ノーマライザー(規範型)DCNHサブタイプの N
ノーマライザー(N)は、グレンコのDCNHサブタイプの1つで、決まりを見つけて守り、グループを安定させるサブタイプです。Ti(内向論理)とFi(内向倫理)が強まることで生まれるとされています。英語では Normalizing、日本語では規範型とも訳されます。
ノーマライザーを理解するには、次の4つのポイントがあります。
01ノーマライザーとは
1つ目は、ノーマライザーがどんなサブタイプかです。
DCNHサブタイプは、同じタイプの人を3つの極性の組み合わせで4つに分けた分類です。3つの極性は、問題に近づくか離れるか(接触/距離)、始めたことをやり通すか次々に始めるか(完了/開始)、周りの変化に敏感か気にしないか(接続/無視)です。ノーマライザーは、そのうち距離・完了・無視の側に入ります。
グレンコは、用語の説明でノーマライザーをこう定義しています。
N(規範型)サブタイプ(L(Ti) + R の機能が強まるので、バランス・安定的サブタイプと呼ばれることもある)は、バリアントの1つで、生活と空間(中略)の形式的な面と非形式的な面の両方を律する規範や規則を、見つけ出し、定め、保つことを特徴とする。
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N (normalizing) subtype (also sometimes referred to as a balanced-stable subtype due to enhancement of L + R functions) is a variant of the sociotype characterized by the identification, establishment and maintenance of norms and rules regulating both the formal and informal aspects of life and space (in the broadest sense, from the allocation for each thing of his personal place to conduct in public places).
上の引用にあるL + Rは、グレンコの記号でTi(内向論理)とFi(内向倫理)のことです。言い換えると、ノーマライザーは、書かれた規則と暗黙の決まりの両方を、見つけ、決め、守るサブタイプです。また、先が見えない状況や、規則が予測できない形で変わり続けることには、ほかの型より弱いとグレンコは書いています。
また、グレンコは、ノーマライザーの決まりには2つの元があるとしています。
倫理による規範化が一次的である。それは、古代の人々が、形式的な組織をまだ何も持たないまま、ようやく寄り集まり始めたときに初めて生じる。(中略)構造論理による規範化は二次的である。形式的な性格を持ち、あとから生じるからである。(中略)L と R の機能は互いを確かに支え合う。法を守ることが安定しているのは、罰を恐れるからではなく、良心から来るからである。
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Ethical normalization is primary. It arises for the first time when ancient people are just beginning to stick together, without having any formal organization. Psychologically, the condition R is expressed as anxiety and conscience, attachment to close people, and loyalty to traditions. Normalizing by structural logic is secondary since it has a formal character and arises later. It is based on knowledge and observance of laws (“dura lex sed lex”), which requires certain psychological qualities of cool-bloodedness and dispassion. Functions L and R reliably support each other: law-abiding is stable not because of fear of punishment, but out of conscientiousness.
上の引用にある倫理による規範化はFiによる決まり、構造論理による規範化はTiによる決まりのことです。つまり、人との関係や良心から生まれる決まりが先にあり、法や規則の決まりはあとから生まれるということです。2つが支え合うので、規則を守るのは罰が怖いからではなく、良心からだとされています。
02グループでの振る舞い
2つ目は、グループの中での振る舞いです。
グレンコは、ノーマライザーがグループの中でどう振る舞うかを、こう並べています。
規範型サブタイプの働き方が行動に現れたものは、次のとおりである。正確さへのこだわり、規則を守ること、規律、慣れた仕事での効率と粘り強さ。ただし、極端な状況では柔軟さに欠け、決められない。忍耐強さ、細部への注意、保守性も、規範型サブタイプを決める特徴である。信頼する友人の輪は狭い。
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Normalizing subtype functioning behavior manifestations are the following: commitment to accuracy, compliance with rules, discipline, efficiency and persistence in familiar work, but lack of flexibility and indecision in extreme situations. Patience, attention to detail, and conservatism also define the normalizing subtype. He has a narrow circle of trusted friends.
言い換えると、ノーマライザーは、正確さと規律を大事にし、慣れた仕事では粘り強いということです。一方で、極端な状況では柔軟さを欠き、迷いやすいとされています。信頼できる友人の輪は狭いともされています。
同じタイプの4人でグループを作ると、ノーマライザーは「ドアを閉める者」、つまり仕上げ役になるとグレンコは書いています。また、ノーマライザーが社会の中で果たす役割を、こう書いています。
規範型の人は、節度があって計画的であり、そのためかなり予測しやすいので、安定をもたらす。(中略)したがって、規範型の人はどんな社会でもその土台をなす。彼らがいなければ、秩序も文明も存在しないだろう。
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The normalizing person brings stability, as he is measured and planned, and therefore quite predictable. He has a good memory, which tells what traditions have passed the test of time. The society is very interested in having many people with N-behavior. Especially as it concerns a society in a state of anomie. Normalizing people, thus, form the foundation of any society. Without them, there would be no order or civilization.
