1・第2)の知覚要素が直観(Ne・Ni)か感覚(Se・Si)か
直観/感覚は、ソシオニクスにある15の二分法のうち2番目の軸です。16タイプを8タイプずつに分けます。
直観の側は見えない可能性や将来の変化に注目し、全体像とパターンで世界を掴むとされます。
感覚の側は今ここの現実と具体に根ざし、五感と身体の感覚で世界を掴むとされます。
ユングに由来する基本の4軸のひとつで、後年の統計による検証でも強く確認されている軸です。想像力や現実感覚の優劣を測る軸ではありません。ここでは、両極が何で分かれ、どう違って見え、どう見分けるのかを解説します。引用するのは、ユング(Carl Gustav Jung)の原典と、ソシオニクスの創始者アウシュラ(Aushra Augustinaviciute)、レイニン(Grigory Reinin)、フィラトワ(Ekaterina Filatova)の記述、それに統計による検証研究です。
01何で決まるか
直観か感覚かは、そのタイプのモデルA(8つの情報要素を8つの位置に並べた図)から決まります。1番と2番の位置からなる自我ブロックには、知覚の要素と判断の要素が1つずつ入ります。判定に使うのは、自我ブロックの知覚の要素が、直観か感覚かです。
- 自我ブロックの知覚の要素が直観(Ne・Ni) → 直観(ILE・LII・IEI・EIE・ILI・LIE・IEE・EII)
- 自我ブロックの知覚の要素が感覚(Se・Si) → 感覚(SEI・ESE・SLE・LSI・SEE・ESI・SLI・LSE)
この軸は、ほかの3本の基本の軸とともに、レイニンの15本の軸すべての素材になる軸です。また、互いを補い合うとされる双対関係の2人は、必ずこの軸の反対の側に分かれます。例えば、ILE(直観)の双対はSEI(感覚)、EIE(直観)の双対はLSI(感覚)です。
02レイニンはどう定義したか
レイニンは1980年代に、ユングに由来する4つの基本の二分法を掛け合わせると、16タイプを8対8に分ける二分法が全部で15本作れることを示しました。この軸は、その素材になった4本のうちの1本です。レイニンは2005年の著書(英訳2010年)で、この軸をこう書いています。
この特性は、ユングの基本的特性の1つである。それは、感覚の領域、対象の形態と物理的特性(感覚)、または状況や対象のリズム特性とプロセス、潜在性(直観)のいずれかへの志向を特徴づける。(中略)感覚タイプは、活動を好むタイプであり、このタイプは「ここと今」に直観タイプ(時間軸に沿って引き伸ばされているように見える)よりも多く存在する。
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This attribute is one of the Jungian basic attributes; it characterizes orientation either on the sphere of sensations, the form and physical characteristics of objects (sensoring) or the rhythmic characteristics and processes, potential of a situation or an object (intuition). (中略) The sensoring type is a type that likes activity; this type is present 'here and now' more than the intuitive type who seems to be stretched along the time axis.
言い換えると、感覚の側は物の形や物理的な性質に、直観の側は状況の流れや、まだ表に出ていない可能性に注意が向くということです。そのうえでレイニンは、感覚の側のほうが「ここと今」に強く存在していると書いています。
この「ここと今にどれだけ存在しているか」という言い方を、レイニンは自分のたとえでさらに進めています。
4次元時空連続体を想像してみよう。直観タイプは空間において圧縮され、いわば時間において引き伸ばされて知覚される。感覚タイプは、それとは反対に、時間において圧縮されているが、現在においてより鮮明である。感覚タイプはずっと多くの空間を占める。(中略)ここでの4次元時空連続体は、物理的現実というよりはむしろ比喩である。
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Let us imagine the four-dimensional space-time continuum: the intuitive type are perceived to be compressed in space, but so to say stretched in time, and the sensoring type, on the contrary, are compressed in time, but is more vivid in present. The sensory types occupy much more space. (中略) The four-dimensional space-time continuum here is more of a metaphor than a physical reality.
