MBTI®は どう 生まれ、 どう 日本に 来たのか限界まで 調べてみた!
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この記事は、性格検査MBTIの作られ方と、権利の持ち主、日本で売られるまでの窓口を、公開資料で順に並べたスライド73枚とその説明です。スライドとスライドの間に、スライドに書ききれなかった前提や経緯を書いています。
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序 この資料について
使った資料は、2026年10月16日時点の公開資料です。各組織のサイト・公表文書・会社の登記・判決などから取り、それぞれに出典を付けています。
また、金額は各組織の掲載価格、人数は各組織の公表値です。掛け算をした箇所には、式と元にした数字を添えています。
資料の閲覧日は2026年10月16日から17日です。かぎ括弧の中は各組織や報道の原文で、英語と韓国語の資料は日本語に訳しています。
よく出てくる組織のうち、ETSは米国の非営利の試験機関で、1962年から75年までMBTIの研究版を出版しました。CPPは1975年からの出版社で、今の名前はThe Myers-Briggs Company(TMBC)です。米国の非営利団体Myers & Briggs Foundationを、この記事では財団と呼びます。
続いて、CAPTは1975年設立の研究と研修の拠点で、2023年に財団と合併しました。APT(APTI)は、米国で生まれたMBTI利用者の団体です。英国の販売代理店OPPは、2016年にCPPに買収されています。日本側は、JPP株式会社が日本の販売代理店で、協会は一般社団法人日本MBTI協会を指します。
資料は6つの部に分かれています。第1部はMBTIという検査の話で、誰が作りどこが出版し、どう評価されてきたかを扱います。第2部は米国での権利と売り方で、権利を持つ3者・国ごとの窓口・米国での受け方・資格・購入の条件・名前の書き方の定めです。
続いて、第3部は記録に残る日本の担い手の移り変わりで、リクルート・金子書房・JPPです。第4部は日本での売られ方で、日本の組織・お金の流れ・資格と購入の条件・本・人数と試算を扱います。
そして、第5部は協会が自分について書いていることです。協会の沿革、代表者のプロフィール、資格の審査と倫理の手続きの記述を扱います。第6部はブームと名前で、韓国と日本の流行・正式版の側の発信・訂正と謝罪・商標の登録・法律の条文と判決です。
米国では、1943年に最初の質問紙Form Aが著作権登録されました。1975年からはCPP社が独占出版社で、CPP社は2018年にThe Myers-Briggs Companyに改称しています。
日本では、1965年に日本リクルートセンターが日本版の標準化を発表しました。2000年に金子書房から日本版が刊行され、2003年に日本MBTI協会、2006年にJPP株式会社が設立されています。
そして、2010年に出版元がJPPに移りました。同じ年に、米国のMBTI Trustが日本で「MBTI」を商標登録しています。
時代背景には、米国の第二次大戦や『7つの習慣』(1989年)、日本の高度経済成長(1955〜73年)などがあります。韓国発の16タイプ診断の流行は、韓国が2020年、日本が2021年頃です。
第1部 MBTIという検査
MBTIは、キャサリン・ブリッグスと娘のイザベル・マイヤーズが、ユングの類型論をもとに作った検査です。母娘が最初の質問紙を作ったのは1943年です。
その後、ETSが1962年に研究用として出版しました。1975年からはCPPが出版していて、CPPの今の社名はThe Myers-Briggs Companyです。CPPが出版してから、使い道は自己理解と個人の成長、組織での利用へ広がりました。
また、同じ人がもう一度受けて同じ4文字が出る割合は約4〜5割です。出版社も約50%と公表しています。
母娘と質問紙
MBTIの始まりは、1919年にキャサリン・ブリッグスが性格類型の研究を始めたことです。1921年にユングの『心理学的類型』が刊行され、英訳は1923年に出ました。1927年から38年にキャサリンがユングに送った手紙は、ミシガン州立大学の所蔵目録に記録があります。
その後、1943年に最初の質問紙Form Aが著作権登録され、1962年にETSが研究用の質問紙とマニュアルを刊行しました。1975年にCPP社が独占出版社になり、同じ年にマイヤーズとマコーリーがCAPTを設立しています。
そして、1980年に『Gifts Differing』が刊行され、同じ年にイザベル・マイヤーズが亡くなりました。同じ1980年にIsabel Briggs Myers Trust Fundが設立され、1999年に財団に吸収されています。2000年代に商標の名義だったMyers-Briggs Type Indicator Trust(MBTI Trust)とは、名前の違う団体です。
母のキャサリンは、1893年にミシガン農業大学を農学で卒業しました。1910年代には、キャサリンが独自に4つの類型を作っています(meditative・spontaneous・executive・sociable)。キャサリンは1923年にユングの『心理学的類型』の英訳を読み、1927年から38年にユングと手紙をやりとりしました。
娘のイザベルは、1919年にスワースモア大学を首席で卒業しました。イザベルは1年以上、テストの作り方・採点・統計を学んでいます。学んだのは、銀行の人事部長Edward N. Hayのもとです。
そして、母娘が質問紙づくりを始めたのは1942年です。『Gifts Differing』の序文には、「1942年の夏、私たちは自分たちで作ることにした」とあります。母娘はどちらも、心理学の正式な訓練を受けていません。
MBTIの質問紙には、改訂のたびに「Form A」「Form C」のような版の名前が付きます。1943年のForm Aは、親族と友人の約20人でまず試されました。1944年のForm Cでは項目に重みが付けられ、1957年のForm Dは300項目です。
続いて、1958年のForm Fはよい項目166個に絞った版で、1962年のETS版はこのForm Fをもとにしています。1977年のForm Gは、イザベルが標準化をやり直した短い版です。
日本の現行版の元は、1998年のForm M(Step I)で、CPPの版です。標本は医学生5,355人と71校の看護学生10,000人のほか、のちに1971年以降の採点済み回答用紙80万件超が加わりました。
ETSからCPPへ
ETSは1947年設立の米国の非営利の試験機関で、今はTOEFL・TOEIC・GREなどを作っています。1956年に総裁のHenry Chaunceyがイザベルの研究を知り、ETSは1957年に出版を決め、1962年に研究用として出版しました。CAPTの旧ページは、この出版を「一部の職員の反対を押し切って」と書いています。
同じ1962年に、ETSの研究者StrickerとRossが報告書を出しています。報告は「この結果は、類型論が持つとされる構造上の性質を、どれもほとんど支持しない」と結んでいます。
また、『Gifts Differing』にはETSのDavid Saundersの言葉が載っています。「明らかに、これは心理学の歴史で最も入念に作られた自己報告式の質問紙だった」という言葉です。
