DCNHサブタイプソシオニクスの 4つの サブタイプ
同じタイプの人どうしの違いを、問題に近づくか離れるか(接触/距離)と、始めたことをやり通すか次々に始めるか(完了/開始)で4つに分けた、グレンコの分類。
DCNHサブタイプは、ソシオニクス研究者のグレンコが、同じタイプの人どうしの違いを4つに分けた分類です。ドミナント(D)・クリエイター(C)・ノーマライザー(N)・ハーモナイザー(H)の頭文字をとって、DCNHと呼ばれます。日本語では支配型・創造型・規範型・調和型とも訳されます(英語では Dominant・Creative・Normalizing・Harmonizing)。
DCNHサブタイプを理解するには、次の7つのポイントがあります。
01サブタイプとは何か
1つ目は、同じタイプの中にある違いです。
ソシオニクスでは、人の性格を16のタイプに分けます。しかし、グレンコは、同じタイプの3〜4人に同じ課題を与えても活発な人と控えめな人に分かれると書いています。グレンコは、この違いの元をこう書いています。
実在の人(タイプの担い手)の心には、ほとんどいつも、そのタイプ以外の機能がいくらか混ざっている。この混ざりものを、私はサブタイプ、あるいはバリアントと呼んでいる。
原文を表示
In the mind of a real person — the type carrier — is almost always an admixture of some other functions than this type. It is this admixture I call subtype or the type variant.
言い換えると、実際の人の心では、タイプどおりの働きに、ほかの機能の働きが少し混ざっているということです。この混ざり方の違いを、グレンコはサブタイプと呼んでいます。
また、グレンコはサブタイプを、生まれつき決まっているタイプとは別のものとして扱います。
こうして、4つの機能タイプの体系ができた。支配型(D)、創造型(C)、規範型(N)、調和型(H)である。「機能」を強調するのは、これらのタイプが、ある特定のコミュニケーションの環境の中で機能する過程で生じるもので、標準的なソシオニクスのタイプが持つ、生まれつきの変わらない構造とは結びついていないからである。
原文を表示
So there was a system of four functional types: dominant (D), creative (C), normalizing (N) and harmonizing (H). I emphasize functional, as they arise in the process of functioning in a specific communicative environment and are not related to the innate and unchanging structure that a standard socionic type has.
上の引用にある機能タイプは、サブタイプの別名です。つまり、タイプは生まれつきの構造で、サブタイプは周りの人とのやりとりの中でできるということです。そのため、強い外からの圧力と本人の動機があれば、サブタイプは変わることもあるとグレンコは書いています。
024つのサブタイプ
2つ目は、ドミナント・クリエイター・ノーマライザー・ハーモナイザーの4つです。
4つの名前は、どれもグループの中での振る舞いをもとに付けられています。グレンコは、用語の説明で4つを1文ずつ定義しています。
ドミナント(支配型、D)
1つ目のドミナントは、こう定義されています。
支配型(D)サブタイプは、活力と決断力が強まっており、それがその人をグループのリーダーになるよう駆り立てる。
原文を表示
Dominant (D) subtype with the enhanced vigor and determination driving individuals to become the leader in a group.
言い換えると、ドミナントは、勢いと決断力が強く、グループのリーダーになりやすいサブタイプです。
クリエイター(創造型、C)
クリエイターは、新しさを求める点でドミナントと分かれます。
創造型(C)サブタイプは、新しさを求める気持ちが強く現れる。独創的な解決を出し、そのためグループの中で独立した役割を主張する。
原文を表示
Creative (C) subtype manifests enhanced desire for novelty; he offers original solutions, therefore, claiming the independent role in the group.
つまり、クリエイターは新しいものを求めてほかの人にない解決を出し、グループの中でも自分の考えで動くということです。
ノーマライザー(規範型、N)
ノーマライザーは、変化よりも安定の側に立ちます。
規範型(N)サブタイプは、形式的な規範、あるいは非形式的な規範を受け入れて支えることで、グループに安定をもたらす。
原文を表示
Normalizing (N) subtype provides stability within the group due to accepting and supporting formal or informal norms.