つまり、感覚タイプは現在という一点に濃く存在し、直観タイプは時間の方向に薄く長く伸びているということです。上の引用にある4次元時空連続体は、空間の3次元に時間を加えた物理学の用語です。レイニン自身が断っているとおり、ここではたとえとして使われています。
また、この対比は、レイニンがタイプ判定の実験で実際に見たものと対応しています。
実験中、この特性はかなり鮮明である。部屋の中の8人の直観的な人々はほとんど気づかれないが、8人の感覚的な人々は部屋全体を満たし、他者を圧倒する。
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During an experiment this attribute is rather vivid: the eight intuitive people in a room can hardly be noticed, but the eight sensing people fill the whole room and overwhelm others.
同じ8人でも、感覚の側は部屋を満たし、直観の側はほとんど目立たないということです。1人ひとりではなく、グループで見たときの存在感の違いの観察です。この違いは、日常の第一印象にも表れます。
03アウシュラはどう記述したか
創始者のアウシュラは1998年の連載で、この軸を理論的/実践的プログラムと呼び、2つの側の力の違いを書き分けました。なお、資料ごとに訳語(理論家/実践家、理論的/実践的)が揺れています。引用の中も、名前そのものを話題にする箇所を除き、このページの表記「直観/感覚」に揃えています。
まず、直観の側です。
このタクトは、人間の理論的・戦略的能力、未来において方向を取り、未来を予測し、現象の深層、その潜在的可能性を見る能力/不能を規定する。(中略)これは理論の創造へと導く。それゆえ、本当の意味で理論的・抽象的思考を持つのは直観的タイプのみである。
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Этот такт определяет теоретико-стратегические способности человека, его умение или неумение ориентироваться в будущем, предсказывать будущее, видеть или не видеть глубинные слои явлений, их потенциальные возможности. (中略) Это ведет к созданию теорий. Поэтому понастоящему теоретическим абстрактным мышлением обладают только интуитивные.
言い換えると、直観の側は先の見通しを立て、表に出ていない可能性を見る力を持ち、それが理論を作ることにつながるということです。理論と抽象的な思考は直観の側のものだ、という強い言い切りです。この言い切りの読み方は、「使うときの注意」の章で扱います。
続くくだりには、別の観察があります。
同時に、すべての直観的タイプは通常、まさに自分が、ここ・今、周囲で起きている変化に最初に気づいているという感覚で生きている。本質的にそうである:彼らは自分の基底ブロックの助けを借りて最初にそれに気づき、考慮し、他者に通報する。しかし彼らはそれを観察することしかできず、それで何をすべきかを完全には知らず、最後に反応するか、双対の指令の後でしか反応しない。
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И одновременно все интуитивные обычно живут с чувством, что это именно они первыми замечают изменения, происходящие в окружении здесь и теперь. По сути дела, так оно и есть: они первые это замечают с помощью своих базисных блоков, учитывают и оповещают других. Но они способны за этим лишь наблюдать, совершенно не знают, что с этим делать, и реагируют последними или вообще лишь после команды дуала.
つまり、変化に最初に気づくのは直観の側、最初に動けるのは感覚の側だということです。直観の側は、気づいても何をすべきかが分からず、最後に反応するか、双対の相手の指示を受けてから反応します。気づくことと動くことが、2つの側に分かれています。
次に、感覚の側です。アウシュラはまず、注意の切り替えと体調を挙げています。
感覚タイプは、注意を一つの対象から別の対象、空間の一点から別の点へ素早く切り替える能力で際立っている。自分の体調と、それが何によって良い・悪いかを把握する能力をもつ。自分の対象、自分の空間を誰にでも譲る用意の完全な不在。
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Практики-сенсорики отличаются способностью быстрого переключения внимания с одного объекта на другой или с одной точки пространства на другую. Способны разобраться в своем самочувствии и в том, от чего оно является хорошим или плохим. Полное отсутствие готовности уступать кому бы то ни было свои объекты или свое пространство.
言い換えると、感覚の側は注意を素早く切り替え、自分の体調とその原因をよくつかんでいるということです。最後の「自分の空間を誰にでも譲る用意の完全な不在」は、Se主導の人の世界の感じ方の原型と読めます。
続けて、アウシュラは感覚の側の持ち場をこう書いています。
これはここ・今である。これは対象、空間、体調である。このタクトは、何か遠い結果の感覚、予感ではなく、具体的状況のなかで方向を取り、具体的決定を下す能力/不能を与える。それは人間を理論を考案するのではなく、具体的人生に応用する、用いるのに長けた実践家にする。類型論を生活に導入するのもまた感覚タイプである。
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Это «здесь и теперь». Это объекты, пространство, самочувствие. Этот такт дает способность или неспособность ориентироваться и принимать конкретные решения в конкретной ситуации, а не ощущение, предчувствие каких-то более далеких последствий. Он делает человека хорошим практиком, способным не выдумывать теории, а применять их в конкретной жизни, пользоваться ими. Типологию в жизнь внедрят тоже сенсорики.