CPPの創業者John Blackは、1980年の出版社序文で「ETSの全員がChaunceyの熱意を共有していたわけではない」と書きました。続けて、MBTIはETSのもとで大きく発展しなかったと書いています。
1968年、マコーリーが検査の年鑑でMBTIを知りました。マコーリー(Mary McCaulley)は、フロリダ大学の臨床心理学者です。1969年からイザベルと会い、その後5年でマコーリーは最初のコンピュータ採点を作り、学生3,000人超を研究しています。
そして、1975年に研究と研修の拠点CAPTが設立されました。同じ年にETSが出版をやめ、マコーリーがStanfordの心理学者Jack Blackに相談して、Blackの出版社CPPが引き継ぎました。
その後、Jack Blackに勧められた『Gifts Differing』が、イザベルの死の数か月後の1980年に刊行されています。なお、CAPTの沿革だけは、CPPへの移行を1976年と書いています。ETSが出版をやめた理由を書いた資料は見つかりませんでした。
CPPは1956年に設立された出版社で、もとの社名はConsulting Psychologists Pressです。設立したのは、CPIの開発者Harrison GoughとStanfordのJack Blackです。1957年には、Stanfordから職業興味検査Strongの権利を取得しました。
その後、MBTIの世界で唯一の出版社になったのは1975年です。1980年代には最初のMBTI資格プログラムを始め、FIROも取得しました。1998年にXicomを買収し、葛藤対応の検査TKIを取得しています。
続いて、社名は2002年にCPP, Inc.に変わりました。2016年にCPP最大の販売代理店だった英国のOPPを買収し、2018年にThe Myers-Briggs Companyに改称しています。
1942年から44年に、イザベルは戦争で新しく生まれた仕事に人(とくに女性)を割り振ることを考えていました。1962年から75年はETSの研究者が研究用に使い、1969年からはフロリダ大学(CAPT)でも使われています。
また、1975年までは主に牧師や司祭が結婚カウンセリングに使っていました。1975年からは、キャリアや個人の成長のカウンセラーがCPPのForm Fを使うようになります。その後は組織開発のコンサルタントが組織やチームで使い、1985年からは心理職でない人も資格講座を受けて使っています。
APTIの沿革によると、Jack Blackの目的は自己理解と個人の成長のための道具を出すことでした。日本では、1965年に日本リクルートセンターが日本版を標準化し、1967年に採用試験用の検査の研究でMBTIとの相関を報告しています。
検査の評価
同じ人が時間をあけてもう一度受けることを、再検査と呼びます。再検査で同じ4文字のタイプが出る割合は、出版社TMBCの2018年のマニュアルで約50%です。McCarleyとCarskadonの1983年の研究では、5週間あけて47%でした。
1985年のマニュアルに載った11の標本では、一致の割合が24%から61%で中央値は40%です。16通りから1つをでたらめに選んだ場合は、6.25%です。TMBCは約50%を「偶然の8倍」と説明し、約90%の人は4つの指標のうち3つか4つで同じ結果になるとしています。
指標ごとの再検査の相関は、TMBCの公表で6週以内にE-Iが.86・S-Nが.82・T-FとJ-Pが.81です。日本語訳のForm Gを大学生88名が3か月あけて受けた研究では、男性が.60から.78、女性が.63から.83でした。
1991年に、米国学術研究会議(NRC)が報告書を出しています。報告書『In the Mind's Eye』は「キャリアカウンセリングでMBTIを使うことを正当化するだけの、十分でよく設計された研究は、現時点でない」と書いています。
また、1993年にはDavid J. Pittengerが論文を書いています。論文「MBTIを測る…そして及ばない」は、「再検査の間隔が5週間と短くても、最大50%の人が別のタイプに分類される」と書いています。
そして、2018年に科学誌NatureにS. A. Haslamの書評が載りました。Merve Emreの本『The Personality Brokers』(Doubleday)の書評で、「従来の心理測定の基準では、MBTIはきわめて疑わしい」と書いています。
第2部 権利と売り方(米国)
米国では、商標を財団が、出版をTMBCが持っています。2つの組織は互いに独立して運営しています。
また、出版社は国や地域ごとに販売代理店か自社で売っています。CPP最大の代理店だった英国のOPPは、2016年に出版社に買収されました。
米国では、個人が出版社のサイトからUS$59.95で受けられます。心理学などの修士・博士は、認定なしに検査を買えます。
そして、米国の資格講座は4日間で、資格の期限や更新の定めは書かれていません。出版物や動画での名前の書き方と複製の許諾の窓口は、米国の財団と出版社が定めています。
権利を持つ3者
Myers & Briggs Foundationは、米国の非営利財団(501(c)(3))です。財団はMBTIの商標の持ち主で、研究助成を行い、2023年にCAPTと合併しました。
旧CPP社のThe Myers-Briggs Company(TMBC)は、認定講座を開く会社です。TMBCはMBTIの検査と教材の世界で唯一の出版社です。
また、財団の研究助成のページは、財団は出版社から独立して運営していると書いています。
質問紙の著作権は、1943年のForm Aからイザベル・マイヤーズのものでした。1980年に息子のPeter夫妻が相続して共有し、2018年の報告書の著作権表示も2人の名義です。
また、出版は1962年のETSの研究版から1975年にCPPへ移り、2018年の改称でThe Myers-Briggs Companyになりました。商標の表示は、1998年にはCPPの名義で、2015年からは財団の名義です。
日本での翻訳と配布は、出版社が許諾しています。1965年に日本リクルートセンターが原著者の許可を得て標準化し、2000年に金子書房が日本版を刊行しました。2010年からはJPPが代理店です。
財団のページは、許可を出すのは出版社だと書いています。出版社が「転載・改変・翻案・翻訳の許可を出し、世界に配布している」という記述です。同じページは、「著作権は財団が持つ」とも書いています。
国ごとの窓口
販売代理店(distributor)とは、出版社の検査を国や地域ごとに売る会社のことです。国によっては、販売代理店が資格講座も開きます。2026年の一覧では日本はJPP、韓国はAssestaで、英国・ドイツ・北欧はHuman Houseです。
英国の代理店OPPは、1988年にRobert McHenryが英国で設立しました。OPPは英国と欧州でCPPの検査を売り、研修や独自の教材づくりも行っています。2016年にCPPがOPPを買収し、2018年にCPPとOPPはThe Myers-Briggs Companyの名にまとめられました。
CPPは2016年11月10日の買収の発表で、「OPPは25年以上にわたり、CPPの最大で最も成績のよい販売パートナーだった」と書きました。OPP会長のRobert McHenryは、「この27年で、OPPをCPP最大の販売代理店に育ててきた」と述べています。
