ソシオニクスの15の二分法 · 第12軸(機能配置系の軸)
資源/利益
判定ルール: 第1がTe・Fiまたは第2がTi・Feなら資源、第1がTi・Feまたは第2がTe・Fiなら利益
資源/利益は、ソシオニクスにある15の二分法のうち12番目の軸です。16タイプを8タイプずつに分けます。
資源の側は自分の時間・労力・資金を譲れない持ち場として守り、関心の方を「無い袖は振れない」と資源に合わせて調整するとされます。
利益の側は自分の関心を譲れない持ち場として守り、資源の方を関心に合わせて調達し、使い切るとされます。
古い資料では「譲歩/頑固」という名前で呼ばれてきた軸ですが、従順さや強情さの評価ではありません。何を不可侵の領域に置き、何を調整できるものとして扱うかの軸です。ここでは、両極が何で分かれ、どう違って見え、どう見分けるのかを解説します。引用するのは、この軸を提案したレイニン(Grigory Reinin)と、創始者アウシュラ(Aushra Augustinaviciute)の原典、それに後の検証研究です。
01何で決まるか
どちらの極に入るかは、性格診断の点数ではなく、そのタイプのモデルA(8つの情報要素を8つの位置に並べた図)から決まります。判定に使うのは、自我ブロックの中の判断の要素(論理と倫理)の組み合わせです。
- 主導機能(1番)がTe・Fi、または創造機能(2番)がTi・Fe → 資源(ILE・SLE・LIE・LSE・EII・IEI・ESI・SEI)
- 主導機能(1番)がTi・Fe、または創造機能(2番)がTe・Fi → 利益(EIE・SEE・ESE・IEE・LII・ILI・LSI・SLI)
数学的には、この軸は、外向/内向と論理/倫理という2本の基本の軸を掛け合わせたものです。外向の論理タイプと内向の倫理タイプが資源になり、外向の倫理タイプと内向の論理タイプが利益になります。
また、この軸には、並びの上で目立つ性質があります。互いを補い合うとされる双対関係の2人は、必ず同じ極に入ります。例えば、ILEの双対はSEIで、どちらも資源の側です。EIEの双対はLSIで、どちらも利益の側です。
レイニンは、このような軸を「二者的特性」と呼びました。双対の2人が組で共有する特性という意味です。基本の4軸では合理/非合理が同じ並び方で、15本の中では少数派です。一方、鏡像関係の2人は必ず反対の極に分かれます。
02レイニンはどう定義したか
この軸の出どころは、1980年代にレイニンが行った数学の仕事です。レイニンは、ユングに由来する4つの基本の二分法を掛け合わせると、16タイプを8対8に分ける二分法が全部で15本作れることを示しました。ですが、数学的に軸が作れることと、その軸に心理的な中身があることは別の問題です。
なお、資料によって訳語は、譲歩/頑固や譲歩型/頑固型などと揺れています。名前そのものを話題にする箇所を除き、引用の中もこのページの表記「資源/利益」に揃えています。レイニンは2005年の著書(英訳2010年)で、この軸を短く書いています。
資源タイプは衝突を避ける傾向があり、勤勉で、良好な関係を求めて努力する。利益タイプは「攻撃は最良の防御である」というモットーを持ち、容易には譲歩しない。
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The compliant types are inclined to avoid conflicts, they are hardworking, and they strive for good relationships. The stubborn ones' have a motto “attack is the best defense.” they would not concede easily.