上の引用にある形式的な規範は書かれた規則、非形式的な規範は暗黙の決まりのことです。言い換えると、ノーマライザーは、決まりを受け入れて守ることで、グループを安定させるサブタイプだと言えます。
ハーモナイザー(調和型、H)
ハーモナイザーの定義は、次のとおりです。
調和型(H)サブタイプは、グループの調和が乱れることへの敏感さが強く現れ、そのためグループの場で仲裁役として働く。
原文を表示
Harmonizing (H) subtype manifests the enhanced sensitivity to disturbance of group harmony, thus functioning as a peacemaker in a group environment.
つまり、ハーモナイザーは、グループの和が乱れることに敏感で、争いを収める役になりやすいということです。
033つの極性
3つ目は、4つを分ける3つの極性です。
グレンコは、4つのサブタイプを、3組の二択の組み合わせで定義しています。この二択を極性と呼びます。1組目は、ストレスへの向き合い方です。
サブタイプでいう接触とは、まず、ストレスがかかったときに進んで問題へ近づき、挑戦を正面から受けて立つことである。遠隔とは、直接の対決を避けることであり、問題の出どころから距離を取る必要があることである。
原文を表示
Contact in the subtype means, first, the willingness to draw closer to a problem in the event of stress, accepting the challenge face to face. Distant is the avoidance of direct confrontation, a need for distancing from the problem’s source.
上の引用にある遠隔は、当サイトでは距離と呼びます。言い換えると、接触は問題に近づいて正面から受けて立ち、距離は問題から離れるということです。グレンコによると、接触の人はストレスのときにかえって元気になり、距離の人は固まったり足場を失ったりします。
2組目は、完了と開始です。完了は始めたことを最後までやり通す力で、開始は新しいことにすぐ切り替え、いくつものことを並行して進める力とされています。
4つのサブタイプは、1組目と2組目の組み合わせで1つに決まります。3組目は、その4つを別の面から2つずつに分ける極性です。
3組目の接続と無視については、グレンコはこう書いています。
基本的に、この尺度は外の環境の変化に対する敏感さを表す。接続的サブタイプはそうした変化にとても敏感で、無視的サブタイプは、その名のとおり、変化に注意を払わない。
原文を表示
Basically, this scale represents sensitivity to changes in the external environment. Connective subtypes are very sensitive to such changes, and ignorative subtypes, as the name suggests, don’t pay attention to them.
つまり、接続は周りの変化に敏感で、無視は周りの変化を気にしないということです。
3つの極性の組み合わせを表にまとめると、次のようになります。
| 型 | 接触/距離 | 完了/開始 | 接続/無視 |
|---|---|---|---|
| D | 接触 | 完了 | 接続 |
| C | 接触 | 開始 | 無視 |
| N | 距離 | 完了 | 無視 |
| H | 距離 | 開始 | 接続 |
※D・C・N・Hは、ドミナント・クリエイター・ノーマライザー・ハーモナイザーです。
表を縦に読むと、どの極性も2つずつに分かれています。例えば、ドミナントとクリエイターは、どちらも問題に近づく側です。2つの違いは、始めたことをやり通すか、次々に新しく始めるかにあります。
04強まる情報要素
4つ目は、サブタイプごとに強まる情報要素です。
グレンコは、どのサブタイプになるかを、8つの情報要素のうちどの2つが強まるかでも説明しています。ドミナントについては、こう書いています。
Ej気質の機能(E(Fe)と P)の強まりは、どのタイプでも、この組がタイプのモデルの中でどの位置を占めていようと、支配型サブタイプを形づくる。
原文を表示
Strengthening of the linear-assertive functions (E & P) — in any type — forms the dominant subtype, whatever position this pair occupies within the sociomodel.