英国の会社登記の書類では、2015年の決算でOPPの創業者Robert McHenryが株の67%を持っていました。2016年5月20日に、CPPは英国に買収用の会社CPP Orielを作っています。
11月1日には米国の銀行との担保契約が結ばれ、決議の題は「CPP, Inc.へのUS$4,000,000の融資枠」でした。そして、2016年11月7日にOPPの株が100%取得され、旧取締役が退いてCPPの役員が就きました。
同じ書類では、買収の代金は約1,470万ポンド(約19億円)です。年の初めから一緒だった場合のOPPの1年分の売上は、書類の試算で約1,590万ポンド(約21億円)です。円は欧州中央銀行(ECB)の参照レートで換算し、US$4,000,000は約4.2億円になります。
旧OPPの英国子会社は、The Myers-Briggs Company Limitedです。英国子会社の2024年の売上は合計約934万ポンド(約18億円)で、前年より13.8%減っています。米国本体の決算は見つかりませんでした。
売上の内訳は、検査などが約664万ポンド(約12.9億円)、研修が約224万ポンド(約4.3億円)です。コンサルは約44万ポンド(約8,500万円)、ロイヤルティは約2万ポンド(約430万円)です。
また、同じ決算書には、米国の親会社へ払ったロイヤルティが約315万ポンド(約6.1億円)とあります。これは売上の約3分の1の額です。円は、ECBの参照レートの2024年平均(1ポンド約193.6円)で換算しています。
2018年に公表された会社の規模は、Fortune 100のうち88社が顧客で、115か国・29言語です。
出版社のサイトで国を選ぶ画面(2026年10月)では、日本はJPP、韓国はAssestaがそれぞれ1国を受け持っています。中国はSkill & Will、インドと近隣3国はAnahatです。
また、東南アジアと豪州は本社が直接受け持ち、タイとベトナムはPotentiaです。欧州はHuman Houseが受け持ち、フランスは本社、イタリアはGiuntiです。
米州は米国が本社で、カナダ・ブラジル・中南米にそれぞれ1社があります。中東とアフリカは、Talogy・Ertyad・JvRなどです。
出版社の2020年の技術資料(ロシアは2019年)は、データを集めた窓口を国ごとに書いています。日本は「日本の代理店JPP」、韓国は「韓国の代理店Assesta」です。ポーランド・ロシア・トルコは、「欧州の代理店OPP」です。
1988年に、英国でOxford Psychologists Press(のちのOPP)が設立されました。OPPは1997年に欧州英語版のStep Iを出し、2003年には性格検査16PFの出版元である米国のIPATを買収しています。2005年のフランス語版の資料には、「OPP Ltdは欧州で商標の使用を許諾されている」とあります。
2012年には、デンマークの資格講座をHuman Houseが一手に引き受けるようになりました。その後、2025年頃に欧州の旧システムOPPassessmentが終了しています。
そして、2026年にHuman Houseが欧州の資格認定パートナーになり、英国に事務所を開きました。同じ2026年に、北欧3国の販売は代理店Assessioから本社の直販へ移っています。Human Houseは1980年にデンマークで始まった会社で、最初は労働安全衛生のサービスでした。
米国での受け方と資格
出版社の個人向けの直販サイトは、2008年のウェブの保存記録にmbticomplete.comとして残っています。直販サイトは2014年にはmbtionline.comで、「MBTI Complete」として売られていました。2020年2月にMBTIonlineに作り直されました。
MBTIonlineでは、受検のあとに対話式の学習が続きます。2020年の発表は、この学習の仕組みを「MBTIの専門家の案内をまねる」と書いています。
2026年の個人向けの価格はUS$59.95(約9,500円)です。MBTIonlineの商品ページによると、オンラインで受ける方法は3つだけで、MBTIonline.com・MBTI認定の実践者・所属する組織や学校です。
財団は、MBTIonlineを使う場合について、専門家との振り返りの会話は勧めるが必須ではないと書いています。
研究については、財団の研究助成は応募にMBTIの知識や経験を問いません。採択されたあとは、認定研修を無償で受けられます。また、助成に採択された米国の大学の研究者には、検査・教材・研修が無償で出されます。財団はロイヤルティを受け取りません。
購入については、出版社の定めで、心理学などの修士・博士は認定なしに購入と使用ができます。出版社はこの条件をEducational Eligibilityと呼び、米国だけの制度としています。
受け方については、個人は出版社のサイトからUS$59.95(約9,500円)で受けられます。サイトはMBTIonlineで、専門家との振り返りは勧められていますが、必須ではありません。
1976年にCAPTが最初の専門研修を始めました。1979年から80年にかけて、CAPTの大会から利用者の団体APTが生まれ、独立した非営利団体になります。APTは1985年に資格講座を始めました。
1996年には、APTの講座を終えると出版社から検査を買えるようになっていました(Bレベル)。2001年に出版社は上位の「Certified」制度を始め、2004年には出版社が認める講座の提供者が8団体ありました。
その後、出版社は2008年にAPTとの資格講座の契約を終えました。当時のAPTの名前はAPTIです。2009年には名前を「Certification」に変え、提供者をAMAとCAPT(と出版社)に絞っています。2015年からは米国の公開講座を財団がすべて担い、2023年にCAPTと財団が合併しました。
米国の認定講座は財団と出版社が主催し、4日間で受講料はUS$2,995(約47万円)です。財団の講座案内には、「a certification that stays with you for a lifetime」という文があります。米国側の資料に、資格の期限や更新の定めは書かれていません。
英国の講座はHuman Houseが主催する3日間で、受講料は£2,995(税抜、約63万円)です。英国の資格は生涯有効で、更新はないと明記されています。
韓国の講座は어세스타(Assesta)が主催する4日間32時間で、受講料は100万ウォン(約12万円)です。資格の期限は記載がありません。
어세스타の講座案内は、受講料の設定を説明しています。「The Myers-Briggs Company(旧CPP)の同じプログラムの受講料は、米国では$2,995に設定されていますが、韓国では100万ウォンに設定しました」という記述です。学歴での購入は、英国と韓国では「米国のみの制度」とされています。
名前と複製の定め
米国の財団と出版社は、MBTIの商標の書き方を定めています。財団の「MBTI Permission & Trademarks」のページは、「出版物でMBTIの検査や体系について書くときの、商標の使い方には決まった指針がある」と書いています。