言い換えると、資源の側はぶつかるのを避けてまじめに働き、よい関係を保とうとするということです。一方、利益の側は先に攻めることで自分を守り、簡単には引きません。
レイニンはこの記述に続けて、「この尺度に関してはさらなる研究がなされるべきである。アウグスティナヴィチューテの『レイニン特性の理論』では簡潔に論じられているが、そこのデータはすべて予備的なものである」と率直に書き添えています。つまり、提案者自身が研究の薄さをはっきり認めている軸の1つです。
03アウシュラはどう記述したか
創始者のアウシュラは1998年の連載で、この軸に「譲歩─頑固」という名前を与えました。名前を決めるまでの考えが、そのまま両極の記述になっています。
模範的な労働者であろうとする傾向と、勤勉と親切のみが人を飾るという確信から、第1グループを労働者、お人好しと呼ぶことができ、身体的衝突を避ける傾向から—譲歩的、防御において受動的と呼べる。第2グループ—任意の状況で適切な距離と適切な気分でいようとする者—は芸術家と呼びたい。しかし譲歩を要求する者がより強いことが証明される前に譲歩する傾向の不在から、頑固と呼ぶ方がよい。最良の防御は攻撃であるという原則を実際に実現するのは、これらの人々のみである。
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Из-за склонности быть примерными работниками и уверенности, что только прилежность в работе и доброта красят человека, первых можно назвать работягами, добряками, а из-за склонности избегать физических столкновений — уступчивыми и пассивными в обороне. Представителей второй группы, которые в любой ситуации стараются быть на надлежащем расстоянии и в надлежащем настроении, хотелось бы назвать артистами. Но из-за отсутствия склонности уступать прежде, чем доказано, что требующий уступок сильнее, назовем их лучше упрямыми. Лишь эти люди реально реализуют принцип, что лучшая оборона — нападение.
上の引用にある第1グループは資源の側、第2グループは利益の側のことです。言い換えると、資源の側は勤勉で親切な働き手で、身体的なぶつかり合いを避けます。利益の側は状況ごとに適切な距離と気分を保とうとする人で、相手が強いと分かるまでは譲りません。候補に挙がった「労働者・お人好し」と「芸術家」という別名のほうが、中身をよく伝えているとも読めます。
アウシュラの整理では、両極は、人を評価する物差しから違います。
資源タイプの双対対では、自分と他者を仕事と隣人愛で評価する。利益タイプでは—気分と距離で。
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В первой группе диады, в которых себя и других оценивают по работе и любви к ближнему. Во второй — по настроениям и дистанциям.
つまり、資源の側は人の値打ちを働きぶりと親切さで測り、利益の側は気分と距離の保ち方で測るということです。利益の側の物差しは、どんな状況でも品位と適切な距離を保てるか、感情の状態を保てるか、とされます。
利益の側の測り方について、アウシュラはこう続けています。
おそらく、まさに彼らに、人間とは彼が消費し食べるもの、どんな本を読み、どんな音楽を聴くかを主張する傾向がある。
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По-видимому, именно у них есть склонность утверждать, что человек есть то, что он употребляет и даже ест. Какие книги читает, какую музыку слушает.
言い換えると、利益の側には、何を選んで消費するかがその人自身だという見方があるということです。アウシュラによれば、利益の側は馴れ馴れしさを認めません。絶えず尊重を求められるかで人を評価し、威厳をもって距離を保つ、とも書かれています。
一方、資源の側は正反対で、尊重の扱いが軽いとされます。
譲歩的は絶え間ない注意や尊重さえ好まない。何も必要なければ、自分の注意や尊重で人物を煩わすこと、用件と集中から逸らすことは何のためか?必要なときには好きなだけ逸らせ、ただし必要なときに。それゆえ儀礼訪問に耐えられない。尊重のための尊重—押しつけがましさ。
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Постоянного внимания и даже уважения уступчивые не любят. Если ничего не нужно, зачем человека тормошить своим вниманием или уважением, зачем отвлекать его от дел и сосредоточенности? Отвлекайте сколько угодно, но когда нужно. Поэтому не терпят визитов вежливости. Уважение ради уважения — назойливость.
上の引用にある儀礼訪問は、用件の無い、礼儀のためだけの訪問のことです。つまり、資源の側は、用も無いのに向けられる注意や敬意を、仕事の邪魔として煩わしく感じるということです。絶え間ない敬意のやり取りを、利益の側は求め、資源の側は煩わしがります。付き合い方の食い違いは、ここから出てきます。
この違いは、身の守り方の対比としても具体的に描かれています。
たとえば、チャイムで嫌な見知らぬ者にドアを開けた後、資源タイプの大半は彼を通して脇に避け、直接の身体的接触を避ける。利益タイプの大半はまず明白な抵抗を示し、ドアに杭のように、または飛びかかる用意のあるパンサーのように立ち、闘いへの傾向を誇示し、相手が本当に危険だと判明した途端に退く。
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Например, после открытия дверей на звонок неприятного чуждого человека, большинство уступчивых его пропустит, отойдут в сторону, избегая прямого физического контакта. Большинство упрямых прежде всего проявит явное сопротивление, встанут в двери как вкопанные или как готовые к броску пантеры, этим продемонстрируют свою склонность к драке и ретируются, как только окажется, что противник по-настоящему опасен.