つまり、感覚の側は先の結果を予感するのではなく、目の前の具体的な状況で決める力を持つということです。理論を考え出すより、理論を生活に応用する実践家です。アウシュラは感覚の側を「短距離で代えがたいスプリンターのタイプ」とも呼びます。周りの全体像は背景として使いながら、「何かの時がすでに来た」と最初に理解するのはこの側だ、と書いています。
このように、理論を作る側と、それを生活に持ち込んで具体で動く側の分業になっています。類型論を生活に取り入れるのも感覚タイプだという点は、アウシュラ自身の理論にも言えることです。
04ユングまで遡る
この軸の元になったのは、ユングが『心理学的類型』(1921年)で立てた、2つの知覚の機能の対です。なお、ユングの引用は英訳からの日本語訳です。
まず、感覚の定義です。
感覚、すなわち感覚することとは、物理的刺激を知覚へ伝える心理機能である。したがって感覚は知覚と同一である。(中略)感覚は外的な刺激だけでなく、内的な刺激—すなわち内部器官の変化—にも関わっている。
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Sensation, or sensing, is that psychological function which transmits a physical stimulus to perception. is, therefore, identical with perception. (中略) Sensation is related not only to the outer stimuli, but also to the inner, i.e. to changes in the internal organs.
言い換えると、感覚とは、体の外や内からの刺激を、そのまま知覚として受け取る働きだということです。外の刺激だけでなく、内臓の変化のような体の中の刺激も含まれます。
次に、直観の定義です。
直観とは、知覚を無意識的な仕方で伝える心理機能である。外的・内的な対象も、その連関も、すべてがこの知覚の対象になりうる。直観は特有の性質を持つ。それは感覚でも、感情でも、知的な推論でもなく、しかもそのいずれの形でも現れうる。直観を通じて、任意の内容がひとつの完結した全体として提示されるが、その内容がどのようにして得られたのかを、説明することも発見することもできない。
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is that psychological function which transmits perceptions in an unconscious way. Everything, whether outer or inner objects or their associations, can be the object of this perception. Intuition has this peculiar quality : it is neither sensation, nor feeling, nor intellectual conclusion, although it may appear in any of these forms. Through intuition any one content is presented as a complete whole, without our being able to explain or discover in what way this content has been arrived at.
つまり、直観とは、どうやって得たのか説明できないまま、内容がひとまとまりで手に入る知覚だということです。
2つとも、判断を経ずに何かを受け取る知覚の機能である点が大事です。感覚は刺激の経路が追える知覚で、直観は経路が追えず、結論だけがまとめて手に入る知覚です。ユングは直観を「本能的な把握の一種」とも言い換えています。どちらも合理的な判断の外にあるので、「非合理的機能」と呼ばれます。この語は、4番目の軸である合理/非合理につながります。
また、直観が「無意識的な仕方で」働く知覚だという点も、定義に含まれています。直観の側が「説明はできないが、そう見える」と言うとき、それは定義どおりの現象で、論拠の手抜きではありません。ソシオニクスはこの2つの機能をそれぞれ外向と内向に分け、Ne・Ni・Se・Siの4要素として引き継ぎました。
05行動は何が違うか
では、日常の行動としては何が違って見えるのでしょうか。後の研究者のフィラトワは、4つの知覚の要素を主導機能に持つタイプを描き、この軸の2つの側を日常の姿で説明しています。まず感覚の側から、Se(外向感覚)が主導の人の世界の感じ方です。
外向感覚型は周囲の空間と、その中にあるすべてのものの主人である。「ここにある周りのものは全部—俺のものだ!」—これが彼の世界感覚である。
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Экстравертный сенсорик — хозяин окружающего пространства и всего того, что в нем находится, «здесь все вокруг — мое!» — вот его мироощущение.