上の引用にあるEj気質は、外向で合理のタイプの気質です。E と Pは、グレンコが情報要素を呼ぶ記号で、Fe(外向倫理)とTe(外向論理)のことです。つまり、Fe(外向倫理)とTe(外向論理)が強まると、タイプの中でどの位置にあってもドミナントになるということです。
ほかの3つも、同じように2つずつの情報要素で決まります。
| サブタイプ | 強まる情報要素 |
|---|---|
| D ドミナント | Fe(外向倫理)・Te(外向論理) |
| C クリエイター | Ne(外向直観)・Se(外向感覚) |
| N ノーマライザー | Ti(内向論理)・Fi(内向倫理) |
| H ハーモナイザー | Si(内向感覚)・Ni(内向直観) |
この表を3つの極性と並べると、接触の2つ(ドミナント・クリエイター)では外向の情報要素が強まり、距離の2つ(ノーマライザー・ハーモナイザー)では内向の情報要素が強まると読めます。同じように、完了の2つ(ドミナント・ノーマライザー)は判断の情報要素、開始の2つ(クリエイター・ハーモナイザー)は知覚の情報要素です。
また、強まる情報要素は、そのタイプのモデルAでの位置を問いません。そのため、例えばNe(外向直観)が主導機能のILE(ENTP)にも、Ti(内向論理)とFi(内向倫理)が強まったノーマライザーのILEがいるということになります。
05グループでの役割と相性
5つ目は、グループでの役割と、サブタイプどうしの相性です。
4つのサブタイプは、もともと同じタイプの4人で作ったグループを観察する実験から見つかったものです。
ここまでに挙げた4つのサブタイプは、実験によって見つかった。同じタイプの4人からなる自律グループで、参加者の振る舞いを観察したのである。
支配型は、ほかと比べて、リーダーの役をいちばんうまくこなす。創造型はアイデアの生み手である。規範型は「ドアを閉める人」、つまり仕上げ役である。調和型は校正者である。
原文を表示
The four subtypes listed above were discovered experimentally. This was done by observing the behavior of participants in an autonomous group of four identical types. Dominants cope the best, compared to others, with the leader role. Creatives are generators of ideas. Normalizers are the “door-closers” or finishers. Harmonizers are the correctors.
言い換えると、同じタイプの4人で何かに取り組むと、サブタイプごとに役割が分かれやすいということです。ドミナントはまとめ役、クリエイターはアイデアを出す役、ノーマライザーは仕上げ役、ハーモナイザーは校正者です。ここでいう校正者は、グループの心理的な雰囲気を感じ取り、修正の信号を送る役のことです。グレンコの学派は、この役割の分かれ方を2006年からの実験で確かめたと書いています。
また、グレンコは、サブタイプどうしの組み合わせにも、タイプ間の関係と同じような相性があるとしています。
対称で引き合う関係は、慣例として双対関係的サブタイプと呼ばれ、中核のタイプどうしの双対と同じ役割を果たす。互いに双対関係的なのは、支配型と規範型(D と N)、そして創造型と調和型(C と H)である。
原文を表示
Symmetric attractive relationships, conventionally called complement subtypes perform the same role as the duality between core types. Complementary to each other are dominant and normalizing (D & N), as well as creative and harmonizing (C & H).
上の引用にある中核のタイプとは、16のタイプそのもののことです。つまり、ドミナントとノーマライザー、クリエイターとハーモナイザーは、タイプでいう双対のように補い合う組だということです。グレンコは、ほかの組み合わせも含めて、サブタイプどうしの関係を4つに分けています。
| 関係 | 組み合わせ | グレンコの説明 |
|---|---|---|
| 双対関係的 | DとN、CとH | 役割の違いを認め合う |
| 同一関係的 | 同じどうし | 高め合うが冷めやすい |
| 恩恵関係的 | D→C→N→H→D | 相手を活気づける |
| 監督関係的 | D→H→N→C→D | 相手を抑えて直す |
※矢印は、働きかける側から受ける側への向きです。例えば、恩恵関係的のD→Cは、ドミナントがクリエイターを活気づける向きです。恩恵関係的と監督関係的は、タイプ間の恩恵関係・監督関係に近いとしてグレンコが付けた名前です。
双対関係的サブタイプの組は、初めは難しくても、しだいに役割の違いを評価し合うとされています。生活の条件が厳しいほど、この組は強くなるとグレンコは書いています。
06タイプ別の4つの肖像
6つ目は、タイプ別の4つの肖像です。
グレンコは『64の肖像』で、16のタイプのそれぞれについて、4つのサブタイプを書き分けています。16タイプ×4サブタイプで64になるのが、書名の由来です。グレンコによると、この記述は2014年に公開されました。
例えば、ILE(ENTP)の4つは、次のように書き分けられています。
| 型 | 呼び名 | 冒頭の例 |
|---|---|---|
| D | 活性化者 | プロジェクトリーダー |
| C | 発明家 | 奇人発明家 |
| N | 検証者 | 研究遠征の組織者 |
| H | カスタマイザ | 運よく難を逃れる人 |
※呼び名は、グレンコがILEに付けた「探求者」のあとに続く部分です(「探求者 — 活性化者」など)。例の欄は、各肖像の冒頭にある「プロトタイプ」(その肖像に近い人物の例)を短くしたものです。
同じILEでも、活性化者はプロジェクトを率い、カスタマイザは快適な暮らしを好むというように、像の幅はかなり広くなります。