言い換えると、先に身構えて見せ、本当に危なければ引くのが利益の側だということです。反対に、先に身をかわし、巻き込まれたら引けないのが資源の側です。アウシュラは「深刻な結末を伴う喧嘩なら、必ず資源タイプが巻き込まれている」とまで書いています。引き際を作れるのは、先に身構えて見せる側だけだからです。
叱り方にも、同じ対比が出るとされます。
罰は状況的作用の手段なので、利益タイプは身体的または労働による罰に傾く。叫び、説教は—はるかに悪く、耐えがたく、より侮辱的。資源タイプは逆に、声を上げるか距離を増やすことで罰する傾向。たとえば、罪を犯した者を別の部屋に閉じ込める。
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Наказание — средство ситуативного воздействия, потому упрямые склоняются к физическому наказанию или наказанию трудом. Крик на наказуемого, чтение морали — это нечто гораздо худшее, труднее переносимое, более унижающее. У уступчивых, наоборот, склонность наказывать повышением голоса или увеличением расстояния, например, запирая провинившегося в другой комнате
つまり、利益の側にとっては説教や叫びのほうが、行為による罰より重い侮辱で、資源の側にとっては声と距離こそが穏当な罰だということです。
アウシュラには、子どもの観察例もあります。隣の部屋にいた2人の少女が、椅子の上の犬に、かわるがわる「注意」を向けます。1人は駆け寄って優しく話しかけて走り去り、もう1人は黙って手のひらでばしっと叩いて走り去ります。つまり、同じ「かまいたい」が、片方では言葉に、片方では身ぶりに出るということです。この表し方を共有しない反対の側の親から見ると、どちらの子も外れた行動に見えてしまう、という例です。
愛情と感情の続き方についても、両極は逆向きだとされます。資源の側の愛は、状況に左右されず長く続き(「譲歩的が恋に落ちれば—長年の軛」)、感情の表現のほうは短いとされます。一方、利益の側は、気分と感情の状態を一定に保つものの、愛憎は状況の中で動きます。資源の側の感情について、アウシュラはこう書いています。
資源タイプにとって感情は理解可能、情報的、充分に短くあるべき。何か言うこと、批判することがあれば、言って批判して、テーマは尽きた。情報のない感情的長広舌には耐えられない。
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Уступчивым эмоции должны быть понятными, информативными, достаточно краткими. Было что сказать или осудить, сказали, осудили, и тема исчерпана. Не переносят неинформативных эмоциональных тирад.
言い換えると、資源の側にとって感情は、情報を伝えるためのもので、用が済んだら閉じるものだということです。この構えは、感情の状態を一定に保つことを重んじる利益の側から見ると、そっけなさに見えることになります。
04行動は何が違うか
では、日常の行動としては何が違って見えるのでしょうか。2000年代に、サンクトペテルブルクの研究グループが、タイプの判定が済んだ被験者を集め、この軸がどう表れるかを観察して検証しました。報告は2003年にロシア語で公開されました。この報告は、この軸を、「個人領域」に何が入っているかで説明しています。このページの見出しに使っている「資源/利益」という名前は、この整理から来ています。まず資源の側です。
資源タイプにとって、個人の資源は「個人的境界」で縁取られた「内的な個人空間」(妥協できないもの)に入り、関心の方は操作の対象になる。関心が呼び起こされるのは、それを支えるだけの資源や機会がある場合に限られる。
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For the Yielding type, personal resources falls into their "inner personal space" (i.e. something that cannot be compromised), which is outlined with a "personal boundary", while interests constitute an object to be manipulated. Interest is evoked only if it can be supported by an adequate, corresponding resource or opportunity.