つまり、Se主導の人は、周りの空間と物を、自分が押さえるものとして感じているということです。
次に、Si(内向感覚)が主導の人です。
このタイプの人にとって非常に重要なのは、周囲世界の調和、美、釣り合いについての内的な観念である。この調和の基準は、彼が体験し、絶えず追い求める心地よい感覚である。(中略)快適さと居心地のよさ—日常の場面で彼が真っ先に注意を向けるのは、まさにそれである。また自分の身体の要求を敏感に受けとめ、身体のごく小さな不調もよく感じ取る。
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Для человека этого типа очень важным является внутреннее представление о гармонии, красоте и соразмерности в окружающем мире. Критерий этой гармонии — приятные ощущения, которые он испытывает и к которым постоянно стремится. (中略) комфорт и уют — это именно то, на что он в первую очередь обращает внимание в бытовой ситуации. Он также чутко воспринимает потребности своего тела, хорошо ощущает в нем малейшие неполадки.
言い換えると、Si主導の人は、心地よい感覚を基準にして周りの調和を整え、自分の体の小さな不調にもよく気づくということです。
空間を押さえにいくSeと、空間を心地よく整えるSi。外向と内向で現れ方は正反対に見えても、どちらも今ここの現実という同じ領域を扱う感覚の側です。
次に直観の側です。Ne(外向直観)が主導の人は、こう描かれます。
このタイプの代表者は、新しいもの、風変わりなもの、驚くべきものに常に開かれている。きわめて創造的な性格の持ち主である点で際立つ。頭の中には実にさまざまなアイデアが数多く湧き、しばしば彼は発明家、革新者、研究者、旅行家、ロマンチックな冒険家である。
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Представитель этого типа всегда открыт новому, необычному и удивительному. Он отличается чрезвычайно творческим складом характера. В его голове возникает множество самых разных идей, часто он — изобретатель, новатор, исследователь, путешественник, романтический авантюрист.
新しいもの、風変わりなものに常に開かれていて、アイデアが次々に浮かぶ。それがNe主導の人の姿です。
Ni(内向直観)が主導の人は、こう描かれます。
強い内向直観の持ち主は、時間の中での出来事の流れを自分の想像の中で容易にモデル化し、この出来事の流れの中に自分を感じ、起きているすべての全体性と、その全体の小さな一部としての自分を感じ取る。(中略)このタイプの人は、進行中の出来事の結果を、直接的な仕方で見て取って予見することができる。
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Обладатель сильной интровертной интуиции легко моделирует в своем воображении течение событий во времени, чувствует себя в этом потоке событий, ощущает целостность всего происходящего и себя — частичкой этого целого.(中略)интровертных интуитов встречаются философы и поэты. Такой человек способен предвидеть результат текущих событий, усмотрев его прямым образом.(中略)Название символа — интуиция времени.
言い換えると、Ni主導の人は、出来事の流れを頭の中で組み立て、その結果を先に見て取れるということです。