つまり、先が読める人だからこそ周りに安定をもたらし、社会の秩序を支えるということです。ノーマライザーを、社会の秩序と文明に欠かせない人として描いています。
03強まる情報要素
3つ目は、ノーマライザーで強まる情報要素です。
ノーマライザーでは、Ti(内向論理)とFi(内向倫理)の2つが強まるとされています。この2つの組について、グレンコはこう書いています。
形式的な規則の集まりとしての構造論理は、非公式の規範や伝統に導かれる関係倫理に支えられる。
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Structural logic as a set of formal rules is supported by relational ethics, which are guided by informal norms and traditions.
上の引用にある構造論理はTi、関係倫理はFiのことです。言い換えると、決まった規則と、人どうしの暗黙の決まりが、互いを支えるということです。グレンコは、この2つにNi(内向直観)を加えた組を、ノーマライザーの理想の組み合わせとしています。
また、グレンコは、ノーマライザーをさらに2つに分けています。第一次の規範化はFiが強まった型で、伝統に基づく決まりを守り、用心深いとされています。グループでは良心の役になります。一方、第二次の規範化はTiが強まった型で、規則や法に基づき、形式をきちんと守るとされています。こちらはコーディネーターになります。
04ほかのサブタイプとの関係
4つ目は、ほかのサブタイプとの関係です。
グレンコは、サブタイプどうしにも、タイプ間の関係に近い相性があるとしています。ノーマライザーから見ると、次のようになります。
| 関係 | 相手 | ノーマライザーの側 |
|---|---|---|
| 双対関係的 | D ドミナント | 補い合う |
| 同一関係的 | N ノーマライザー | 高め合うが冷めやすい |
| 恩恵関係的 | H ハーモナイザー | 活気づける |
| 恩恵関係的 | C クリエイター | 活気づけられる |
| 監督関係的 | C クリエイター | 阻んで直す |
| 監督関係的 | H ハーモナイザー | 抑えられる |
※恩恵関係的と監督関係的は向きのある関係なので、同じ関係名が2行ずつ並びます。上の行はノーマライザーが働きかける相手、下の行はノーマライザーに働きかける相手です。
つまり、ノーマライザーと補い合うのはドミナントで、クリエイターとハーモナイザーとは向きのある関係になるということです。双対関係的サブタイプの組は、初めは難しくても、しだいに役割の違いを評価し合うとされています。
また、グレンコは、ほかの性格類型論の4分類にもノーマライザーにあたるものがあるとしています。DISCの順応(C)、アディゼスの管理(A)、ヘレン・フィッシャーの建設者などです。どれも、秩序と決まりを保つ像としてノーマライザーと対応づけられています。
0516タイプのノーマライザー
グレンコの『64の肖像』には、16のタイプそれぞれにノーマライザーの肖像があります。各肖像の冒頭に置かれた例を短くすると、次のようになります。
| タイプ | 呼び名 | 冒頭に置かれた例 |
|---|---|---|
| ILE(ENTP) | 検証者 | 研究遠征の組織者 |
| SEI(ISFJ) | 結集者 | 思いやりのある親 |
| ESE(ESFJ) | 提供者 | ホームドクター |
| LII(INTP) | 説明者 | モデルで示す学者 |
| EIE(ENFJ) | 指導者 | 思想運動の創始者 |
| LSI(ISTP) | 信頼者 | 模範的な実行者 |
| SLE(ESTP) | 耐久者 | アスリート |
| IEI(INFJ) | 和解者 | チーム内の仲介者 |
| SEE(ESFP) | 供給者 | ケータリング業者 |
| ILI(INTJ) | 集積者 | 情報を吟味する人 |
| LIE(ENTJ) | 設計者 | 技術開発の研究者 |
| ESI(ISFP) | 糾弾者 | 清教徒的な道徳家 |
| LSE(ESTJ) | 同期者 | 航空パイロット |
| EII(INFP) | 良心者 | 寛容で従順な信徒 |
| IEE(ENFP) | 引き合わせる人 | 人事の選別係 |
| SLI(ISTJ) | 倹約家 | 熟練労働者 |
※呼び名は、グレンコが各タイプのノーマライザーに付けた名前です。リンク先の各タイプの超詳細解説で、肖像の引用を読めます。
同じノーマライザーでも、LSIでは模範的な実行者や公正な役人、LSEでは航空パイロットというように、タイプによって守る決まりの種類が異なります。
06引用索引
- [1]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年)理論編「サブタイプ」 本文へ
- [2]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年)理論編「サブタイプ」 本文へ
- [3]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年) DCNH編「四つのサブタイプの識別法」 本文へ
- [4]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年)理論編「サブタイプ」 本文へ
- [5]Gulenko『64の肖像』(原題:Psychological Types: Why Are People So Different? 64 Portraits in Socionics、2019年) DCNH編「いくつかの機能の強化」 本文へ
