ハーモナイザー(調和型)DCNHサブタイプの H
ハーモナイザー(H)は、グレンコのDCNHサブタイプの1つで、変化と場の乱れに敏感で、グループの和を保つサブタイプです。Si(内向感覚)とNi(内向直観)が強まることで生まれるとされています。英語では Harmonizing、日本語では調和型とも訳されます。
ハーモナイザーを理解するには、次の4つのポイントがあります。
01ハーモナイザーとは
1つ目は、ハーモナイザーがどんなサブタイプかです。
DCNHサブタイプは、同じタイプの人を3つの極性の組み合わせで4つに分けた分類です。3つの極性は、問題に近づくか離れるか(接触/距離)、始めたことをやり通すか次々に始めるか(完了/開始)、周りの変化に敏感か気にしないか(接続/無視)です。ハーモナイザーは、そのうち距離・開始・接続の側に入ります。
グレンコは、用語の説明でハーモナイザーをこう定義しています。
H(調和型)サブタイプは、受容的・適応的サブタイプと呼ばれることもある。S + T の機能が強まったものとして、これはバリアントの1つであり、変化への感受性(自分の体の変化から組織の発展の変化までを含む、最も広い意味での変化)と、よく育った美的な感覚を特徴とする。このバリアントは、激しくなった衝突や矛盾に、ほかのバリアントよりも耐えられない。
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H (harmonizing) subtype is also sometimes referred to as a receptive-adaptive subtype. As an enhancement of S + T functions, it is a variant of the sociotype characterized by sensitivity to changes in the broadest sense (from changes in one’s own organism to changes in the development of the organization), and developed aesthetic flair. This variant of the sociotype tolerates aggravated conflicts and contradictions less than the rest.
上の引用にあるS + Tは、グレンコの記号でSi(内向感覚)とNi(内向直観)のことです。言い換えると、ハーモナイザーは体の変化から組織の変化まで敏感で、美しさへの感覚が育っているサブタイプです。そのため、強い衝突や矛盾にはほかの型より弱いとされています。
また、グレンコは、ハーモナイザーが向かう内側の調和を、東洋の考え方と結びつけています。
内なる調和は、治療の手段としてではなく、欠かせない存在のあり方として、東洋で古くから練り上げられてきた。それは、行為しないこと(道教では無為と呼ぶ)の原則に基づいている。(中略)だから、じたばたしたり、出しゃばったりしても無駄である。
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Internal harmony, not as a means of healing, but as an integral mode of existence, has long been developed in the East. It is based on the principle of non-action (in Daoism called Wu-Wei). The explanation follows. Any voluntary activity violates the natural course of things. Any action causes the same force of opposition. All the places in the system are already occupied. If the system is complex and variable, then we cannot know the remote consequences of our actions. Therefore, it’s useless to flutter and protrude.
上の引用にある無為とは、自分から何かをしようとしないという道教の考えです。つまり、むやみに動いて外を変えるより、内側の調和を保つほうへ向かうということです。
02グループでの振る舞い
2つ目は、グループの中での振る舞いです。
グレンコは、ハーモナイザーがグループの中でどう振る舞うかを、こう並べています。
調和型の働き方は、グループの中では次の特徴で表される。外からは落ち着いて見えるが、わずかな刺激を受けただけでも心のバランスを崩しやすい。不安を抱えながらも最善を期待し、釣り合いと単純さに目を向ける。感情の面で敏感で、従順で、衝突を避けるが、同時に、近い距離ではいらだつことがある。慣れた心地よさのために寛容である。寛大で、弱い者に共感できる。多くの人が彼に近づこうとするが、彼はするりと抜け出すほうを好む。
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Harmonizing type functioning is characterized within a group by the following: externally he looks calm, though easily loses internal balance even from little exposure; anxious, though he hopes for the best and focuses on proportionality and simplicity. He is emotionally sensitive, compliant, and avoids conflict, and at the same time at close distances can be irritable. He is tolerant for the sake of habitual comfort. He is generous and able to empathize with the weak. Many try to reach him, but he prefers to slip away.
言い換えると、ハーモナイザーは、外からは穏やかに見えても、小さな刺激で心のバランスを崩しやすいということです。衝突を避けて従いやすい一方、近い距離ではいらだちやすく、多くの人が近づいてもするりとかわすとされています。
同じタイプの4人でグループを作ると、ハーモナイザーは校正者の役になるとグレンコは書いています。グループの中での役割は、こう書かれています。
さて、安定したグループで調和型の人が果たす、ほかでは替えのきかない役割について少し述べる。調和型の人は、コミュニケーションのシステムの中でフィードバックを返すようにできている。彼は、心理的な雰囲気を示す指標として、修正の信号を送る。
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Now a few words about the irreplaceable role of the harmonizing personality in a stable group. The harmonizer is designed to provide feedback in the communicative system. He sends correction signals as an indicator of the psychological atmosphere.
