第6 動員機能
自力での持続は難しい
手を貸されるとありがたい
01動員機能とは
動員機能はモデルAの8つの機能の6番目です。創造機能と要素も向きも反対のものが入り、外からの刺激で動き出すが自力では続きにくい機能とされます。ILE(直観論理外向)なら創造機能がTi(内向論理)、動員機能はFe(外向倫理)です。
暗示機能(5)と同じく情報を欲しがりますが、動員機能は自分でもやってみたい気持ちが強く、出来にムラが出るとされます。双対関係の相手はこれを創造機能に持っていて、程よく刺激されると動き出します。
次元性という見方では動員機能は2次元です。自分の経験と社会的規範で扱えますが、その場の状況に合わせるのは難しいとされます。
02研究者はどう書いたか
動員機能の呼び名は研究者ごとに違います。活性化機能、動員機能、隠れた課題。指しているものは同じで、刺激されると動き出す機能です。
アウシュラ(Aushra Augustinaviciute)は著作『機能の理論』でこの機能を「第7機能」と呼びます。アウシュラの番号は現行と違い、『機能の理論』の「第7機能」が現行の動員機能(6)です。
要約:第7機能は—機能のなかで最も弱く、最も自覚化が低い。その不調は心理の働きを深刻に乱す。第7アスペクトは—問題の動機。
「機能のなかで最も弱く、最も自覚化が低い」「第7アスペクトは問題の動機」。節の本文には反応の様子が書かれています。
ここでは第8機能によってアクセプト(受容)された信号への本能的反応が形成される。それらの表現において、人間は最も自由でない。第7機能における自身の状態の自覚はきわめて弱い。批判はきわめて不愉快で、反応は—「批判するな、さもなくば助けよ」。
「人間は最も自由でない」「自身の状態の自覚はきわめて弱い」「批判するな、さもなくば助けよ」。自分の状態が分からないまま反応してしまう機能です。
Stratiyevskayaは著書『お別れしないために』で、超イドのレベル(暗示機能と動員機能)の弱さを超自我のレベルとの違いで書きます。
超自我・レベルでは問題は意識化されており、それゆえそれを恥じ、隠そうとするが、超イド・レベルでは問題は意識化されておらず、それゆえそれを恥じることも隠すこともなく、むしろ逆に、最も恥知らずなしかたで他者に押しつけさえする。
「問題は意識化されておらず、それゆえそれを恥じることも隠すこともなく」。弱いのに隠さないのが規範機能(3)や脆弱機能(4)との違いです。動員機能と創造機能の対応も次のように書いています。
第5アスペクトが第1のアスペクトを補完するのと同じように、第6アスペクトは同じ徴標で第2を補完し、第7は第3を補完し、第8は第4アスペクトを補完するだろう。
「第6アスペクトは同じ徴標で第2を補完し」。動員機能には創造機能を補完する要素が入る、という対応です。
Filatovaは著書『ソシオニクスの鏡の中の人格』で、下の環の機能について次のように書きます。
下の環の残り三つの機能については、それらもまた安定的に活性化しうることが明らかになっており、その結果、私たちは同じタイプの実にさまざまなバリエーションを手にすることになる。
Filatovaは動員機能を個別には論じず、下の環の機能も安定して活性化しうると書き、それがタイプ内の個人差を作るとしています。
Bukalovは8つの機能の呼び名を並べる中で、この機能を「活性化の機能」と呼びます。
最初から始めるなら、もちろん思い出すのは、人間 ― より正確にはその情報代謝タイプ ― には、第1機能 ― 4次元、第2 ― 3次元、第3 ― ロール、2次元、第4 ― 機能は1次元、あるいは「最も抵抗の少ない場所」とも比喩的に呼ばれる:つまり弱く非常に敏感な機能。第5機能 ― 暗示的、または示唆の機能、第6 ― 活性化、活性化の機能、第7 ― コントロールし、第8 ― デモンストレーションのもの。
原文を表示
Если мы начнем с самого начала, то мы конечно вспомним, что у человека, точнее его типа информационного метаболизма, есть 1-я функция — 4-мерная, у него есть 2-я — 3мерная, 3-я — ролевая, 2-мерная, 4-я — функция 1-мерная, или, как ее образно еще называют, «место наименьшего сопротивления»: то есть функция слабая и очень чувствительная. 5я функция — суггестивная, или внушения, 6-я — активационная, функция активации, 7-я — контролирующая и 8-я — демонстрационная.
呼び名は違いますが、外から刺激されて動く機能という点はほかの3人と同じです。
03ほかの機能との関係
動員機能に何が入るかが決まると、実演機能(8)、脆弱機能(4)、創造機能(2)の要素も決まります。偶数4つは創造機能の要素を裏返して作られる系列です。
実演機能(8)
動員機能と対になる要素。S⇄NもしくはT⇄F。動員機能がFeなら実演機能はTe。意識せずこなせる情報です。
脆弱機能(4)
同じ要素の反対向き(i⇄e)です。動員機能がFeなら脆弱機能はFi。いちばん扱いにくい情報です。
創造機能(2)
要素も向きも反対。動員機能がFeなら創造機能はTi。得意で柔軟に使える機能で、双対関係の相手はこれを動員機能に持っています。
奇数の機能は別の系列です。主導機能が「何を見るか」なら創造機能は「どうやるか」で、規範機能(3)、暗示機能(5)、観察機能(7)は主導機能から同じ規則で決まります。導き方の全体はソシオニクスの覚え方で説明しています。
04情報要素と組み合わせると
動員機能に入る要素ごとに、動き出すきっかけが変わります。自分からは続きにくく、人からの提供を受けると活性化する領域で、アウシュラはここでの反応を「批判するな、さもなくば助けよ」と書いています。該当するタイプは2つずつです。
05まとめ
動員機能は外からの刺激で動き出すが、自力では続きにくい機能です。自分の状態を把握しづらく、手を貸されるとありがたく感じます。
呼び名は研究者で違います。アウシュラは「問題の動機」、Stratiyevskayaは「恥じることも隠すこともない」、Filatovaは「下の環の機能」、Bukalovは「活性化の機能」。どれも刺激されると動き出す機能として書いています。
+索引(引用文献)
- [1]アウシュラ『機能の理論(フンクツィオニカ)』(原題:Теория функций. Функционика、刊年不詳) 「第7機能」の節(要約) 執筆年の明示がない著作(推定1980年代後半〜1990年代初頭)。サミズダートで流通したのち電子化されたもので、初出媒体は未確認 本文へ
- [2]アウシュラ『機能の理論(フンクツィオニカ)』(原題:Теория функций. Функционика、刊年不詳) 「第7機能」の節 執筆年の明示がない著作(推定1980年代後半〜1990年代初頭)。サミズダートで流通したのち電子化されたもので、初出媒体は未確認 本文へ
- [3]Stratiyevskaya『お別れしないために』(原題:Как сделать, чтобы мы не расставались、刊年不詳)第I部 理論編「超イド・レベル」 本文へ
- [4]Stratiyevskaya『お別れしないために』(原題:Как сделать, чтобы мы не расставались、刊年不詳)第I部 理論編「超イド・レベル」 本文へ
- [5]Filatova『ソシオニクスの鏡の中の人格』(原題:Личность в зеркале соционики、2001年)第III部 第1部 本文へ
- [6]Bukalov「職業的成功とソシオニクス・タイプ」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌(2023年) 本文へ
