規範機能 超詳細解説
モデルAの3番目の機能・超自我ブロック・メンタルリング
モデルAの規範機能(役割機能)を、ソシオニクスの研究文献からの引用をもとに解説する長編です。当サイトの通常ページは理論を短く言い換えて説明しますが、このページは研究文献からの引用を資料として示し、その比較と分析で構成します。対象は、創始者のアウシュラ・アウグスティナヴィチューテ(Aushra Augustinaviciute)をはじめとする研究者です。レイニン・ブカロフ・ストラティエフスカヤ・フィラトワ・イェルマーク・カルペンコ・グレンコ、そしてシステム・ソシオニクス学派(エグリト)の記述を扱います。同じ規範機能を研究者ごとにどう呼び、どう観測し、どう記述したかを、引用で示します。それを1つの要約にまとめず、本文で比較・分析します。
先に結論を知りたい方は、12章「研究者間で残る中核と食い違い」をご確認ください。
01規範機能とは何か
規範機能は、一般には、モデルAの3番目の機能で、弱いけれども、求められれば人並みにはこなせる機能と説明されます。「役割機能」と呼ばれることも多く、ほかに「接触機能」の名もあり、番号で「第3機能」とも呼ばれます。
よく言われるのは、世間の決まりや型にならって使う機能という像です。自分から進んで使うことは少なく、使うときは「こうするものだ」という手本に合わせます。そのため、できてはいても、自分のやり方という感じがしないとされます。
また、人前で、とくに初対面の場でその役を演じてみせることがあると言われます。努力すればそれらしく振る舞えますが、長くは続かず、続けると疲れるとされます。うまく演じられるぶん、本人が自分を得意だと思い込み、性格テストで別のタイプが出る原因になる、という話もよく聞かれます。
例えば、Se(外向感覚)が規範機能のILEやIEEは、必要な場面では押しを強くできるが、長い競り合いは苦手と言われます。また、Fi(内向倫理)が規範機能のLIIやLSIは、人付き合いの礼儀や道徳を、決まりとしてきちんと守ろうとするとされます。
一方、Fe(外向倫理)が規範機能のLIEやLSEは、場を盛り上げる役を務めることはできても、それが本来の自分ではないと言われます。おおよそ、これが一般に言われている像です。
この像は、あとで見る研究者の記述がところどころ切り出されて広まったものです。弱い・型どおり・長くは続かない・役を演じる、という要素はたいてい合っています。
ですが、研究者ごとに呼び名も力点も違い、「弱いのにできる」の中身の説明も1つではありません。このページでは、03章から研究者ごとの記述を順に見て、18章でこの一般像のどこがそのまま残り、どこが言い直されるかに戻ります。
読この記事の読み方
想定読者は、モデルAの入口ページや規範機能の解説を読み終えて、出典まで確かめたい人です。長いページですが、読み方は単純です。各章で研究者の記述を引用で示し、そのすぐ下に当サイトの読み方(何が共通し、どこが違うか)を書きます。
流れは、01章が一般に言われている像、02章がユングの類型論との関係、03〜11章が研究者別の記述(このページの中心)、12章が横断比較です。続く13〜17章が各論(主導・観察・暗示との比較、次元性、16タイプ、誤読、懸念)、18章が「規範機能とは、詰まるところ」の当サイトのまとめです。また、引用には初出順の番号が付き、押すと巻末の索引へ飛び、索引から本文へ戻れます。引用の扱い方(逐語性、訳出、編集操作)は末尾の「引用と記述の方法」にあります。
ページ冒頭の「コピーしてAIで要約!」を押すと、要約用の指示文とこのページの本文がクリップボードに入ります。AIに渡すと、要約のほか、引用の意味を聞く・研究者ごとの違いを整理させる・自分のタイプの規範機能に絞って読み直す、といった使い方ができます(長すぎるときは章を分けて渡してください)。
02ユングの類型論との関係
規範機能は、ユングの類型論に対応する概念が見当たらない位置です。主導機能にはユングの主要機能が、脆弱機能には(働き方の記述として)劣等機能が対応しますが、規範機能にはそれがありません。その理由を、先にユングの記述で確認します。
劣った機能は内向に仕える
ユングは『心理学的類型』で、外向的な構えの人の機能の配置をこう書いています。
ある構えを外向的と呼べるのは、外向の機制が優勢であるときだけである。その場合、最も高度に分化した機能はつねに外向的に用いられ、劣った諸機能は内向に仕えている。(中略)意識の程度が低い、言い換えれば部分的に無意識的な劣った諸機能は、意識的な自由な選択にずっと小さな程度しか従わない。
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A habitus can be called extraverted only when the mechanism of extraversion predominates. In such a case the most highly differentiated function has a constantly extraverted application, while the inferior functions are found in the service of introversion〔中略〕the less conscious, in other words, the partly unconscious inferior functions are subjected to conscious free choice in a much smaller degree.
