第4 脆弱機能
触れられたくない
褒められても警戒する
01脆弱機能とは
脆弱機能はモデルAの8つの機能の4番目です。創造機能と対になる要素が入り、8つの中でいちばん情報が少なく、言われるとこたえる機能とされます。ILE(直観論理外向)なら創造機能がTi(内向論理)、脆弱機能はFi(内向倫理)です。
ここでは「どうすればいいか分からない」状態になりやすく、関わらずに済ませたい気持ちが出ます。批判は負担として残りやすく、褒められても身構えるとされます。人に任せるか別のやり方でしのぐのが現実的だと書く研究者が多く、双対関係の相手の実演機能がここを黙って補うとされます。
次元性という見方では脆弱機能は1次元です。自分の経験だけで扱い、人の助言を取り込みにくいとされます。同じ1次元の暗示機能(5)との違いは、脆弱機能は自分でも意識していて隠したい領域だという点です。
02研究者はどう書いたか
脆弱機能の呼び名は研究者ごとに違います。最小抵抗の点、痛みの機能、動員機能、脆弱機能。指しているものは同じで、いちばん弱く外圧に耐えにくい機能です。
アウシュラ(Aushra Augustinaviciute)は著作『機能の理論』でこの機能を「第3機能」と呼びます。アウシュラの番号は現行と違い、『機能の理論』の「第3機能」が現行の脆弱機能(4)です。節の要約が次の文です。
要約:第3機能は—最少抵抗の場、すべての意識的機能のなかで最も発達が弱く、抑え込まれた創造であり、その発達を妨げるコンプレックスの場。その弱さの克服なしには満ち足りた生活は不可能である。
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Резюме : 3-я функция - место наименьшего сопротивления , самая слаборазвитая из всех сознательных , задавленное творчество, место комплексов , мешающих ее развитию . Без преодоления ее слабости полноценная жизнь невозможна .
「最少抵抗の場」「意識的機能のなかで最も発達が弱く」「コンプレックスの場」。別の著作『ソシオニクス入門』の初期モデルでは、同じ機能を「第三の、適応的機能」と書きます。
モデルYuにおいて最も脆弱な位置は第三の、適応的機能である。これはいわゆる最小抵抗の点であり、人間の心のなかですべての衝突、傷、誤解の基本的な源である。補い合う心をもつ身近な個体がいて協力すれば、この機能の制御は自動的にその者に移される。そのとき被護感が生じる。しかしそのような被護がなければ、いかなる側面からの批判も、いかなるほのめかしも当惑させ、均衡から外し、トラウマを与え、アクセンチュエーションや精神疾患に導く。
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Самым уязвимым местом по структуре Ю явля- ется третья, адаптивная функция. Это так называе- мое место наименьшего сопротивления (МНС) в психике человека, основной источник всех конф- ликтов, обид и непонимания. Если имеется близкий индивид с дополняющей психикой, с которым ко- оперируют, контроль над этой функцией автомати- чески передается ему. Тогда появляется чувство за- щищенности.〔中略〕А если такого чувства защищенности нет, любая критика со стороны, любой намек, двусмыс- ленность, даже лишь подразумеваемые, приводят в недоумение, выводят из равновесия, травмируют, ведут к акцентуациям характера и психическим за- болеваниям.
「すべての衝突、傷、誤解の基本的な源」と「補い合う心をもつ身近な個体がいて協力すれば、この機能の制御は自動的にその者に移される」。双対関係の相手がここを引き受けるという書き方は後の研究者にも引き継がれています。
Stratiyevskayaは著書『お別れしないために』で、この機能を動員機能と呼び、「恐怖の領域」とも書きます。
私たちのあらゆる妄想、あらゆる恐怖、疑念、邪推がまさにこの領域に集中している。だからこそ、心理の第4の機能ポジションはときに「恐怖の領域」とも呼ばれる。(中略)別の名前—「動員機能」もある。これも分かる。人間が恐ろしい思いをし、自分が弱く無力だと感じるときに、彼は自分のあらゆる力を動員して、状況に抵抗し、自分を擁護しようとする。だが問題は、まさにこのポジションでは彼の力は非常に少ししか蓄積されず、それゆえここで生み出される抵抗は非常にわずかであることだ。ここから—名前「最小抵抗の点」(あるいは略して「MNS」(最小抵抗の点))が来る。
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Так, какое же "ведомство" занимает четвертый кабинет нашего "департамента"? По большому счету, туда даже страшно заглядывать: все наши химеры, все наши страхи, сомнения, подозрения сосредотачиваются именно в этой области. Потому-то еще иногда 4-я функциональная позиция нашей психики называется "зоной страха". Есть и другое название — "мобилизационная функция". И оно тоже понятно: когда человеку страшно, когда он чувствует себя слабым и беспомощным, он мобилизует все свои силы для того, чтобы сопротивляться обстоятельствам и защитить себя. Но в том-то и проблема, что сил у него на этой позиции накапливается очень немного, а следовательно, и сопротивление здесь создается очень небольшое — отсюда и название: "точка наименьшего сопротивления" (или сокращенно "т.н.с."). (В наших психологических описаниях она называется "напряженной функцией", поскольку это название, по мнению автора, полностью соответствует всем ее предыдущим характеристикам.)