16のタイプの4つの肖像は、各タイプの超詳細解説の「サブタイプとタイプ内変異」の章で、グレンコの引用とともに読めます。
07DCNHの成り立ち
7つ目は、DCNHの成り立ちです。
DCNHは、1990年代の後半にグレンコが作った分類です。グレンコは、同じタイプの人でも実際の振る舞いの差が大きすぎることに気づき、トレーニングや実験の中で新しい二分法を探しました。最初に見つけたのは、次の違いです。
私が見つけた最初の新しい二分法は、長い時間の努力を要する問題を解く場面での、人の振る舞いにかかわるものだった。ある人たちは、こうした条件で短距離走者のように振る舞った。つまり、一気に力を出し、それで課題が片づかなければ、課題を手放した。ほかの人たちは長距離走者のように振る舞った。課題をやり終えるまで粘り強さを見せたのである。
原文を表示
The first new dichotomy, which I discovered, concerned human behavior in the situation of solving problems requiring long-time effort. Some behaved in these conditions as sprinters; that is, they made a spurt, and if the task was not resolved, they dropped it. Others behaved like stayers; they showed endurance in bringing the task to completion.
言い換えると、課題をすぐ始めて途中で投げ出す人と、最後までやり通す人がいるということです。グレンコはこれを開始と完了の極性とし、タイプを32に分けました。そのあと、ストレスへの向き合い方(接触と距離)を足して64になり、この2つの極性から4つのサブタイプができたと書いています。
また、グレンコは、DCNHに近い4分類がほかの性格類型論にもあるとして、次のように対応づけています。
| 類型論 | D | C | N | H |
|---|---|---|---|---|
| CPI | アルファ | ガンマ | ベータ | デルタ |
| DISC | 支配 | 影響 | 順応 | 安定 |
| アディゼス | 生産者 | 起業家 | 管理 | 統合 |
| フィッシャー | 指揮者 | 探索者 | 建設者 | 交渉者 |
※D・C・N・Hは、ドミナント・クリエイター・ノーマライザー・ハーモナイザーです。CPI・DISC・アディゼス・フィッシャーは、どれも人を4つに分ける欧米の性格類型論や行動の分類です。
さらにグレンコは、16Personalitiesのアイデンティティの尺度(AとT)を、自分の完了と開始と同じものだと見ています。
しかし、グレンコによると、この理論はソシオニクスの中では長く認められませんでした。
私のサブタイプ理論が、ソシオニクスとは関係がないとしてしつこく否定され、よくても黙殺されていたあいだに、西洋の類型論者たちは私のサブタイプの二分法を独自に見つけ直していた。
原文を表示
While my theory of subtypes was persistently denied as having no relation to socionics, or, at best, was hushed up, Western typologists independently rediscovered my subtype dichotomies.
つまり、ソシオニクスの中で否定されてきた考えが、欧米の性格類型論では別に見つかっていたという主張です。DCNHは現在、グレンコの人道主義ソシオニクス(Humanitarian Socionics)学派で使われている分類です。
08引用索引
- [1]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年) DCNH編「サブタイプ理論」 本文へ
- [2]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年) DCNH編「前史」 本文へ
- [3]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年)理論編「サブタイプ」 本文へ
- [4]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年)理論編「サブタイプ」 本文へ
- [5]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年)理論編「サブタイプ」 本文へ
- [6]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年)理論編「サブタイプ」 本文へ
- [7]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年) DCNH編「タイプ内のサブタイプを定義する極性」 本文へ
- [8]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年) DCNH編「タイプ内のサブタイプを定義する極性」 本文へ
- [9]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年) DCNH編「いくつかの機能の強化」 本文へ
- [10]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年) DCNH編「自律グループにおける行動パターン」 本文へ
- [11]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年) DCNH編「サブタイプはタイプ間関係に影響するか」 本文へ
- [12]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年) DCNH編「前史」 本文へ
- [13]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年) DCNH編「ビッグファイブ」 本文へ