ユングの枠では、外向型の人は、最も分化した機能を外向きに使い、劣った機能は内向きの形で持つということです。そして、劣った機能ほど意識の自由な選択に従いにくい、とされます。
この枠に、規範機能の要素を置いてみます。規範機能の要素は、主導機能と同じ指向(外向か内向か)で、側面だけが反対です。例えば、Ne(外向直観)が主導のILEなら、規範機能はSe(外向感覚)です。
ユングの外向的直観型では、感覚は直観と対立する劣った機能です。上の記述に当てはめると、その感覚は内向の形で働くことになります。外向の形の感覚、つまりSeが、弱いまま意識の側で使われる場所は、ユングの像にはありません。つまり、ILEの規範機能のSeは、ユングの枠では置き場のない「弱いのに意識される外向の感覚」だと当サイトでは読みます。ほかのタイプでも、規範機能の要素は同じようにユングの枠に置き場がありません。
モデル・ユングにはない機能
ユングの4機能をもとにした初期のモデルにも、規範機能は入っていません。フィラトワは、SLEを例にモデルAの第2ブロックを説明する箇所で、こう書いています。
一方、ブロックIIの第2の機能(ここではNe〔外向直観〕)は、モデル・ユングには存在しない。しかし、それはそれ独自の重要性を持っている。
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А вот вторая функция блока II (здесь ЧИ) отсутствует в модели Ю. Но по-своему она так же значима.
ここでのブロックIIは超自我ブロックで、その「第2の機能」がSLEの規範機能(Ne)です。フィラトワの言うモデル・ユングは、主導機能・創造機能・脆弱機能・暗示機能の4つのチャンネルからなるモデルで、規範機能はそこに含まれません。
それでも、フィラトワはこの機能にそれ独自の重要性があると書き、続けて「規範的チャンネル」としての性格を説明しています(07章)。
8つの要素がそろったのはモデルA
アウシュラ自身も、『ソシオニクス入門』で、初期のモデルとモデルAの関係をこう書いています。
モデルYu(ユング)は、私たちの研究のごく初期に、「四つの機能」、すなわちK.G.ユングの考えで心の要素のうち最も意識的な四つに基づいて構築された。1979年に、二つの環から成る新しいエネルギー的モデルA(アウグスティナヴィチューテ)が形成され、そこでは情報代謝の八つの要素すべてが、K.G.ユングとはすでに異なる順序で、それぞれの位置を得た。このモデルの出現によりモデルYuはその時事性を失った。
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Модель Ю (Юнг), построенная в самом начала наших иссле- дований на основе «четырех функций», то есть из четырех наиболее’ сознательных, по мнению К. Г. Юнга, элементов психики. В 1979 г. сформи- ровалась новая энергетическая модель А (Аугусти- навичюте), образованная из двух колец, в которой свое место, и уже в ином порядке, нежели у К. Г. Юнга, нашли все восемь элементов ИМ. С ее появлением модель Ю потеряла свою актуальность.