また、フィラトワの用語表では、4つの知覚の要素の働きが1行ずつ要約されています。
- Ne:「対象の内的内容、潜在的可能性を評価する能力」
- Ni:「予感、予測、発展の力学を捉える能力、詩的な空想、神秘的な感覚」
- Se:「能動的行動への衝動、拡張、空間の掌握、押しの強さ」
- Si:「空間的な形の調和、快適さの感覚、体調」
この4行から、直観の2要素は内容と時間を、感覚の2要素は空間と身体を扱っていることが分かります。ここまでの記述を、日常の対比にまとめると次のようになります。
- 話題の重心。直観の側の話は、アイデア・可能性・これからの展開・物事の意味へ流れやすい。感覚の側の話は、実物・実用・体験・味や手触りといった具体へ流れやすい。
- 強い場面。直観の側は、まだ形のないものの見込みを測る場面(企画の芽、人の潜在能力、先の展開)に強い。感覚の側は、いま目の前の空間と物を扱う場面(場の掌握、快適さの調整、即断即決)に強い。
- 時間の見え方。直観の側は、長い時間の流れの中に今を置いて見る(レイニンの言い方では「時間軸に沿って引き伸ばされている」)。感覚の側は、現在という一点を細かくとらえて生きる。
- 身体との距離。感覚の側は、自分の体調とその原因をよく把握している。直観の側は、体調の変化に気づくのが遅れがちで、限界まで無理がきいてしまうことがある。
- 存在感。レイニンの章で見た観察のとおり、同じ人数でも感覚の側は場を満たし、直観の側は目立たない。
この対比は、職業の向き不向きに直結しそうに見えます。ですが、実際の統計は、「見分け方と実証研究」の章で見るとおり、関連はあるが、決定はしない水準です。
06相手からどう見えるか
二分法では、反対の側が「欠点のある自分」のように見えることがあります。この軸でも、互いの印象はすれ違うとされます。
感覚の側から直観の側を見ると、地に足がつかず、実物を確かめる前に話が先へ飛ぶ人に見えることがあります。反対に、直観の側から感覚の側を見ると、目の前のことしか見ず、可能性の話に付き合わない人に見えることがあります。
どちらも、知覚が得意とする範囲が違うだけです。直観の側の「うわの空」は、知覚が時間と可能性の方向へ伸びている状態です。感覚の側の「今主義」は、現在を細かくとらえている状態です。
例えば、会話なら、「それ、実際に見たの?」と確かめにいく問いと、「そこから何が起きると思う?」と広げにいく問いに、そのまま2つの側が表れます。また、気づくのは直観、動くのは感覚という分業を知っていると、「気づいていたなら早く言ってよ」「言ったのに動かなかったじゃないか」というすれ違いにも説明がつきます。
なお、この軸は、双対の2人が必ず反対の側に分かれる軸です。変化に最初に気づく直観の側と、最初に動ける感覚の側が、補い合いの元になります。気づく側と動く側が組めば、気づきから行動までがつながります。
ソシオニクスのタイプ間の関係で、直観と感覚の組み合わせが基本の形とされるのは、この分業のためです。8組の双対はすべて直観と感覚の組み合わせで、直観どうし・感覚どうしの双対はありません。
07見分け方と実証研究
見分けるときに実際に使える手がかりは、次の4つです。
- 話題の流れ。雑談をしばらく続けたとき、話がアイデアと見込みの方へ膨らんでいくか、実物と体験の方へ深まっていくか。どちらの話題も出ますが、放っておいたときに戻ってくる先が違うとされます。
- 買い物と道具。物を選ぶとき、性能の可能性や将来の使い道から入るか、手に取った感触と今の用途から入るか。
- 体調を言い表す言葉。自分の体調をどれだけ細かく言葉にできるか。感覚の側は、原因まで把握しているとされます。
- 場の存在感。部屋に入ってきたときの、空間の「埋まり方」。レイニンの章で見た観察です。
この軸は、統計による裏づけを持つ側の軸です。心理学者のタラノフ(Viktor Talanov)は2003年、合計1,800人を超える大きな標本で、基本の4軸とレイニンの派生の11軸をまとめて検定しました。
外向・合理性・論理・直観の二分法については、職業選択との絶対的に信頼できる統計的関連が観察される。レイニン特徴については帰無仮説—関連の不在—が裏づけられる。
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Для дихотомий экстраверсии, рациональности, логики, интуиции наблюдается абсолютно достоверная статистическая взаимосвязь с выбором профессии. Для признаков Рейнина подтверждается нулевая гипотеза – отсутствие взаимосвязи.