また、出版社の「Trademark Guidelines」は2026年6月に改訂されました。ガイドの定めでは、スライドや動画などの発表で商標がいちばん目立つ箇所と、本文で最初に出る箇所に®かTMを付けます。目立つ箇所は、ふつうは見出しです。
同じガイドは、出版物・記事・スライド・動画での®の付け方と、末尾に置く商標の注記を定めています。ガイドは商標のパロディや否定的な扱いをしないよう求めています。ほかの検査をMBTIの名で説明することも、しないよう求めています。
質問項目・回答用紙・報告書・表・図・ノルムは、複製や配布に事前の書面許諾が必要です。改変・複製・引用の申請は出版社が審査し、コンテンツのライセンスは有料です。
また、財団の定めでは、出版物に質問項目を載せるにも許諾が要ります。見本の項目は申請できます。出版物でMBTIについて書くときは、形容詞として使います。®と商標の注記を付け、パロディや否定的な描き方はしないよう求められています。
そして、許諾の窓口として名前が出るのは米国の出版社で、The Myers-Briggs Companyです。
第3部 日本に届くまで
1965年に、日本リクルートセンターの研究者らが日本版の標準化を試みました。研究者らは原著者の許可を得て発表しています。続いて1982年に、マイヤーズの主著『Gifts Differing』の邦訳が出ました。版元は日本リクルートセンター出版部です。
2000年には、金子書房が日本版の質問紙と本を出しました。2003年に日本MBTI協会ができ、2006年にJPP株式会社ができています。2010年から日本版の出版はJPPに移りました。
また、米国側の記録には、2003年からJapan APTの名前が出てきます。2008年からは日本MBTI協会の名前も出てきます。
日本リクルートセンター
1965年の日本教育心理学会の総会で、「MBTI日本版標準化の試み(その1)」が発表されました。著者は、日本リクルートセンターの江副浩正・大沢武志らと、東京大学・千葉大学の研究者です。研究の対象はMBTIのE形式でした。
発表論文集には、原著者から翻訳と標準化の許可を得たことへの謝辞があります。1966年には、続報と「MBTI日本版の妥当性の研究」が出ています。1967年には、大沢武志らが採用試験用の性格検査「RPI」を作りました。
米国の出版社の年表には、1968年に産業心理学者の「Takeshi Ohsawa」が日本で質問紙を出版したとあります。年表は、これをMBTIの最初の翻訳と書いています。1977年には、日本リクルートセンターがMBTIの日本語訳の報告書を出しています。
1980年に出た『Gifts Differing』は、イザベル・マイヤーズが息子のピーターと共著で書いた主著です。この本は16のタイプ、主機能と補助機能を扱っています。タイプの発達も扱っています。
この本の邦訳は1982年に、『人間のタイプと適性 天賦の才 異なればこそ』の題で出ました。邦訳の版元は日本リクルートセンター出版部で、訳者は大沢武志と木原武一です。国立国会図書館の書誌には、原タイトルとして Gifts differing が記されています。
金子書房からJPPへ
金子書房は心理検査の出版社で、MBTIのほかにPOMS・新版TEG・KT性格検査などを出していました。2000年8月には、金子書房が『MBTIタイプ入門』第5版の発売を告知しました。講座は9月から始まると書かれています。
2003年10月には、日本MBTI協会が有限責任中間法人として設立されました。2004年の協会の所在地は「金子書房内」です。続いて、2006年8月にJPP株式会社が設立されました。
金子書房から出たMBTIの本は、2009年1月のものが最後です。最後の本はコミュニケーション編です。2010年1月に協会のサイトのリンク先がJPPになり、JPPからの本の刊行が始まりました。
米国側の記録
APTは、1979年に発足したMBTIの使い手の団体で、のちにAPTIと改称しています。1991年のAPTの大会には、英国・オーストラリア・カナダとともに日本の代表者が招かれています。1996年と1999年の記録では、APTの講座の海外のライセンス先に日本は入っていません。
2003年の各国団体の名簿には、Japan APTの欄があります。また、2003年から2004年には、APTの講座のライセンス先にJapan APTが入りました。連絡先のメールアドレスは金子書房のドメインでした。
2008年の出版社の資料には、日本MBTI協会の名前が出ています。海外の講座の提供者として JAPAN MBTI® ASSOCIATION と書かれています。現在のAPTIの連携先の一覧に、日本の団体の記載はありません。
今の体制
2004年12月の日本MBTI協会は有限責任中間法人で、協会の所在地は文京区大塚の金子書房内でした。Japan-APTも同じ金子書房内です。PDS総合研究所は有限会社で、渋谷区千駄ヶ谷にありました。
その後、協会は2005年5月に四谷4-6-10へ移りました。2026年10月の協会は一般社団法人で、所在地は新宿区四谷4-6-10です。Japan-APTは日本MBTI協会内にあり、PDS総合研究所は株式会社で、同じ四谷4-6-10にあります。
2004年12月の日本版の出版は金子書房でした。2026年10月の出版は、2006年設立のJPP株式会社です。
日本側でMBTIに関わる組織は、協会とJPPを含めて6つです。日本MBTI協会・JPP・Japan-APT・PDS総合研究所・日本心理アセスメント研究所・MTCCです。
日本MBTI協会は一般社団法人で、協会のサイトは、協会を日本で唯一の普及団体と書いています。出版社の公認を受けたとも書いています。JPPは株式会社で、JPPのサイトは、JPPをCPP社の日本の正規販売代理店と書いています。
Japan-APTは職能団体で、サイトに米国のAPTの日本支部と書いています。認定ユーザーは全員がJapan-APTに所属することが義務とされています。PDS総合研究所は株式会社で、企業・官公庁・医療界向けのプログラムを出しています。日本心理アセスメント研究所も株式会社です。MTCCは、協会とJPPの出資で設立されたクラブと書かれています。
第4部 日本での売られ方
日本では、資格は日本MBTI協会が出しています。検査と本はJPP株式会社が売っています。JPPは米国の出版社の日本の代理店で、JPPと出版社の間の条件は公開されていません。
協会の講座を受けると、資格を持つ認定ユーザーになります。認定ユーザーになるには5日間の講座が要ります。研究と検査の購入にも、認定が求められます。
一般の人は、JPPの体験セッションでMBTIを受けられます。ベーシック編とアドバンス編は1万3千円台から1万8千円台です。
また、公表された有資格者数と受講料を掛けた試算があります。試算は少ない方の数と多い方の数で計算した2通りと、2つの平均の3つです。
組織とお金
MBTIの商標はMyers & Briggs Foundationです。出版は1975年からThe Myers-Briggs Companyが受け持っています。
資格の付与は日本MBTI協会が受け持ち、協会の講座の受講料は298,650円です。講座を受けると認定ユーザーになり、Japan-APTに所属します。JPP株式会社は代理店と出版を受け持ち、検査・書籍・体験セッションを売っています。
そのため、認定ユーザーは検査をJPPから買います。協会のQ&Aには、Web版の購入は有資格者だけとあります。