つまり、初期のモデルYu(ユング)は、ユングが最も意識的とした4つの要素で組まれ、8つの要素すべてに位置が与えられたのは1979年のモデルAからだということです。モデルYuの4要素は、主導機能・創造機能と、最小抵抗の点(現行の脆弱機能)、サジェスティヴな要素(現行の暗示機能)です。
規範機能は、このとき新しく位置を得た4つのうちの1つです。ユングの意識的な4つにも、モデルYuの4つにも入らず、モデルAで初めて名前の付いた位置だということが分かります。
読むときの注意
ユングの劣等機能は、要素で見ると暗示機能にあたります(ILEならSi)。規範機能の要素(ILEならSe)は、劣等機能と側面は同じで、指向が逆です。そのため、規範機能をユングの劣等機能の言い換えとして読むことはできません。
小括します。ユングの枠では、弱い機能は意識の統制に従いにくく、主導機能とは逆の指向で働きます。規範機能は、弱いのに意識の側にあり、主導機能と同じ指向で働くという点で、この枠の外にあります。
また、ソシオニクスの初期のモデル(アウシュラのモデルYu、フィラトワのモデル・ユング)にも規範機能は含まれず、8つの位置がそろったモデルAで初めて独立の位置になりました。この「弱いが意識される」という組み合わせを、研究者がそれぞれどう書いたかを、03章から順に見ます。
03アウシュラの記述
アウシュラの規範機能の記述は、主に『機能の理論(フンクツィオニカ)』にあります。8つの機能を1つずつ説明した著作で、規範機能は「弱い・メンタル・アクセプト(受容)」の機能として書かれています。
読むときの注意を1つだけ置きます。アウシュラの番号は現行と一部違い、『機能の理論』の「第4機能」が現行の規範機能(3番)です。引用に出る「第1機能」は現行の主導機能(1番)で、同じです。
弱さ—情報はゆっくりとしか溜まらない
『機能の理論』の第4機能の節は、主導機能との比較から始まります。アウシュラは、こう書いています。
この機能を第1機能から区別するのは「弱さ」である。通常、十分な注意が払われず、情報は蓄積されるものの緩慢に、時折にすぎず、その正しい知覚への確信はなく、獲得と一次加工の速度は大きくなく、それゆえ知識は自分自身の必要のためにすら必ずしも足りない。
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Эту функцию отличает от первой "слабость". Ей не уделяется обычно достаточно внимания , информация хотя и накапливается , но медленно , от случая к случаю , уверенности в ее правильном восприятии нет , скорость получения и первичной переработки невелика , поэтому знаний не всегда хватает даже для собственных нужд .
アウシュラの見方では、規範機能と主導機能を分けるのは「弱さ」だけです。情報はゆっくり、ときどきしか入らず、正しく受け取れているという確信もないので、自分の用を足すぶんにも足りないことがあるとされます。
3標識(強弱・メンタルかバイタルか・受容か生成かという、位置を分ける3つの目印)で見ると、主導機能は「強い・メンタル・アクセプト」、規範機能は「弱い・メンタル・アクセプト」です。どちらも意識の側で情報を受け取る機能で、違うのは量と確信だということが分かります。
揺らぎと、慎重な批判
情報が足りないことは、決めるときの態度に表れます。アウシュラは、こう続けています。
本質的なものを副次的なものから区別するのが困難であるため、決定を下す際に揺らぎ、自分が今行っているように行動する権利が自分にあるのか確信が持てず、それゆえこの要素について周囲の人々に質問することがしばしばある(もちろん、彼らに尊重されると確信している場合)。批判は決して快くは受け止められないので、自身もまた周囲の人々をきわめて慎重に批判し、自分の意見を押しつけない。
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Ввиду того, что человеку трудно здесь отличить главное от второстепенного , он при принятии решения колеблется , не уверен , есть ли у него право поступать так , как он поступает , поэтому частенько он задает по этому элементу окружающим вопросы , конечно , если уверен , что к ним уважительно отнесутся . Поскольку критика воспринимается не очень приятно , сами критикуют окружающих очень осторожно , не навязывая своего мнения .
規範機能の要素については、何が大事で何が副次的かを見分けにくいので、決めるときに迷い、周りの人によく質問するということです。批判されるのは決して快くなく、そのぶん自分も人を慎重にしか批判しない、とされます。
アウシュラは、主導機能(第1機能)の節では、批判を平静に受け止め、人をはっきり批判すると書いています。同じ批判への態度が、規範機能では逆向きになることが分かります。
標準に合わせたい
この位置に固有の欲求を、アウシュラは一文で書いています。
他者の意見に対抗することは難しく、それゆえ標準に合致したい、大多数より劣っていたくないという欲望がある。自身の誤りを個体は「教えられなかった」せいにする傾向がある。
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Мнению других противостоять трудно, поэтому есть желание соответствовать стандартам, быть не хуже большинства . Свои ошибки индивид склонен списывать на то , что не научили .
