ドミナント(支配型)DCNHサブタイプの D
ドミナント(D)は、グレンコのDCNHサブタイプの1つで、目標に向かって勢いよく動き、グループのリーダーになりやすいサブタイプです。Fe(外向倫理)とTe(外向論理)が強まることで生まれるとされています。英語では Dominant、日本語では支配型とも訳されます。
ドミナントを理解するには、次の4つのポイントがあります。
01ドミナントとは
1つ目は、ドミナントがどんなサブタイプかです。
DCNHサブタイプは、同じタイプの人を3つの極性の組み合わせで4つに分けた分類です。3つの極性は、問題に近づくか離れるか(接触/距離)、始めたことをやり通すか次々に始めるか(完了/開始)、周りの変化に敏感か気にしないか(接続/無視)です。ドミナントは、そのうち接触・完了・接続の側に入ります。
グレンコは、用語の説明でドミナントをこう定義しています。
D(支配型)サブタイプは、率直的・自己主張的サブタイプと呼ばれることもあり、E + P の機能が強まったものである。つまり、立てた目標を達成するための激しい活動を特徴とするバリアントで、その目標を実現するのに、人を含むあらゆる資源がしばしばつぎ込まれる。こうした人は、周りの人のモチベーター、グループのエンジンとして働く。
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D (dominant) subtype, also sometimes referred to as a linear-assertive subtype, is an enhancement of E + P functions — a variant of the sociotype, which is characterized by intense activities to achieve the set goals, and all possible resources, including human, are often involved in the realization of these goals. Such a person acts as a motivator for the people around him and the engine of the group.
上の引用にあるE + Pは、グレンコの記号でFe(外向倫理)とTe(外向論理)のことです。言い換えると、ドミナントは、決めた目標のために人も含めてあらゆる手を使い、グループを引っぱるサブタイプです。グレンコは、この人を周りの人のモチベーター、グループのエンジンと呼んでいます。
また、グレンコは、ドミナントの目標への向き合い方をこう書いています。
支配性の全般的な特徴は、はっきりした目的志向と、内省より完了の行動が勝っていることである。D の人格は難しい目標にとりつかれ、その目標が頭の中でたえず「うずき」、休ませてくれない。強い欲求に引かれて、こうした人は目標に届こうと何度も試み、失敗しても、そのたびにあきらめない。それどころか、いっそう強く望む。
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General characteristics of dominance are expressed purposefulness with the predominance of terminal action over reflection. D-personality is obsessed with a difficult goal, which constantly “itches” in the brain and does not give rest. Attracted by a strong desire, such a person tries many times to reach the goal, and each time when they fail, does not give up. On the contrary, they want even more.
上の引用にある完了は、DCNHの3つの極性(完了/開始)のうち完了の側のことで、始めたことを最後までやり通す性質を指します。つまり、難しい目標が頭から離れず、失敗するほどかえって強く望むのがドミナントだということです。
02グループでの振る舞い
2つ目は、グループの中での振る舞いです。
グレンコは、ドミナントがグループの中でどう振る舞うかを、こう並べています。
支配型サブタイプの働き方は、グループの中での次のような振る舞いを特徴とする。競うようにできていて、ほかの人からリーダーと認められることが多く、はっきりした目標を立て、本人はそうではないと言うものの、自分の野心に気持ちを向けている。一時的な妥協にしか応じず、勝つことを必要とする。込み入った状況では決然と動き、高い実行力を見せ、誰が何をするべきかを指し示す。権威主義的だが、細かいことについてはそうではない。幅広い人と付き合うが、親しい友人の輪は小さい。
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Dominant subtype functioning is characterized by the following features of behavior in groups: he is designed to compete, is often recognized by others as the leader, sets clear objectives, and is focused on his ambitions, although he claims the contrary. He agrees only to temporary compromises and needs a victory. He acts decisively in complicated situations, exhibiting high performance and indicating who should do what. He’s an authoritarian, but not in the details. He communicates with a wide range of people, but possesses only a small circle of close friends.
言い換えると、ドミナントは、周りからリーダーと見られ、勝つまで引かず、誰が何をするかを決めるということです。一方で、付き合う人の幅は広くても、親しい友人は少ないとされています。
同じタイプの4人でグループを作ると、ドミナントはリーダーの役に最もよく合うとグレンコは書いています。この粘り強さを、グレンコは「スポーツの怒り」という言葉でも説明しています。
支配型サブタイプには、「スポーツの怒り」と呼ばれることのあるものが備わっている。P が E に支えられ、機能の共鳴が起きる。この執着はときに狂信にまで至り、それが目標に向かう動機づけの最大の形である。次の回には、もう別のやり方で試みている。
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Dominant subtype possesses what is sometimes called “sports anger.” P is supported by E and a functional resonance arises. Sometimes this obsession comes to fanaticism, which is the maximum motivation for the goal. He is already trying in a different way next time.