受検者は、体験セッションと書籍の代金をJPPに払います。認定ユーザーはJPPにWeb版の検査1件2,530円を払います。Webサービスの利用料もかかり、どちらも価格は公開されています。
一方、出版社の技術資料(2020年)には「日本の代理店 JPP」とあります。JPPと出版社の間の金額と条件は公開されていません。
英国の会社登記所(Companies House)に出された2024年の決算書には、米国本社へのロイヤルティが載っています。英国子会社から米国本社へのロイヤルティは315万ポンド(約6.1億円)で、英国子会社の売上の34%です。
また、財団は研究助成で「ロイヤルティを放棄して」いると書いています。採択した研究者に、検査と資料と研修を無料で提供するという説明です。日本の中の払い先は、JPP(検査・書籍・体験)・協会(認定講座)・Japan-APT(入会が義務)・PDS(企業研修)の4つです。
資格と購入の条件
認定ユーザーになるには、まず申込とエッセイで、申込者が志す理由を400〜800字で書きます。次の簡易審査では、電話で確認することがあります。申込を断られることもあります。
そのあと、講座は5日間で、受講料は298,650円です。講座には試験も含まれます。認定ユーザーになると、全員がJapan-APTに所属します。
講座の対象は「現在のご職業でMBTIをご利用になる方」です。協会は、資格を取る目的だけの人には遠慮してもらうと書いています。上位のSTEP II講座は2日間で91,300円、テキストは9,900円で別です。
日本の認定講座は日本MBTI協会が主催し、講座の日数は5日です。2025年と2026年の日程では、4日がオンラインです。残りの1日は集合です。
受講料は税込298,650円です。アカデミック割引では243,650円になります。受講料には、テキスト代と初回の受験料が含まれます。
そのうえで、資格は5年ごとに更新が要ります。協会は、学歴で検査を買える制度を「日本では適用されません」と書いています。この制度は、出版社が米国だけの制度としているものです。年間の開催回数は、2025年が10回、2026年が12回です。
資格を取ったあと、検査はJPPのWebサービスから1件ごとに買います。このWebサービスをJWSと呼びます。2019年10月からの料金表では、JWSの個人登録は登録料5,500円です。サイト利用料は年33,550円で、月払いは3,300円です。
一方、JWSのゲスト登録は登録料と利用料がかかりません。検査のForm MのWeb版は、登録者なら1件2,530円です。ゲスト登録なら1件4,180円です。
有資格者だけが買えるものには、フィードバックセッションツール(1回38,500円)と日本版MBTIマニュアル(5,500円)があります。Web版を買えるのは有資格者だけです。受検者は、有資格者から暗証番号を受け取って受けます。
研究については、協会のQ&Aに「まず、MBTI認定ユーザーであることが第一条件」とあります。研究するには、まず認定ユーザーであることが求められます。そのうえでスーパービジョンを受けることも求められています。
協会の利用者向けのページは、学歴での購入を日本では適用しないと書いています。文言は「学歴によるMBTIマテリアルの購入の資格は、日本では適用されません」です。
個人が受けるには、2つの方法があります。1つはJPPの体験セッションで、ベーシック編・アドバンス編で13,195〜18,370円です。もう1つは、認定ユーザーから暗証番号を受け取ってWeb版を受ける方法です。受けたあとの振り返りには、最低2時間を充てることが義務とされています。
一般向けと企業向け
JPPの公開体験セッションはグループ形式です。ベーシック編の平日のオンラインは16,170円で、休日は18,370円、学生は13,195円です。アドバンス編のオンラインは16,500円で、定員は14名です。
2026年10月16日の表示では、10月26日のベーシック編と10月29日のアドバンス編が満席でした。どちらにも「定員に達しました。キャンセル待ちとなります。」と出ていました。
ベーシック編の料金には、受検料とテキストの代金が含まれます。テキストは『MBTIタイプ入門』です。アドバンス編の料金には、テキストの代金が含まれます。テキストは『タイプダイナミクスとタイプ発達編』です。
日本語の関連書籍の版元は、2010年にJPPへ移りました。例えば、『MBTIタイプ入門』は金子書房から2000年に出ました。JPPからは2011年に出ていて、定価は2,640円です。原著はマイヤーズの Introduction to Type です。
また、原著の多くはCPPの本です。職場編やチーム編も、原著の出版社はCPPです。『エッセンシャルMBTI』(2014年)の原著は、Wileyの本です。
『日本版MBTIマニュアル 第2版』はJPPからだけ出ています。刊行は2022年です。コミュニケーション編は2026年10月の時点で欠品です。
協会のサイトのトップには、導入実績として13の企業・団体が並んでいます。IHI・サントリー・セイコーグループ・専修大学・ソフトバンク・第一三共・筑波大学附属病院・ノーリツ・Boschグループ・丸井グループ・モンデリーズ・ヤンマーHD・ラッシュジャパンです。
料金は、協会のインハウス講座が「一律料金」で、金額は問い合わせです。PDSの企業研修・チーム分析・個人セッションも、金額は問い合わせです。
筑波大学附属病院の研修は、PDS総合研究所が講師を出しています。2024年と2026年の受講料は1コース15,000円(税別)で、定員は15名です。
人数と試算
延べと書いた数は3つあります。協会サイトのQ21は「2024年1月現在」でのべ3,000人です。2025年3月28日のマイナビの取材記事も、のべ3,000人です。2026年9月24日の協会のInstagramは延べ3,500人以上です。
一方、延べと書いていない数は4つです。J-CASTの取材への協会の回答は、2023年6月までに1,500人以上です。2024年2月13日の協会のInstagramは1,200人以上です。
日付の記載がないものでは、協会サイトのメッセージが3,000名を超えると書いています。Japan-APTのサイトは1,000名を超えると書いています。
認定講座の受講料の総額を、公表された有資格者数と掲載の受講料の掛け算で試算しました。公表された金額ではなく、2つの公開資料の数字を掛け合わせた試算です。
少ない方の数で計算すると約2.4億円です。Japan-APTの「1,000名を超える」から1,000人を取り、アカデミック割引の243,650円を掛けています。多い方の数で計算すると約10.5億円です。協会の「延べ3,500人以上」から3,500人を取り、今の税込の受講料298,650円を掛けています。2つの平均は約6.4億円です。
26年は、協会のInstagram(2026年9月24日)の「日本でMBTIの資格付与がはじまって今年で26年」から取っています。26年で割った1年あたりの平均も出しています。少ない方の数で計算して約940万円、多い方は約4,020万円、2つの平均は約2,480万円です。
講座の主催は日本MBTI協会です。この試算には、過去の受講料・割引の利用・税は反映していません。検査の代金やSTEP II講座なども含めていません。JWSの登録料・書籍・体験セッション・企業研修も含めていません。