他人の意見に逆らうのが難しいので、標準に合わせたい、多くの人より劣っていたくないという望みが生まれる、という観察です。うまくいかなかったときは、自分の誤りを「教えられなかった」せいにしがちだ、とも書かれています。
ここに、規範機能という名前の中身がほぼそろっています。自分の基準ではなく、外にある標準に合わせて使う機能だということです。「教えられなかった」という言い分も、標準は外から教わるもの、という前提の裏返しと読めます。
必要なのは押しつけない助け
一方で、アウシュラは規範機能を伸ばす条件も書いています。
第4機能には、押しつけがましくない実際的な助け(ただし他者の直接的な助けを利用するのは申し訳ない)、いつでも興味のある問題について議論し、下した決定を支持してくれる人物、自由な情報の流入が必要である。そうすれば、その新しい発達水準が可能となり、人間ははるかに自信を持ち、より集中的に平静に生き、彼の第4機能は周囲の人々が有用なものを汲み取りうる百科事典を思わせるようになる。
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4-й функции нужна ненавязчивая помощь делом ( но при этом пользоваться прямой помощю других совестно ) , человек , с которым всегда готов обсудить интересующий вопрос и одобрить принятое решение , нужен свободный приток информации . Тогда возможен новый ее уровень развития, человек делается гораздо более уверен в себе, интенсивнее и спокойнее живет, его 4-я функция начинает напоминать энциклопедию, из которой окружающие могут почерпнуть бездну полезного .
アウシュラによれば、規範機能には押しつけがましくない実際の助け、決めたことを支持してくれる相手、自由に入ってくる情報が要ります。そうした条件がそろえば、本人の自信は増し、その要素について周りの人が役に立つことを汲み取れる「百科事典」のようになる、とされます。
ただし、伸びる方向には上限があります。
しかし第4機能が第1機能と同じほど断定的で意志的になることは決してない。彼女にとって、世界とその全球的問題を見る水準にまで上ることは不可能である。彼女はその最良の発達においても、応用的・奉仕的なものであり続け、個体自身、その家族の利益に奉仕するが、社会全体ではない。
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Но никогда 4-я функция не бывает настолько категоричной и волевой , как 1-я . Для нее невозможно подняться на тот уровень видения мира и его глобальных проблем , она при лучшем своем развитии остается прикладной и обслуживающей интересы самого индивида , его семьи , но не всего социума .
引用の「彼女」は、第4機能を指しています。つまり、規範機能はよく伸びても、主導機能のような断定や意志を持つことはなく、世界全体を見る高さには上がらないということです。どれだけ発達しても、自分と家族の役に立つ応用の機能にとどまる、とアウシュラは書いています。
このように、規範機能は伸ばせても、主導機能にはなりません。百科事典のように知識は増えても、それで世界を語ることはないという線引きです。
要約—押しつけられた標準への追従
アウシュラは、第4機能の節を次の一文で要約しています。
要約:第4機能は—サジェスティヴな(暗示にかかりやすい)機能、外的世界の受動的研究と押しつけられた標準への追従の機能。
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Резюме : 4-я функция - суггестивная ( внушаемая ) , функция пассивного изучения внешнего мира и следования навязываемым стандартам.
ここで注意したいのは、アウシュラが規範機能を「サジェスティヴな(暗示にかかりやすい)機能」と呼んでいることです。現行の暗示機能(5番)にあたる第8機能も、アウシュラは「サジェスティヴなバイタル機能」と呼んでいます(13章)。同じ語が2つの位置に使われているので、名前だけで読むと取り違えます(16章)。
要約の後半は、規範機能の働き方そのものです。外の世界を受け身で学び、押しつけられた標準に従う機能だということで、「標準に合致したい」という先の観察と同じことを言っています。
超自我ブロック—定型と紋切型
アウシュラは、規範機能と脆弱機能を含む超自我ブロックの性格もまとめています。
人格は他の人々の列から目立たないようにし、試された定型と紋切型を用いようとする。しかしこの弱さは自己完成への最強の刺激を与える。(中略)社会的標準への適合の観点からの自己評価、それゆえ超自我ブロックのアスペクトの過大評価。
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Личность стремится не выделятся из ряда других, применять испытанные шаблоны и стереотипы . Однако данная слабость дает сильнейший стимул к самосовершенствованию .〔中略〕Оценка себя с точки зрения соответствия социальным стандартам , отсюда сверхценность аспектов блока СуперЭго.