上の引用にあるPとEは、Te(外向論理)とFe(外向倫理)のことです。つまり、仕事の動きを感情の高まりが支え、失敗しても次は別のやり方で挑むということです。執着は狂信に至ることもあるとされますが、同じことを繰り返すのではなく、やり方を変えて挑み直す点がドミナントらしさと言えます。
03強まる情報要素
3つ目は、ドミナントで強まる情報要素です。
ドミナントでは、Fe(外向倫理)とTe(外向論理)の2つが強まるとされています。この2つが組になる理由を、グレンコはこう書いています。
これらの機能は、共鳴の原理で互いを強める。興奮(状態E)は仕事の動き(状態P)を求め、体を動かしている人は、感情の面で必ず「始動する」。
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These functions reinforce each other on the principle of resonance: excitement (state E) requires work movements (state P), and people moving physically inevitably “start up” emotionally.
上の引用にある状態Eは感情が高まった状態、状態Pは仕事で手を動かしている状態のことです。言い換えると、感情の高まりと仕事の動きが、互いを強め合うということです。グレンコは、この2つがタイプの中でどの位置にあってもドミナントになるとしています。
また、グレンコは、ドミナントを第一次と第二次の2つに分けています。第一次は食べ物や健康、家族などの今の課題に、第二次はキャリアや地位などのより高い目標に向かう違いです。
第一次の支配化はFeが強まった型で、感情で人を奮い立たせるモチベーター(非公式のリーダー)になるとされています。一方、第二次の支配化はTeが強まった型で、粘り強く目標へ進むエンジン(公式のリーダー)になるとされています。
04ほかのサブタイプとの関係
4つ目は、ほかのサブタイプとの関係です。
グレンコは、サブタイプどうしにも、タイプ間の関係に近い相性があるとしています。ドミナントから見ると、次のようになります。
| 関係 | 相手 | ドミナントの側 |
|---|---|---|
| 双対関係的 | N ノーマライザー | 補い合う |
| 同一関係的 | D ドミナント | 高め合うが冷めやすい |
| 恩恵関係的 | C クリエイター | 活気づける |
| 恩恵関係的 | H ハーモナイザー | 統制される |
| 監督関係的 | H ハーモナイザー | 抑える |
| 監督関係的 | C クリエイター | 覆される |
※恩恵関係的と監督関係的は向きのある関係なので、同じ関係名が2行ずつ並びます。上の行はドミナントが働きかける相手、下の行はドミナントに働きかける相手です。
つまり、ドミナントと補い合うのはノーマライザーで、クリエイターとハーモナイザーとは向きのある関係になるということです。双対関係的サブタイプの組は、初めは難しくても、しだいに役割の違いを評価し合うとされています。
また、グレンコは、ほかの性格類型論の4分類にもドミナントにあたるものがあるとしています。DISCの支配(D)、アディゼスの生産者(P)、ヘレン・フィッシャーの指揮者などです。どれも、目標に向かって人を引っぱる像としてドミナントと対応づけられています。
0516タイプのドミナント
グレンコの『64の肖像』には、16のタイプそれぞれにドミナントの肖像があります。各肖像の冒頭に置かれた例を短くすると、次のようになります。
| タイプ | 呼び名 | 冒頭に置かれた例 |
|---|---|---|
| ILE(ENTP) | 活性化者 | プロジェクトリーダー |
| SEI(ISFJ) | 配分者 | 交渉を助ける仲介者 |
| ESE(ESFJ) | 世話人 | 社会活動家 |
| LII(INTP) | 改善者 | 体系を最適化する研究者 |
| EIE(ENFJ) | リーダー | カリスマ的リーダー |
| LSI(ISTP) | 要求者 | 軍司令官、総設計師 |
| SLE(ESTP) | 推進者 | 厳しい指揮官 |
| IEI(INFJ) | 嘲笑者 | 体系の欠点を嘲笑する人 |
| SEE(ESFP) | 代表者 | 映画のプロデューサー |
| ILI(INTJ) | 最適化者 | 銀行家、金融家 |
| LIE(ENTJ) | 推進者 | 開拓者、ビジネスマン |
| ESI(ISFP) | 維持者 | 逆境で強くなった人 |
| LSE(ESTJ) | 推進者 | 査察官、地域のリーダー |
| EII(INFP) | 一貫者 | 慈善団体のボランティア |
| IEE(ENFP) | 魅了する者 | パーソナルトレーナー |
| SLI(ISTJ) | 刺激者 | 職人、ハンター |
※呼び名は、グレンコが各タイプのドミナントに付けた名前です。リンク先の各タイプの超詳細解説で、肖像の引用を読めます。
同じドミナントでも、ILEでは革新的なプロジェクトのリーダー、SLEでは厳しい指揮官というように、タイプによって率いる先が異なります。
06引用索引
- [1]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年)理論編「サブタイプ」 本文へ
- [2]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年)理論編「サブタイプ」 本文へ
- [3]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年) DCNH編「四つのサブタイプの識別法」 本文へ
- [4]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年)理論編「サブタイプ」 本文へ
- [5]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年) DCNH編「いくつかの機能の強化」 本文へ