第5部 協会が自分について書いていること
協会のサイトは、MBTIの開発の始まりを書いています。日本での始まりとJPPの設立も書いています。APTについての記述もあります。
また、協会・PDS・JPPのサイトと取材記事は、代表者の経歴を載せています。受賞と米国の専門家との関係も載せています。
さらに、協会のサイトとInstagramは、講座の審査と資格の更新を書いています。資格のはく奪を審議する倫理委員会についても書いています。各サイトの文言は、かぎ括弧で引いています。
協会の沿革
開発の始まりについて、協会のサイトは1950年にユング本人に手紙を送ったと書いています。続く文言は「ユングの承諾を経て心理検査の開発に着手」です。
日本での始まりについては、協会のサイトに「2000年9月より導入」とあります。「日本人ではじめてMBTI の資格を取得」という記述もあります。
JPPの設立について、協会のサイトは金子書房の撤退を理由に挙げています。文言は「金子書房さんが撤退されたため…JPP 株式会社を設立」です。沿革は、その時期を、CPP社(現在のThe Myers-Briggs Company)が世界で統一したブランディングを進め始めたころとしています。
APTについて、協会のサイトは当時米国心理学会公認の学会だったと書いています。文言は「当時米国心理学会公認の学会であった」です。
代表者のプロフィール
2025年3月28日のマイナビの取材記事は、代表者の経歴を載せています。代表者は大学で教育心理学を専攻したという内容です。卒業後は、心理適性検査の専門会社で研究員などを務めたと書かれています。同じ記事には、「2000年に金子書房・米国CPP社と契約し、日本版MBTIの普及を開始」とあります。
資格については、協会の沿革に「日本人ではじめてMBTI の資格を取得」とあります。協会のサイトには、2003年に協会を設立したことが載っています。
受賞については、協会・PDS・JPPのサイトが2011年8月の受賞を載せています。Myers-Briggs Type Indicator TrustからのThe Isabel Myers in JapanのAwardです。
米国の専門家との関係では、代表者がNaomi L. Quenk 博士の指導を15年以上受けたと、協会のサイトにあります。Quenk 博士は、協会とPDSの永久名誉顧問です。協会のInstagram(2024年4月17日)には、博士が日本の学会で講演したとあります。
協会の規程
講座の申込について、協会は審査の結果で申込を受けない場合があると書いています。
資格の更新について、協会サイトのQ21は、ポイントがないと資格が抹消されると書いています。5年の間に必要な講座や研修を受け、ポイントを取得していないと自動的に抹消されるという内容です。
フィードバックについては、利用者向けのページが2時間未満を倫理違反としています。講座のページには、倫理委員会の審議で資格をはく奪することがあるとあります。
協会のInstagram(2026年9月24日)は、倫理委員会について書いています。投稿によると、委員会のメンバーは弁護士・心理学の専門家・元検事などです。投稿は、委員会が該当する認定ユーザーと面談すると書いています。場合によっては、再教育をしたうえで審議するとも書いています。
審議の結果について、同じ投稿は、受検者を傷つける恐れがある場合の対応を書いています。文言は「受検者を傷つける恐れがある場合には、「認定ユーザー」の資格をはく奪し、資格登録を抹消。MBTIと関わることを禁止しています」です。該当者とはく奪の理由はNEWS LETTERに明記されると書いています。NEWS LETTERは年2~3回発行されるとあります。
第6部 ブームと名前
1つ目は韓国のブームです。韓国では2020年のテレビ番組から16タイプの診断が流行し、正式版の側は番組で使われた16Personalitiesを「偽の検査」と呼びました。
2つ目は、16Personalitiesが英国の別の会社で、MBTIと同じものではないと自分で書いていることです。
3つ目は日本での広がりです。小塩真司は流行の始まりを2021年頃とみており、16Personalitiesの日本での受検は1億9,700万回を超えています。
4つ目は名前の扱いです。日本MBTI協会はサイトと動画で「MBTI」の使い方への注意を出し、2024年から各社が訂正や謝罪を公表しています。
5つ目は商標と法律です。出版物やサービスの区分の「MBTI」の商標は、米国の財団の名義です。また、商標法には商標権の及ばない使い方の定めがあります。
韓国のブーム
韓国のブームは、2020年6月13日のテレビ番組から始まりました。MBCの『놀면 뭐하니』で出演者が無料の検査を受け、直後の6月第3週に「MBTI」の検索量がピークになりました。
韓国リサーチが2022年1月5日に公表した全国1,000人の調査によると、放送で紹介されたサイトの検査は正式なMBTI検査ではありません。MBTI式の名称を借りたNERIS Type Explorerだと書いています。
同じ調査で、「MBTI検査を受けたことがある」人は18〜29歳で90%、全体で45%でした。また、採用に使うのが「適切」は26%、「適切でない」は43%でした。
日本については、小塩真司が『文藝春秋』2025年12月号で、流行の始まりを2021年頃としています。最大の契機は、韓国のアイドルグループが「MBTIもどき」を取り上げたり自身のタイプを公表したりしたことだろう、としています。
韓国の商標検索 KIPRIS では、文字「MBTI」だけの登録のうち、1999年と2011年の登録が財団の名義です。出願したのは、それぞれCPPとMBTI Trustです。
一方、2021年以降は現代ホームショッピング・個人・食品会社の登録も通っています。どれも財団とは別の指定商品での登録です。2026年10月16日の検索では、「MBTI」を含む出願118件のうち登録が42件、拒絶が42件でした。
また、ブームの中では、韓国MBTI研究所の研究部長が16Personalitiesの検査を「偽の検査」と呼んでいます。2022年5月の『세계일보』(世界日報)の記事で、MBTIの正式な設問は一つも入っていないと説明しています。
同じ2022年には、新韓銀行がアセスタと組み、「MBTI® 正式検査をおごります」という企画を行いました。『이코노미스트』の2022年7月16日の記事が、この企画を伝えています。
韓国でMBTIを扱う団体は、韓国MBTI研究所とアセスタ(어세스타)の2つです。研究所は1990年に2人の博士が設立した団体で、韓国語版の著作権と資格教育を持っています。
一方、アセスタは1972年に韓国心理検査研究所として設立され、2008年に今の名前へ改称しました。アセスタの出版の権利は、研究所がCPPと結んだ契約を委任されたものです。2025年からは、2つの団体が資格教育を統合して運営しています。
研究所のサイトによると、1988年にセントルイス大学にいた2人が研究目的で、CPPと韓国版の法的契約を結びました。そして、1991年に出版権の契約を韓国心理検査研究所(今のアセスタ)へ任せたとしています。
また、アセスタのサイトは1972〜1992年の欄に「CPPの韓国パートナー契約」と書いています。
16Personalities