アウシュラの観察では、超自我ブロックでは人は目立たないようにし、試された定型と紋切型を使おうとするということです。アウシュラは、その弱さがかえって自己完成への強い刺激になる、とも書いています。
末尾の「過大評価」は、社会の標準に合っているかどうかで自分を評価するので、このブロックの要素を実際より大きく見てしまうという意味です。規範機能で人並みにこなせることを、本人は得意なことと受け取りやすい、という読みにつながります(06章のストラティエフスカヤ、16章)。
小括します。アウシュラの規範機能の記述の軸は、3つです。
第一に、主導機能と同じ受容の機能で、違うのは弱さだけという定義です。情報はゆっくりしか溜まらず、確信がなく、決めるときに迷い、周りに尋ねます。
第二に、外の標準への追従です。多数より劣っていたくないという望みがあり、押しつけられた標準に従い、超自我ブロックとしては定型と紋切型を使います。
第三に、伸ばせるが上限があるという見方です。押しつけない助けがあれば百科事典のようになりますが、主導機能のような断定には至りません。また、社会の標準で自分を測るため、このブロックの要素を過大評価しやすい、という指摘は、のちの研究者の誤同定の観察に先立つものです。
04レイニンの記述
ソシオニクス研究者のレイニンは、8つの機能を、第1〜第4と、それぞれと対になる第-1〜第-4の8つで呼びます(第-4は負の第4機能で、レイニン独自の表記です)。現行の規範機能(3番)になるのは、第-4機能「恐怖の領域」です。
番号の読み替えには注意が要ります。レイニンの第4機能は現行の暗示機能(5番)で、規範機能はその負の側に置かれています(13章)。
この章で見るのは、レイニンが規範機能を何を避ける場所として書き、仕事の選び方とどう結びつけたかです。
理論編—「私は欲しない」
レイニンは、第-4機能の節に「恐怖の領域。「私は欲しない」」という見出しを付け、こう書いています。
「私は欲する…」への対立は「私は欲しない…」(「私は怖い」)である。これは恐怖のゾーンである。原則として、人々はこれらの不穏で奇妙な問題を避ける傾向がある。もっとも、人間が知ったり理解したりできないものは何もないのだが。
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The opposition to "I want to …" is "I do not want to …" ("I am scared"). This is the zone of fears. As a rule, people tend to avoid these disturbing and strange issues. Although there is nothing that a human cannot know or understand.
「私は欲する」は、レイニンが第4機能(現行の暗示機能)に付けたラベルです。つまり、規範機能の領域は、暗示機能の「欲しい」と対になる「欲しくない」「怖い」の領域で、人はそこにある問題を避けがちだということです。
ただし、レイニンは最後に、人に知ることも理解することもできないものはない、と付け加えています。怖いのは能力がないからではなく、避けたくなるからという書き方です。
この領域を、レイニンは職業の向き不向きと結びつけています。
この機能の観点から職業志向を吟味するのは興味深い。(中略)しかし、異なる類型の人々は異なる心理的代価を払う:ある人にとっては、職業は莫大なエネルギー源かもしれないが、他の人にとっては—心臓発作の原因かもしれない!
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It is interesting to examine career orientation from the point of view of this function.〔中略〕But people of different types pay a different psychological price: for some an occupation may be a source of enormous energy, for others – a cause of a heart attack!
レイニンの見方では、どの職業も覚えることはできるが、払う心理的な代価がタイプによって違うということです。必要な資質が恐怖の領域に入る仕事は、人によっては「心臓発作の原因」にもなる、とされます。
同じ節でレイニンは、指導者の役が向くかどうかを例に挙げています。ILEにとって指導者の仕事は、第3機能(現行の動員機能)と恐怖の領域に関わるので、心理的な代価が大きいとされます。そのためILEは指導的な地位を避け、助言役の場所を探す、という書き方です。規範機能を、できないことではなく、続けると消耗することの領域として書いていると読めます。
タイプ節—仕上げられない、先延ばしになる
タイプ節では、この恐怖の領域が具体的な場面で書かれます。ILEの第-4機能はSe(外向感覚)です。レイニンは、こう書いています。
ILE〔原文: ドン・キホーテ〕の恐怖の領域は、活動・実行・完成度に及ぶ。このタイプは課題を仕上げるのが難しい。彼の多くのプロジェクトは未完のまま残る。時間に追い詰められたときにのみ、ILE〔原文: ドン・キホーテ〕は結果を出すことができる。この特性を自覚していれば、ILE〔原文: ドン・キホーテ〕は先延ばしを避けるためにプロジェクトに締切を設定したいと思うかもしれない。通常、ILE〔原文: ドン・キホーテ〕が課題を仕上げるためには、大きな外的な力の波動が必要である。
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A Don Quixote's zone of fears covers activity, deed, perfection. This type finds it difficult to finish a task. A lot of his projects remain unfinished. Only when pressed for time a Don Quixote is able to obtain a result. Aware of the trait a Don Quixote may want to set a dead line for his project to avoid procrastination. Usually a Don Quixote needs a major external power pulse to finish a task.