言い換えると、資源の側は手元の時間・労力・資金を譲れない領域として守り、関心のほうは動かせるものとして扱うということです。そのため、支える資源があるときだけ関心が動きます。
次に利益の側です。
利益タイプにとっては、関心が「個人的(不可侵の)空間」に入り、資源の方が操作の対象になる。関心があるとき、彼らはそれに見合う資源と機会を探しにいく。
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For Obstinate types, their interest fall into their "personal ("inviolable") space", which is outlined with a "personal boundary", while resources are an object to be manipulated. In the presence of an interest, their will seek suitable resources and opportunities.
つまり、利益の側は関心を譲れない領域として守り、資源のほうを動かせるものとして扱うということです。そのため、関心が先にあり、資源は後から集めます。動き出しの順序が、両極で逆になっています。
同じ報告は、ここから分かれる違いをいくつも挙げています。要点をまとめると、次のようになります。
- 関心の扱い。資源の側は、自分の関心を気軽に見せ、共有し、反対意見も検討する(関心は「私のもの/他人のもの」と線を引きつつ、調整できるもの)。利益の側にとっては、関心こそが自分自身の一部で、手放すことは自分を失うことに近い。
- 資源の扱い。利益の側は、自分の資源を自由に使う。分け与え、取引し、目的のために計画的に補い、使い切る。資源の側にとって、資源は取引の駒ではなく、守るべき持ち場そのもの。
- 鋭く反応する場面。資源の側は、資源に踏み込まれる(自分の時間や資金を勝手に当てにされる)と、ときに過剰に見えるほど鋭く反応する。その一方で、関心への口出しはあまり気にしない。利益の側は、関心を押しつけられる(興味のないことを「やるべきだ」とされる)と強く反発する。その一方で、資源に食い込まれることはあまり気にしない。
- 見切りの形。資源の側は「実現できない関心は、やがて関心でなくなる。古い関心は簡単に手放せる」。利益の側は「好きな取り組みは決して手放さない。睡眠や食事を削ってでもやる」「資源が尽きたら手放すのではなく『延期』して、資源が揃う時を待つ」。
報告の注記は、この軸の鍵になる語を3つに整理しています。「個人空間」「資源(手元にあるもの)」「個人的関心(単なる興味ではなく、責任と愛着を感じて取り組んでいる事柄)」です。そのうえで、資源の側は関心を資源に合わせて調整し、利益の側は資源を関心に合わせて調整するとまとめています。
05相手からどう見えるか
二分法では、反対の側が「欠点のある自分」のように見えることがあります。この軸でも、おたがいの印象はすれ違うとされます。
利益の側から資源の側を見ると、できる範囲でしか動かず、すぐ「無理だ」と見切る人に見えることがあります。反対に、資源の側から利益の側を見ると、生活を削ってまで取り組みにこだわる人に見えることがあります。
検証グループの整理で見れば、どちらも自分の不可侵の領域を守っているだけで、守る対象が資源か関心かが違います。資源の側の「見切り」は関心のほうを調整した結果で、利益の側の「こだわり」は資源のほうを調整した結果です。
付き合い方でも、同じことが起きます。絶えず敬意と気配りを示してくる相手を、資源の側は煩わしく感じます。一方、必要なときしか構ってこない相手を、利益の側は軽んじられたと感じます。アウシュラの尊重の観察が、そのまま日常のすれ違いになります。
アウシュラの記録には、利益の側から資源の側への生の声も残っています。
「ドン・キホーテ〔ILE〕たちには耐えられない」とあるギャバン〔SLI〕が言った、「彼らの顔には『働け、働け』と書いてある」。
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«Не переношу я этих Дон Кихотов, — сказал один Габен, — у них же на лице написано: ―работать, работать‖».