16Personalitiesを運営するのは、英国の会社 NERIS Analytics Limited です。英国の会社登記 Companies House では番号が08646330で、この会社は2013年8月12日に設立されています。設立時の社名は MENTISCORE SOLUTIONS で、2015年1月に今の社名へ変わりました。
所在地は英国ケンブリッジで、取締役はリトアニア国籍の2名です。サイトの表示の受検数は、全世界15.8億回超、日本1.97億回超です。
理論については、自社のページ「our-theory」に次の3点が書かれています。
- 四文字は、Myers-Briggsが導入した略号の形式を、簡単で便利なので使っている
- Big Five(5因子)の次元を組み直した
- 認知機能のような、ユングの概念は取り入れていない
また、利用規約(§22)とサイトの下の欄には、MBTI・Myers-Briggsの語が出てきません。
四文字の型を使う体系は、16Personalitiesのほかにもあります。Keirseyの気質分類は、1978年の書籍『Please Understand Me』が始まりで、1996年にWeb版ができました。2008年のページでは、Myersを「ユングの仕事を救った」と評価し、NTのタイプを「Rationals」と呼んでいます。
また、Humanmetricsは1998年からある無料の検査で、運営は Humanmetrics Inc. です。サイトには「CPP, Inc. と提携していない」とあり、「MBTI と混同されるべきではない」とも書かれています。
16Personalitiesは、サイトの表記で2011年からとしています。AI向けのページ /for-ai には、「16Personalities は MBTI と同じか。いいえ」という問答があります。
16Personalitiesの日本での受検回数は、1億9,700万回超です。2026年10月16日に日本から閲覧したときの表示は、「197M+ Tests taken in Japan」でした。なお、全世界の表示は「1.58B+」(15億8,000万回超)です。
MBTIについては、MBTIのフィードバックを受けた人は19万人以上と、日本MBTI協会のサイト /what/ が公表しています。
ただし、2つの数は単位が違います。16Personalitiesの数は回数で、同じ人が何度も受けると重なります。MBTIの数は人数です。
日本MBTI協会の発信
日本MBTI協会のサイトには、16Personalitiesを受けた人に向けたページ /attention/ があります。題は「16Personalities性格診断テストを「MBTI®」だと思って受けられた方へ」で、2023年3月に公開されています。署名は協会の代表理事です。
ページはまず、16Personalitiesは「MBTIとは全く別のもの」だと説明しています。続いて、タイプで人を決めつける危険を血液型の例で説明し、日本版は代表理事が「私財を投じて」開発したと書いています。
そのあとは、18歳以下の方にとってはMBTIは不適切な検査だという段落です。続く段落は認定ユーザーでない人のサイトや動画についてで、商標法第78条と民法第709条を挙げています。
最後は公式のMBTIを受けてほしいという段落で、ラグビー日本代表やメジャーリーグの例を出しています。末尾のリンク「MBTI体験セッション(有料)」の行き先はJPPで、/imitation/ のページの末尾も同じリンクです。
日本MBTI協会はYouTubeにもチャンネルを持ち、2026年10月16日の時点で動画は18本です。そのうち2026年2月25日の動画は、「MBTI」の表示の使い方への注意です。
動画の概要欄は、題名などに「MBTI」を使うことを「法律上禁止」と説明しています。対象は動画・ブログ・記事のタイトルとSNSの投稿で、例に「MBTI相性ランキング」「MBTI 診断」などを挙げています。
また、概要欄は弁護士事務所との連携と、確認した事例の数も挙げています。文言は「弁護士事務所と連携し適切に対応」「これまでに同様の事例を数百件確認」です。
動画の音声では、すぐに削除されない場合や悪意ある利用の場合の対応も述べています。その場合は「米国の関係者等にそれを通知する義務がある」という説明です。
「採用選考に使わない」という文言のうち、確認できた最も古いものは2001年のCAPTの倫理ガイドです。ガイドは、応募者に受けさせて振り落とすのは「非倫理的で、多くの場合違法」と書いています。CAPTは、2023年に財団と合併した団体です。
出版社のThe Myers-Briggs Company(TMBC)は、2020年の「MBTI Facts」で、採用候補者の選考や社内の配置の決定に使うものではないと書いています。2021年には番組『Persona』への反論で、採用・選考へのあらゆる使用を「非倫理的と考え、容認しない」としました。
また、現行の財団の倫理綱領も、応募者のふるい分けに使うのは「非倫理的」としています。なお、TMBCは同じページで、選考に適さないので職務成績を予測する力を調べた意味のある研究は「(適切にも)ない」とも書いています。
日本では、日本MBTI協会も2026年6月3日のYouTube動画で、採用に使わないと述べています。文言は「MBTIは、採用に使えません 使ってはいけません」です。協会の発信は、米国側の文言と同じ向きです。
公表された訂正と謝罪
「MBTI」の説明や使い方をめぐる訂正と削除は、2024年からテレビ局・企業・財団・個人のサイトが公表しています。最も早いのは、オリコンの2024年9月15日の記事が伝えた2024年9月のフジテレビの訂正です。
訂正の対象は、番組『オールナイトフジコ』での2つの表現です。1つは、MBTIと16Personalitiesの診断の大元になる理論が同じだという表現です。もう1つは、MBTIが「相性や適性をみることができるもの」だという表現です。訂正文は「一般社団法人日本MBTI協会の情報をもとに作成」とされています。
2025年10月には、ナッジ株式会社がWebマガジンの記事を削除するとしました。同じ月に、個人が制作する診断サイト mentuzzle も記述を削除しています。理由は「日本MBTI®協会さまからのご指摘・ご意向により、削除」と書かれています。
2026年には、3月にエーアンドエーがブログ記事の公開を停止しました。続いて、6月にふるさと鳥取県定住機構がイベント名を改称しています。
Web制作会社の株式会社エーアンドエーは、2026年3月19日にお詫びを出しています。対象はブログ記事「【MBTI診断】で考える「適職」①~WEBディレクター編~」です。お詫びは、登録商標「MBTI®」の不適切な使用があったとして、記事の公開を直ちに停止したと説明しています。
また、財団のふるさと鳥取県定住機構は、2026年6月1日に「お詫びと訂正」を出しています。内容は、イベント名「MBTI×謎解きとっとりインターンフェスタ」を改称した報告です。
報告では、「MBTI®」は商標登録用語で商標権者から許諾を受けている「一般社団法人日本MBTI協会」以外は利用できないと説明しています。
日本の「MBTI」の商標
日本では、文字「MBTI」の商標が5件登録されています。区分は、商標を登録するときに指定する、商品やサービスの分類の番号です。