言い換えると、ILEの規範機能は活動、実行、仕上げの領域で、課題を最後までやり遂げるのが難しいということです。時間に追い詰められたときだけ結果が出て、ふだんは外から大きな力が加わらないと仕上がらない、とされます。
レイニンは、締切を自分で設けることを勧めています。避けたくなる領域だと自覚していれば、先延ばしに手を打てるという助言です。
続く箇所で、レイニンはエンジンを設計する2つのチームの話をしています。ILEのチームについては、こう書いています。
ILE〔原文: ドン・キホーテ〕のグループは素晴らしい設計案を作り、多くの革新が導入され、絶えず新しい改善が施される。やがて彼らのエンジンは顧客が注文した以上の機能を持ち、彼らはさらに新しい機能を発明し続ける。締切が近づき、資金は使い果たされているが、プロジェクトはまだ完成していない。
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The Don Quixote's group develops a marvelous draft, a lot of innovations are introduced, constantly new improvements are made. Soon their engine has more functions than expected in the customer order, and they continue to invent more new functions. The deadline is approaching, funds are spent but the project is still not ready.
改良は次々に入り、注文以上の機能まで付くのに、締切が来ても完成していない、という場面です。もう一方のLIEのチームは、改良の受付を1か月で打ち切って図面に取りかかり、性能は劣っても締切に間に合わせた、と続きます。
この対比は、同じ課題でも、仕上げが恐怖の領域に入るタイプと入らないタイプでは進み方が違うことを示しています。ILEにとって改良を考えることは楽しく、仕上げることは避けたい側にある、という読み方ができます。
別のタイプでは、恐怖の領域の中身が変わります。ESEの第-4機能はTe(外向論理)で、レイニンはこう書いています。
第‑4機能 — 黒い論理(■(Te)):恐怖の領域。 第四補助機能の領域では、ESE〔原文: ヒューゴー〕は自分自身に対して懸命に取り組まなければならない。建築や単なる家の掃除でさえ彼女を恐れさせる。それを考えるだけで彼女は落ち着きをなくし苛立つ。先延ばしすればするほど恐怖は増し、単純なプロジェクトもESE〔原文: ヒューゴー〕には大きな努力を要求する。
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Function #-4- objective logic ( ): the zone of fears. In the area of the fourth co function a Hugo has to work hard on himself. Construction or plain house cleaning terrifies her. Just thinking about it she gets restless and irritated, her fear grows the longer she procrastinates, simple projects demand great efforts from a Hugo.
ESEにとっては、建築や家の掃除のような手順の要る実務が恐怖の領域にあたる、ということです。考えるだけで落ち着かず苛立ち、先延ばしするほど恐怖が増す、とされます。
ILEの例と並べると、「避ける→先延ばしになる→外からの力か大きな努力でやっと片づく」という流れが、要素を変えても同じ形で書かれていることが分かります。
小括します。レイニンの規範機能(第-4機能)の記述の軸は、2つです。
第一に、恐怖と回避です。暗示機能の「私は欲する」と対になる「私は欲しない」「私は怖い」の領域で、人はそこにある問題を避けます。
第二に、仕上げと代価です。その領域の仕事はできないわけではありませんが、先延ばしになりやすく、続けると大きな心理的代価を払います。ほかの研究者が「人並みに合わせる」面を書くのに対し、レイニンは避けたくなる面を正面から書いているのが特徴です。
05ブカロフの記述
ブカロフは国際ソシオニクス研究所(キエフ)を率いる研究者で、機能の次元性(主導機能が4次元、規範機能は2次元)の提唱者です。規範機能についての記述は、位置一覧の中の性格づけ、次元性の定義、そして講演録の具体例に分かれます。
第3はロール、2次元
晩年の講演で、ブカロフは8つの位置をこう並べています。
最初から始めるなら、もちろん思い出すのは、人間 ― より正確にはその情報代謝タイプ ― には、第1機能 ― 4次元、第2 ― 3次元、第3 ― ロール、2次元、第4 ― 機能は1次元、あるいは「最も抵抗の少ない場所」とも比喩的に呼ばれる:つまり弱く非常に敏感な機能。第5機能 ― 暗示的、または示唆の機能、第6 ― 活性化、活性化の機能、第7 ― コントロールし、第8 ― デモンストレーションのもの。
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Если мы начнем с самого начала, то мы конечно вспомним, что у человека, точнее его типа информационного метаболизма, есть 1-я функция — 4-мерная, у него есть 2-я — 3мерная, 3-я — ролевая, 2-мерная, 4-я — функция 1-мерная, или, как ее образно еще называют, «место наименьшего сопротивления»: то есть функция слабая и очень чувствительная. 5я функция — суггестивная, или внушения, 6-я — активационная, функция активации, 7-я — контролирующая и 8-я — демонстрационная.