上の引用にあるドン・キホーテはILE(資源の側)、ギャバンはSLI(利益の側)の愛称です。つまり、働きぶりを物差しにする側の空気が、距離と気分を物差しにする側には圧力として受け取られるということです。同じ勤勉さが、資源の側では善意の手本、利益の側では圧力として読まれます。
なお、この軸は、双対の2人が必ず同じ極に入る二者的な軸です。そのため、このすれ違いは双対どうしのあいだでは起きません。アウシュラの記述がすべて「双対対」の単位で書かれているのは、そのためです。アウシュラは、「任意の行為、身振り、さらには言葉の真の意味は、『翻訳者』として登場する同タイプ者にしか説明できない」とまで書いています。片方の側では「叩いた=注意を向けた」でも、もう片方の側では「生涯の傷」になりうる、という指摘です。
06見分け方と実証研究
見分けるときに実際に使える手がかりは、次の4つです。
- 見切りの向き。「やりたいけど時間がない」状況で、やりたいことのほうを手放すか(資源の側)、時間のほうをどこかから作り出すか(利益の側)。手放したあとの語り方も手がかりで、資源の側は「手放したら関心でなくなった」、利益の側は「延期しただけ」と語るとされる。
- 身構える場面。時間やお金を当てにされたときに硬くなるか、興味や取り組みに口を出されたときに硬くなるか。
- 叱り方・構え方。アウシュラの観察のとおり、声と距離で応じるか、行為と構えで応じるか。
- 感情の長さ。感情の表現が短く、情報を伝えて用が済めば閉じるか(資源の側)。気分を一定に保ちつつ、要求や愛着の表明が状況の中で動くか(利益の側)。
ただし、この軸を単独のテストで測ろうとした研究は、否定的な結果を出しています。心理学者のタラノフ(Viktor Talanov)は2003年、合計1,800人を超える大きな標本で、基本の4軸とレイニンの派生の11軸をまとめて検定しました。
我々のシリーズの6つの実験のいずれにおいても、レイニン特徴に心理学的内容は検出されなかった。すべての実験において、レイニン特徴の心理学的な内容的充実の確からしさに関して、帰無仮説が裏づけられた。
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Ни в одном из 6-ти экспериментов нашей серии у признаков Рейнина не выявлено психологического содержания. Во всех экспериментах в отношении вероятности психологического содержательного наполнения признаков Рейнина подтвердилась нулевая гипотеза.
上の引用にある帰無仮説は、「測ったものどうしに関連は無い」とする仮説のことです。つまり、6つの実験のどれでも、レイニンの特徴に心理的な中身は見つからなかったということです。
資源/利益は、職業選択(1,446人)との関連も、質問紙240問との相関も、偶然のばらつきと区別がつくほどの強さはありませんでした。基本の4軸との差は、下の図のとおりです。
タラノフの実験(2003年・447人)。点線(0.91)を下回る値は、偶然のばらつきと区別できない。
数値はタラノフ「レイニン特徴の実験的研究」(2003年、ソシオニクス新聞 №07-08)表3より
340問版の検定でも、同じ構図でした。この軸は外向/内向と論理/倫理の掛け合わせなので、連続した値としても計算できます。それでも、相関二乗和は0.26にとどまりました。一方、ソシオニクスの特徴ではない「善意・謙虚—攻撃性・貪欲」という因子は7.28で、レイニンの派生の特徴(0.24〜0.37)よりはるかに強く質問と結びついていました。
タラノフは同じ論文で、ペテルブルクの検証グループの観察研究についても、「仮説を精緻にする仕事ではあるが、検証にはまだ着手すらしていない」と評しています。なお、この批判の相手と、「行動は何が違うか」の章で引用した検証グループは、同じ系譜の研究チームです。そのため、「行動の記述」と「統計の不在」は、同じ対象をめぐる賛否として読むのが正確です。レイニン自身も「データはすべて予備的」と書いており、資料のあいだの温度差は15本の中でも大きいほうです。
まとめると、この軸は、質問紙で測れる性格の特徴としては確認されていません。一方、原典と観察報告は、「見切りの向き」「身構える場面」という、質問紙では測りにくいふるまいを記述しています。そのため、見分けるには1回の自己申告ではなく、その人が何を手放し、何を守るかを時間をかけて観察する必要があります。
07使うときの注意
最後に、この軸を使うときの注意を3つにまとめます。
名前で判定しないこと。旧名の「譲歩/頑固」は、従順さや強情さの評価ではありません。検証グループの観察では、資源の側(旧名では譲歩)も、資源に踏み込まれれば過剰に見えるほど鋭く反応します。利益の側(旧名では頑固)の粘りも、あらゆる場面での強情さではなく、関心という不可侵の領域に限った守りです。