つまり、グループの空気の変化を感じ取り、それを周りに知らせて直すのがハーモナイザーの役割だということです。グループに欠かせない役として描いています。
03強まる情報要素
3つ目は、ハーモナイザーで強まる情報要素です。
ハーモナイザーでは、Si(内向感覚)とNi(内向直観)の2つが強まるとされています。この2つの組について、グレンコはこう書いています。
これらの機能は、エネルギーが似ているので、対になって強まる。体がゆるんだ状態は想像力の飛翔を活発にし、その逆も起こる。
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These functions are enhanced as pairs because they have similar energy. A state of physical relaxation activates the flight of imagination and vice versa.
上の引用にある体がゆるんだ状態はSiの、想像力の飛翔はNiの働きを指しています。言い換えると、体がゆるむと想像が広がり、想像が広がると体もゆるむということです。グレンコは、この2つにFi(内向倫理)を加えた組を、ハーモナイザーの理想の組み合わせとしています。
また、グレンコは、ハーモナイザーをさらに2つに分けています。第一次の調和化はSiが強まった型で、体の快適さを大事にするとされています。グループではデザイナーになります。一方、第二次の調和化はNiが強まった型で、自分の内側に深く入りこむとされています。こちらは専門家になります。
04ほかのサブタイプとの関係
4つ目は、ほかのサブタイプとの関係です。
グレンコは、サブタイプどうしにも、タイプ間の関係に近い相性があるとしています。ハーモナイザーから見ると、次のようになります。
| 関係 | 相手 | ハーモナイザーの側 |
|---|---|---|
| 双対関係的 | C クリエイター | 補い合う |
| 同一関係的 | H ハーモナイザー | 高め合うが冷めやすい |
| 恩恵関係的 | D ドミナント | 統制する |
| 恩恵関係的 | N ノーマライザー | 活気づけられる |
| 監督関係的 | N ノーマライザー | 抑える |
| 監督関係的 | D ドミナント | 抑えられる |
※恩恵関係的と監督関係的は向きのある関係なので、同じ関係名が2行ずつ並びます。上の行はハーモナイザーが働きかける相手、下の行はハーモナイザーに働きかける相手です。
つまり、ハーモナイザーと補い合うのはクリエイターで、ドミナントとノーマライザーとは向きのある関係になるということです。双対関係的サブタイプの組は、初めは難しくても、しだいに役割の違いを評価し合うとされています。
また、グレンコは、ほかの性格類型論の4分類にもハーモナイザーにあたるものがあるとしています。DISCの安定(S)、アディゼスの統合(I)、ヘレン・フィッシャーの交渉者などです。どれも、穏やかに人と人の間を保つ像としてハーモナイザーと対応づけられています。
0516タイプのハーモナイザー
グレンコの『64の肖像』には、16のタイプそれぞれにハーモナイザーの肖像があります。各肖像の冒頭に置かれた例を短くすると、次のようになります。
| タイプ | 呼び名 | 冒頭に置かれた例 |
|---|---|---|
| ILE(ENTP) | カスタマイザ | 運よく難を逃れる人 |
| SEI(ISFJ) | 解決者 | 中庸を守る美学家 |
| ESE(ESFJ) | 緩和者 | 業務の調整役 |
| LII(INTP) | 統合者 | 広い視野を持つ科学者 |
| EIE(ENFJ) | 視覚化者 | 予言者、解釈者 |
| LSI(ISTP) | 選別者 | 養蜂家、骨董収集家 |
| SLE(ESTP) | 策謀家 | 人事担当者 |
| IEI(INFJ) | 夢想家 | 楽天的な夢想家 |
| SEE(ESFP) | 促し人 | カフェの社交的な常連 |
| ILI(INTJ) | 予知者 | 百科事典的な学者 |
| LIE(ENTJ) | 冒険者 | 遠くへ一人旅する人 |
| ESI(ISFP) | 慰め人 | 農民、自然保護論者 |
| LSE(ESTJ) | 活性化者 | オフィスマネージャー |
| EII(INFP) | 共感者 | 心理療法士 |
| IEE(ENFP) | 変容者 | 心理コメディの作家 |
| SLI(ISTJ) | 巧妙な者 | 独立した職人 |
※呼び名は、グレンコが各タイプのハーモナイザーに付けた名前です。リンク先の各タイプの超詳細解説で、肖像の引用を読めます。
同じハーモナイザーでも、ILEでは危険な状況から運よく抜け出す人、EIIでは心理療法士というように、タイプによって和を保つ場面が異なります。
06引用索引
- [1]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年)理論編「サブタイプ」 本文へ
- [2]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年)理論編「サブタイプ」 本文へ
- [3]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年) DCNH編「四つのサブタイプの識別法」 本文へ
- [4]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年)理論編「サブタイプ」 本文へ
- [5]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年) DCNH編「いくつかの機能の強化」 本文へ