ブカロフはここで、規範機能を役割(ロール)の機能であり、2次元の機能として一言で置いています。番号は現行と同じです。
同じ講演でブカロフは、規範機能を含む第3〜第6機能を、周りの世界と社会が人を管理する受信側の機能に分類しています。規範機能は、外へ発する側ではなく、社会からの働きかけを受ける側に置かれています。
2次元—規範とテンプレート
次元性の理論の中で、ブカロフは規範機能を、脆弱機能(1次元)と創造機能(3次元)のあいだに置いて説明しています。
2次元の第3機能では、機能の情報的側面に関する個人的経験のベクトルに加えて、社会的規範と行動のテンプレートのベクトルを含むため、より多くを知っている。第2の ― 3次元の ― 機能ではTIMはテンプレート通りでなく、創造的に、形成される現実の状況から行動できる。なぜなら第2機能では、個人的経験と規範のベクトルに加えて、状況の創造的ベクトルが現れるからである。
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Больше он знает по двумерной третьей функции, содержащей помимо вектора личного опыта вектор социальных норм и шаблонов поведения по информационному аспекту функции. По второй — 3-мерной — функции ТИМ может действовать не шаблонно, творчески исходя из складывающейся реальной ситуации, так как по второй функции помимо векторов личного опыта и норм появляется творческий вектор ситуации.
上の引用にあるベクトルは、判断のときに参照できる情報の種類のことです。言い換えると、規範機能では、自分の経験に加えて、社会の規範と行動のテンプレートを参照できるということです。そのため、経験しか持たない脆弱機能よりは多くを知っています。
ただし、その場の状況から新しいやり方を作るのは、次の創造機能からです。ここでいうテンプレートは、行動の決まった型のことです。規範機能はテンプレートどおりに動き、創造機能はテンプレートを外れて創造的に動くという対比が、ブカロフの次元の積み上げの中心です。
経理の部署に倫理タイプが多い理由
ブカロフは、この2次元の規範機能を、職業の観察で説明しています。
何らかの平均的な経理を取れば、通例どんな経理にも非常に多くの合理的倫理タイプがいる。(中略)機能には創造的 ― 多次元と、規範的 ― 低次元のものがある。そしてあらゆる経理は99%、非常に厳格に規定された規範的活動分野で、何かを思いつく必要はなく、ただ厳密に指示に従うだけ。それで、すべての合理的倫理タイプは、実際そこで穏やかに働く、彼らには規範的な2次元論理がある。(中略)問題は法律や指示が変わるときだけで、そのときは習得するまで緊張が生じる。
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Если мы возьмем какую-нибудь среднюю бухгалтерию, то обычно в любой бухгалтерии очень много рациональных этиков.〔中略〕функции есть творческие — многомерные и нормированные — маломерные. А вся бухгалтерия на 99% очень жестко регламентированная нормированная сфера деятельности, там ничего придумывать не надо, а только строго следовать инструкциям. И оказывается, все рациональные этики, действительно, там работают спокойно, у них нормированная 2мерная логика.〔中略〕Проблемы возникают только тогда, когда меняются законы или инструкции, тогда возникают напряжения, пока не освоят.