そのため、「よく譲る人だから資源の側」「言い出したら聞かない人だから利益の側」という判定は、どの領域の話かを見ていない点で、原典の記述からずれます。同じ人が、守る領域では驚くほど固く、調整する領域では驚くほど柔らかく見えます。場面によって印象が反転する軸です。
この軸だけでタイプを決めないこと。資源/利益は、タイプから導かれる15軸の1つです。逆に、この軸1つからタイプは決まりません。8タイプずつの大きなまとまりであるうえ、レイニン自身が研究の薄さを認めた軸なので、単独の根拠にはとくに向きません。
実証の水準を混ぜないこと。タラノフの検定では、この軸に否定的な結果が出ています。原典の記述と観察報告は読み物として豊かですが、「統計的に確認された性質」として引用できる段階にはありません。
08両極のタイプ一覧
両極の8タイプずつを、一覧で再掲します。この軸は、双対の2人が同じ極に入る珍しい並びなので、相性がよいとされる双対の相手と自分は、同じ側にいることになります。自分のタイプがどちらに入っているかを確かめたら、見切りの向きと身構える場面に心当たりがあるかを照らし合わせます。「時間がないとき、何を削るか」という問いが、そのままこの軸の観察になります。合わないと感じたら、それはタイプの判定そのものを見直す手がかりにもなります。二分法は、判定の答え合わせにも使えるからです。
引用索引
本文で引用した出典を、登場した順にまとめます。引用の日本語は原文から訳出したものです。
- [1]グリゴリー・レイニン『Socionics: Typology. Small Groups.』(2010)第III部 本文へ
- [2]アウシュラ・アウグスティナヴィチューテ「レイニン特性理論」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 第5部(№5)(1998年) 本文へ
- [3]アウシュラ・アウグスティナヴィチューテ「レイニン特性理論」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 第5部(№5)(1998年) 本文へ
- [4]アウシュラ・アウグスティナヴィチューテ「レイニン特性理論」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 第5部(№5)(1998年) 本文へ
- [5]アウシュラ・アウグスティナヴィチューテ「レイニン特性理論」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 第5部(№5)(1998年) 本文へ
- [6]アウシュラ・アウグスティナヴィチューテ「レイニン特性理論」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 第5部(№5)(1998年) 本文へ
- [7]アウシュラ・アウグスティナヴィチューテ「レイニン特性理論」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 第5部(№5)(1998年) 本文へ
- [8]アウシュラ・アウグスティナヴィチューテ「レイニン特性理論」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 第5部(№5)(1998年) 本文へ
- [9]サンクトペテルブルクのソシオニクス作業グループ『レイニン特徴の中身: 実地研究の結果』(原題:Наполнение признаков Рейнина: результаты практических исследований、2003) 「譲歩/頑固」の節 露語の報告。公開元の dynamicsocionics.ru は閉じており、Internet Archive の写しで読める。英訳は Wikisocion「Reinin Dichotomies: Study Results」 出典リンク 本文へ
- [10]サンクトペテルブルクのソシオニクス作業グループ『レイニン特徴の中身: 実地研究の結果』(原題:Наполнение признаков Рейнина: результаты практических исследований、2003) 「譲歩/頑固」の節 露語の報告。公開元の dynamicsocionics.ru は閉じており、Internet Archive の写しで読める。英訳は Wikisocion「Reinin Dichotomies: Study Results」 出典リンク 本文へ
- [11]アウシュラ・アウグスティナヴィチューテ「レイニン特性理論」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 第5部(№5)(1998年) 本文へ
- [12]ヴィクトル・タラノフ「レイニン特徴の実験的研究」『ソシオニクス新聞』誌 №07-08(2003年) 本文へ
