第1 主導機能
考え方の前提になる
揺るがない前提
01主導機能とは
主導機能はモデルAの8つの機能の1番目です。その人がいちばん強く、いちばん自信をもって使う情報の働きで、ここにどの情報要素が入るかでそのタイプが何をまず見て何を判断の前提にするかが決まります。タイプの名前もここから付いています。ILE(直観論理外向)なら主導機能がNe(外向直観)、次の創造機能がTi(内向論理)です。
主導機能の情報は考える前にもう集まっています。本人には当たり前で説明するほどのことではありません。だからここについて人から教えられると教わる必要を感じにくいとされます。反対にここについて自分が言うことには自信があり、自分から先に立って進めることも多いとされます。
次元性という見方では主導機能は4次元です。自分の経験、社会的規範、その場の状況に加えて、時間の変化、つまりどんな状況下においても安定して扱えるとされています。8つの機能でこの幅を持つのは主導機能と実演機能(第8)の2つだけです。
02研究者はどう書いたか
主導機能の呼び名は研究者ごとに違います。基底機能、プログラム機能、指令機能。指しているものは同じで、いちばん強く、自ら決める機能ということです。
アウシュラ(Aushra Augustinaviciute)は著作『機能の理論』で、8つの機能を1つずつ説明しています。第1機能の節の要約が次の文です。
要約:第1機能は人間の世界知覚、彼の「情報的職業」、イメージを規定する。人間はこの要素について最大限の情報を持っており、最も確信をもってそれを使用する。最も強い機能、「個人的恣意の領域」と言うことができる。
原文を表示
Резюме : 1-я функция определяет мировосприятие человека , его "информсационную профессию" , имедж . Человек имеет по этому элементу максимум информации , наиболее уверенно ей пользуется ; можно сказать, что это самая сильная функция , "зона личного произвола".
「最大限の情報」と「最も確信をもって」の2つをアウシュラは主導機能の印にしています。「個人的恣意の領域」はここについては誰にも従わないという意味で使われています。
Stratiyevskayaは著書『お別れしないために』で、この機能をプログラム機能と呼びます。
これは私たちの心理の構造のなかで、最も強い、最重要な機能である。これは私たちの「省庁」の一種の「立法機関」、その「長官」である。
Stratiyevskayaはこの機能を「原則的で揺るがない」とも書き、自分のプログラムに逆らって動くことは極めて困難でどこまで譲れるかの限界を決めるのもこの機能だとしています。
Filatovaは著書『ソシオニクスの鏡の中の人格』で、プログラム機能と実現機能(創造機能)を対にして書きます。
すでに上で述べたように、第1の、最も強い機能はプログラム機能であり、それが当該心理タイプの人間の注意の優先方向を決める。第2の、より弱い機能は、彼が結果を勝ち取る方法を指し示す。
「注意の優先方向」が主導機能、「結果を勝ち取る方法」が創造機能です。Filatovaはこの2つの組み合わせを「意識の構え」と呼び、16タイプの記述をそこから始めます。
Gulenkoは自分のモデル(モデルG)でこの機能を指令機能と呼びます。
指令機能 ― 主導的、安定的、外的。チームの「キャプテン」、意思決定と資源配分の機能。報酬を通じて管理する。
呼び名は異なりますが、意思決定と資源の配分をこの機能に置く点はほかの3人と同じです。
03ほかの機能との関係
主導機能に何が入るかが決まると、規範機能(3)、暗示機能(5)、観察機能(7)の要素も決まります。奇数3つとも主導機能の要素を裏返して作られる機能です。
規範機能(3)
主導機能と対になる要素。S⇄NもしくはT⇄F。主導機能がNeなら規範機能はSe。主導と比べると苦手意識が出やすい傾向
観察機能(7)
同じ要素の反対向き(i⇄e)です。主導機能がNeなら、観察機能はNi。できるのにふだんは扱わない情報です。
暗示機能(5)
要素も向きも反対。主導機能がNeなら暗示機能はSi。一番他者提供を求める機能で、双対関係の相手はこれを主導機能に持っています。
偶数の機能は別の系列です。主導機能が「何を見るか」なら創造機能は「どうやるか」、脆弱機能(4)、動員機能(6)、実演機能(8)は創造機能から同じ規則で決まります。導き方の全体はソシオニクスの覚え方で説明しています。
04情報要素と組み合わせると
主導機能に入る要素ごとに、前提として考え始めるものが変わります。該当するタイプは2つずつです。
05まとめ
主導機能はいちばん強く、いちばん自信があり、考える前に答えが出ている機能です。ここに入る要素がそのタイプが世界の何をまず見るかを決めます。人に教えられるのは好まず自分から言うのはためらいません。
呼び名は研究者で違います。アウシュラは「個人的恣意の領域」、Stratiyevskayaは「立法機関」、Filatovaは「注意の優先方向」、Gulenkoは「指令機能」。どれも決める機能として書いています。
+索引(引用文献)
- [1]アウシュラ『機能の理論(フンクツィオニカ)』(原題:Теория функций. Функционика、刊年不詳) 「第1機能」の節(要約) 執筆年の明示がない著作(推定1980年代後半〜1990年代初頭)。サミズダートで流通したのち電子化されたもので、初出媒体は未確認 本文へ
- [2]Stratiyevskaya『お別れしないために』(原題:Как сделать, чтобы мы не расставались、刊年不詳)第I部 理論編「プログラム機能とプログラム・アスペクト」 本文へ
- [3]Filatova『ソシオニクスの鏡の中の人格』(原題:Личность в зеркале соционики、2001年)第II部 第4章 本文へ
- [4]Gulenko『64の肖像』(原題:64 портрета, или Калейдоскоп в новом свете、2019年)理論編 モデルG 底本は英語版。引用本文はその当サイト訳 本文へ