1992年と1993年に出願された3件と、2008年に出願された1件は、今の権利者がどれも Myers & Briggs Foundation です。古い3件は、出版社の旧名 Consulting Psychologists Press が出願したものです。2022年に出願された1件はAladdin株式会社の名義で、区分は化学品・せっけん・衣類などです。
このうち第5292740号は、2008年に MBTI Trust が出願したものです。第5292740号は2015年に Foundation へ移転され、2019年に更新されました。存続期間の満了は2030年1月8日です。
このほか、MYERS-BRIGGS TYPE INDICATOR の3件も Foundation の名義です。人型の図形の商標(第5309127号)は、出版社 The Myers-Briggs Company の名義です。
日本の登録(J-PlatPat)では、「MBTI」の権利者は Myers & Briggs Foundation です。日本MBTI協会のフッターも Myers & Briggs Foundation と書いています。
また、JPPのフッターは Myers-Briggs Type Indicator Trust の登録商標と書いています。
謝罪文では、ナッジ株式会社が「米国The Myers-Briggs Companyが商標権を保有」と書いています。ふるさと鳥取県定住機構の謝罪文は、商標権者の名前を挙げていません。書かれているのは、「商標権者から許諾を受けている「一般社団法人日本MBTI協会」」です。
「MBTI」以外の商標では、「ESTJ」が2011年1月に日本心理アセスメント研究所の名義で登録されました。「ESTJ」は、MBTIのタイプを表す4文字の1つです。2010年の出願(第5381262号)で、区分は41・42・44です。
この商標は、2021年1月に権利の満了で消滅しています。
また、「Japan APT」は2024年に日本MBTI協会が出願しました。第6949664号として、2025年7月に登録され、今も存続しています。区分は16・35・41・44です。
商標法と著作権法
商標法の第25条は、商標権者が、指定した商品やサービスについて登録商標を使う権利を独占すると定めています。
第26条1項6号は、需要者がだれかの業務の商品やサービスだと認識できる形で使われていない商標には商標権の効力が及ばないと定めています。この号は、平成26年の改正で新しく設けられました。特許庁の逐条解説(第22版)は、この号を「裁判例の積み重ねを明文化」したものと書いています。
第36条1項は、侵害する者や侵害するおそれがある者に対し、商標権者が侵害の停止や予防を請求できるという定めです。第78条は、侵害した者を十年以下の拘禁刑か千万円以下の罰金、またはその両方に処すると定めています。
題名や説明に商標の語を使ったことが争われた判決と決定のうち、侵害とされた例は4件です。2005年の大阪地裁(クルマの110番)では、検索結果に表示されるメタタグの説明文などが侵害とされました。同じ2005年の東京地裁(本当にあったHな話)では、別の漫画雑誌の表紙の宣伝文句と別冊の題号が侵害とされました。
2015年の東京地裁(IKEA)では、サイトのタイトルタグとメタタグの「IKEA通販」などが侵害とされました。現代の理論の事件では、2021年と2024年の知財高裁の判決で、雑誌の題号が侵害とされています。題号は、書籍や雑誌の題名のことです。
また、侵害とされなかった例も4件です。1988年の東京地裁(POS)では、書籍の題号「POS実践マニユアル」について侵害が否定されました。1994年の東京高裁(三國志)では、ゲームソフトの題号をめぐる仮処分の抗告が棄却されています。
2009年の東京地裁(朝バナナ)では、書籍の題号の一部の「朝バナナ」について侵害が否定されました。2025年の東京地裁(古武術の流派名)では、雑誌の連載記事・肩書・技の説明に使われた流派名についての請求がすべて棄却されました。2026年には、知財高裁が控訴を棄却しています。
著作権法第32条1項は、公表された著作物は引用して利用できると定めています。そのうえで、引用は公正な慣行に合い、報道・批評・研究などの目的上正当な範囲内で行うものとしています。
文化庁の「著作権テキスト 令和8年度版」は、引用の条件を5つ挙げています。引用する「必然性」があること、カギ括弧などで引用部分が明確なこと、自分の文が主で引用が従であることです。さらに、分量が必要最小限度であることと、出所を明示すること(第48条)です。
判例では、最高裁の昭和55年3月28日の判決が、2つの著作物の区別と主従を挙げています。2つを「明瞭に区別して認識することができ」、かつ「前者が主、後者が従の関係」にあることです。
また、知財高裁の平成22年10月13日の判決は、目的・方法・態様などを総合して判断するとしています。判断の材料には、著作物の種類や権利者への影響も入っています。
流通の全体図
MBTIの検査は、米国の権利者と出版社から、国ごとの窓口を通って受検者に渡ります。権利のうち、「MBTI」の商標は Myers & Briggs Foundation の名義です。質問紙の著作権については、財団のページは「財団が持つ」と書いています。2018年の報告書の表示は Peter・Katharine Myers です。
出版は、The Myers-Briggs Company が1975年から担っています。財団はこの会社を世界で唯一の出版社と書いています。また、米国や豪州などでは、この出版社が直販しています。
国ごとの窓口は、出版社が2026年に載せている一覧に出ています。日本の窓口はJPPで、資格は日本MBTI協会が出しています。韓国はAssesta、英国・ドイツ・北欧などはHuman House、中国はSkill & Willです。インドと近隣の3国(バングラデシュ・ネパール・スリランカ)はAnahatです。
出典
出典の閲覧日は、2026年10月16日〜17日です。英語と韓国語の資料からの引用は、日本語に訳しています。
組織のサイトでは、日本MBTI協会・JPP・Japan-APT・PDS総合研究所・財団・出版社などのページを使っています。このほか、謝罪文・16Personalities・日本の商標の記録もあります。
法令・判例の出典は、e-Gov の商標法・著作権法と、裁判所の判決のPDFです。特許庁の逐条解説(第22版)と、文化庁の著作権テキスト 令和8年度版も使っています。
また、沿革の資料には日本教育心理学会の1965〜67年の発表論文集や、『Gifts Differing』の1980年版と1995年版などがあります。
出典には、年表の背景や外部の評価、ほかの四文字の体系の資料もあります。出版社と各国、資格を出す団体の資料もあります。
MBTIなどの5つの語は、米国その他の国における Myers & Briggs Foundation の商標または登録商標です。5つの語は、Myers-Briggs Type Indicator・Myers-Briggs・MBTI・Step I・Step II です。16Personalities は NERIS Analytics Limited のサービスです。








































