言い換えると、基本の4軸は職業の選び方とはっきり関連していたということです。一方、レイニンの派生の11軸には関連が見つかりませんでした。
直観/感覚も数字は確かです。職業選択(1,446人)との関連は、偶然では説明しにくい強さでした。質問紙240問との相関6.43は、基本の4軸の中では最も小さい値ですが、下の図のとおり、派生の11軸とは桁が違います。
タラノフの実験(2003年・447人)。点線(0.91)を下回る値は、偶然のばらつきと区別できない。
数値はタラノフ「レイニン特徴の実験的研究」(2003年、ソシオニクス新聞 №07-08)表3より
340問版の検定では、この軸の相関二乗和は8.16に上がりました。ホランド職業指向質問紙(職業への興味の向きを測る心理検査)を447人に使った別の検定でも、直観は3.05で、閾値の0.91を大きく超えていました。同じ検定で、派生の軸は0.33〜0.69でした。
職業選択のカイ二乗(関連の強さを示す統計量)の並びでは、論理(427)、合理(359)、外向(213)に次ぐ4番目(163)でした。ですが、これは4軸の中での並びの話で、「実在が疑われる」水準からは遠く離れています。職業より、何を話し、何に時間を使うかといった生活の質感に表れやすい軸だと読めます。
観察研究の側でも、この軸は判定の元になる1本です。サンクトペテルブルクの検証グループの観察実験は、専門家のあいだでタイプの判定が割れない人を被験者に選ぶところから始まっています。その判定そのものが、基本の4軸についての合意の上に立っています。
まとめると、直観/感覚は、統計と観察の両方で確認されている基本の軸です。見分けるときに注意が要るのは、能力の評価と混同しやすいことです。「基本の4軸で判定し、派生の11軸は答え合わせに使う」という二分法の各ページの使い方も、この統計の差に沿っています。
08使うときの注意
最後に、この軸を使うときの注意を3つにまとめます。
能力の軸として読まないこと。直観の側は「勘が鋭い人」、感覚の側は「鈍い人」ではありません。逆に、感覚の側だけが「現実的で有能」なのでもありません。ユングの章で見たとおり、どちらも知覚のしかたの違いで、精度の優劣ではありません。
アウシュラの「本当の意味で理論的・抽象的思考を持つのは直観的タイプのみ」という言い切りも、感覚の側の知性を否定する文ではありません。理論を作ることと、生活に応用することという、持ち場の違いの記述として読めます。アウシュラ自身、類型論を生活に導入するのは感覚タイプだと続けています。
想像力や創造性と混同しないこと。創作や発明は、直観の側だけのものではありません。感覚の側の創造は、素材と身体と空間から生まれます。「アイデアの話が好きかどうか」は手がかりになりますが、「創造的かどうか」は判定の基準になりません。同じ理由で、「五感が鋭い=感覚タイプ」も短絡です。判定の手がかりになるのは、感覚器の性能ではなく、知覚のどの範囲に注意が向いているかです。
この軸だけでタイプを決めないこと。直観か感覚かが分かっても、候補は8タイプ残ります。残る基本の軸と合わせて絞り、派生の軸は答え合わせに使うのが確実です。
09両極のタイプ一覧
両極の8タイプずつを、一覧で再掲します。自分のタイプがどちらに入っているかを確かめたら、話題の重心と、体調を言い表す言葉に心当たりがあるかを照らし合わせます。身近でうまくいっている相手との違いとして見る方法もあります。双対の相手は、必ず反対の側にいます。合わないと感じたら、それはタイプの判定そのものを見直す手がかりにもなります。二分法は、判定の答え合わせにも使えるからです。
引用索引
本文で引用した出典を、登場した順にまとめます。引用の日本語は原文から訳出したものです。
- [1]グリゴリー・レイニン『Socionics: Typology. Small Groups.』(2010)第III部 本文へ
- [2]グリゴリー・レイニン『Socionics: Typology. Small Groups.』(2010)第III部 本文へ
- [3]グリゴリー・レイニン『Socionics: Typology. Small Groups.』(2010)第III部 本文へ
- [4]アウシュラ・アウグスティナヴィチューテ「レイニン特性理論」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 第2部(№2)(1998年) 本文へ
- [5]アウシュラ・アウグスティナヴィチューテ「レイニン特性理論」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 第2部(№2)(1998年) 本文へ
- [6]アウシュラ・アウグスティナヴィチューテ「レイニン特性理論」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 第2部(№2)(1998年) 本文へ
- [7]アウシュラ・アウグスティナヴィチューテ「レイニン特性理論」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 第2部(№2)(1998年) 本文へ
- [8]カール・グスタフ・ユング『心理学的類型』(1921) 引用は英訳(Baynes訳)からの重訳 本文へ
- [9]カール・グスタフ・ユング『心理学的類型』(1921) 引用は英訳(Baynes訳)からの重訳 本文へ
- [10]エカテリーナ・フィラトワ『ソシオニクスの鏡の中の人格』(2001)第II部 本文へ
- [11]エカテリーナ・フィラトワ『ソシオニクスの鏡の中の人格』(2001)第II部 本文へ
- [12]エカテリーナ・フィラトワ『ソシオニクスの鏡の中の人格』(2001)第II部 本文へ
- [13]エカテリーナ・フィラトワ『ソシオニクスの鏡の中の人格』(2001)第II部 本文へ
- [14]ヴィクトル・タラノフ「レイニン特徴の実験的研究」『ソシオニクス新聞』誌 №07-08(2003年) 本文へ