「あらゆる妄想、あらゆる恐怖、疑念、邪推がまさにこの領域に集中している」。Stratiyevskayaの「動員機能」は現行の動員機能(6)ではなくこの脆弱機能(4)を指します。名前が同じで機能が違うので注意が要ります。
Filatovaは著書『ソシオニクスの鏡の中の人格』で、この機能を最小抵抗のチャンネルと呼びます。
第3チャンネル(上記の指向)を占める機能の影響領域では、人は自分を最も傷つきやすく感じ、自信なく行動し、しばしば疑いに苦しみ、最も重い場合には劣等コンプレックスに苦しむことが明らかになった。だから誰でも、第3チャンネルの機能の作用領域で加えられるどんな圧力も、非常に痛く受けとめる。そのためこのチャンネルには「最小抵抗のチャンネル」(KNS)という名が与えられた。
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Выяснилось, что третий канал (указанной выше вертности) занят функцией, в области влияния которой человек чувствует себя наиболее ранимым, действует неуверенно, часто его мучают сомнения, а в самых тяжелых случаях — комплексы неполноценности. Поэтому каждый воспринимает весьма болезненно любое давление, оказываемое в области действия функции 3-го канала, в связи с чем ему присвоено название: «канал наименьшего сопротивления» (КНС).
「自分を最も傷つきやすく感じ」「自信なく行動し」「どんな圧力も非常に痛く受けとめる」。3人とも外からの圧力にいちばん弱い機能として書いています。
Gulenkoの体系(モデルG)には脆弱機能に当たる名前がなく、同じ要素は第7「制動機能」に置かれます。
- 制動機能 ― 駆動される、不安定的、内的。知覚の結果としての制動。エネルギー喪失の点、最も不適切な結果、負荷に対する最大の抵抗。
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7. Brake — driven, unstable, internal. Braking as a result of perception. The point of energy loss, the least adequate result, the greatest resistance to loads.
「エネルギー喪失の点」「負荷に対する最大の抵抗」。モデルAの「最小抵抗」が外圧への抵抗力の小ささを指すのに対し、Gulenkoは負荷を受けたときに生じる抵抗を書いています。
03ほかの機能との関係
脆弱機能に何が入るかが決まると、創造機能(2)、動員機能(6)、実演機能(8)の要素も決まります。偶数4つは創造機能の要素を裏返して作られる系列です。
創造機能(2)
脆弱機能と対になる要素。S⇄NもしくはT⇄F。脆弱機能がFiなら創造機能はTi。得意で柔軟に使える機能で、脆弱機能はその裏側です。
動員機能(6)
同じ要素の反対向き(i⇄e)です。脆弱機能がFiなら動員機能はFe。自分でもやってみたい情報です。
実演機能(8)
要素も向きも反対。脆弱機能がFiなら実演機能はTe。意識せずできる情報です。双対関係の相手は脆弱機能のFiを実演機能に持ち、ここを黙って補います。
奇数の機能は別の系列です。主導機能が「何を見るか」なら創造機能は「どうやるか」で、規範機能(3)、暗示機能(5)、観察機能(7)は主導機能から同じ規則で決まります。導き方の全体はソシオニクスの覚え方で説明しています。
04情報要素と組み合わせると
脆弱機能に入る要素ごとに、分からないまま制御が効きにくい領域が変わります。情報がいちばん少ないので何をどうすればいいかが分からず、外から圧力がかかっても自分では調整しにくいとされます。Filatovaが「自信なく行動し、しばしば疑いに苦しみ」と書いた領域です。該当するタイプは2つずつです。
05まとめ
脆弱機能はいちばん情報が少なく、どうすればいいか分からず、言われるとこたえる機能です。自分でも意識していて触れられたくない領域で、人に任せるか別のやり方でしのぐのが現実的です。
呼び名は研究者で違います。アウシュラは「最少抵抗の場」、Stratiyevskayaは「恐怖の領域」、Filatovaは「最小抵抗のチャンネル」、Gulenkoは「制動機能」。どれも外からの圧力にいちばん弱い機能として書いています。
+索引(引用文献)
- [1]アウシュラ『機能の理論(フンクツィオニカ)』(原題:Теория функций. Функционика、刊年不詳) 原文には誤字が残る可能性がある。刊行年は底本に記載がなく未確認 本文へ
- [2]アウシュラ『ソシオニクス入門』(原題:Соционика: Введение、1998年) 原文には誤字が残る可能性がある。モデル名の略号(Ю)は当サイト表記規約によりラテン字(Yu)で転記 本文へ
- [3]Stratiyevskaya『お別れしないために』(原題:Как сделать, чтобы мы не расставались、刊年不詳)第I部 原文欄は著者の書籍(露語)の対応箇所 本文へ
- [4]Filatova『ソシオニクスの鏡の中の人格』(原題:Личность в зеркале соционики、2001年)第II部 第6章 原文欄は著者の書籍(露語)の対応箇所 本文へ
- [5]Gulenko『64の肖像』(原題:64 портрета, или Калейдоскоп в новом свете、2019年)理論編 底本は英語版。引用本文はその当サイト訳。原文トグルは英語版本文 本文へ