合理的倫理タイプとは、ESE・EIE・ESI・EIIの4タイプのことで、どれも論理の要素(TeかTi)が規範機能にあります。ブカロフの説明では、経理の仕事は指示に厳密に従う規範的な分野なので、規範機能の2次元の論理で十分にこなせるということです。
困るのは、法律や指示が変わったときだけで、新しい規則を覚えるまで緊張が生じる、とされます。規則が決まっていればうまく働き、規則が変わると苦しくなるという観察は、テンプレートの機能という定義をそのまま職業に当てたものです。
子どもが関係を表にする
講演録の発達の話には、子どもの規範機能が働きはじめる場面が出てきます。LIIの規範機能はFi(内向倫理)です。ブカロフは、こう書いています。
彼が少し年上になると、彼に関係への興味が現れる(▽(Fi)3)。だが論理タイプには関係とは何かを理解するのが難しく、彼はこれを何らかの形で習得しようとし、そのために論理的スキームを描き始めることができる。そうしてある論理タイプの子供は、おとぎ話映画『マロースコ』を見て、なぜマロースコがこの童話のヒロインに贈り物を授け、その対立者である ― レニヴィツァ ― を厳しく罰したかを理解するため、表全体を作った。
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Когда он становится чуть старше, у него проявляется интерес к отношениям (3). Но логику трудно понять, что такое отношения, он пытается это как-то освоить и для этого может начать чертить логические схемы. Так один ребенок-логик, посмотрев фильм-сказку «Морозко», составил целую таблицу, чтобы понять, почему Морозко одарил подарками героиню этой сказки, а её антипода — Ленивицу — строго наказал.
ブカロフが書いているのは、LIIの子どもが人間関係に興味を持ちはじめたとき、それを論理の表に整理して理解しようとしたということです。童話の登場人物がなぜ報われ、なぜ罰されたのかを、表で確かめたとされます。
規範機能の要素を、自分の強い機能(ここでは論理)の道具で学ぶという場面です。ストラティエフスカヤが、規範機能は主導機能に補助的な情報を与えると書くこと(06章)と、論理と倫理を入れ替えた同じ形の観察です。
社会が吹き込んだ進路
同じ講演で、ブカロフは大学生の進路選びについて、こう書いています。
何が起こったかというと:社会的超自我ブロックによって、両親、周囲、テレビ、インターネットが彼に、こんな素晴らしい職業があると吹き込んだ ― それで稼ぎ、苦労を知らず、皆そこに行く、と。(中略)学生は「身分不相応な帽子だ」と理解する、ある人々はただ嫌悪を感じるようになる。
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Вот что получилось: по социальному блоку СуперЭго родители, окружение, телевидение, интернет внушили ему, что у него будет такая классная профессия, которой он будет зарабатывать, горя не знать, все же туда идут.〔中略〕студент понимает, что «не по Сеньке шапка», некоторым просто противно становится.
つまり、親や周りやメディアが「良い職業」として吹き込んだ進路を、超自我ブロックが受け入れて選んでしまうことがある、ということです。数年たって「自分のものではない」と気づき、嫌悪を感じる学生もいる、とされます。
これは規範機能1つではなく超自我ブロック全体の話です。ですが、社会の標準を自分の選択として取り込み、あとでずれに気づくという流れは、規範機能の「外の標準に合わせる」性格を、人生の選択の大きさで示した例として読めます。
小括します。ブカロフの規範機能の記述の軸は、2つです。
第一に、2次元という理論的定式です。自分の経験に社会の規範とテンプレートが加わり、テンプレートどおりには十分に働きますが、状況に合わせて作り変えるのは創造機能からです。
第二に、講演録の実例が示す、規則が決まっていればうまく働き、規則が変わると苦しくなるという観察です。経理の倫理タイプ、関係を表にする子ども、社会に吹き込まれた進路は、どれも規範機能を外から与えられた型で動く機能として書いています。
06ストラティエフスカヤの記述
ヴェラ・ストラティエフスカヤは、16タイプを8位置ごとの長い場面記述で書いた著者です。主著『お別れしないために』の第I部(理論編)には、位置ごとの一般記述があります。規範機能の節の見出しはそのまま「規範機能」で、番号も現行と同じです。
この章で取り上げるのは、理論編の規範機能の節と、第II部のタイプ章からILEの規範機能の節です。
自己仕上げの機能
ストラティエフスカヤは、心理を「省庁」に、8つの位置をその部局にたとえて全体を書いています。規範機能の節は、こう始まります。
私たちの「省庁」の三番目の部屋には、「規範機能」—別名「自己仕上げ機能」とも呼ばれる「部局」が位置する。(中略)すでに語られたとおり、この機能によって受容される情報は、極めてゆっくり蓄積され、こんな苦労をして吸収されるため、得られた知識は最低限の必要を満たすのに辛うじて足りる。当然、こうした事態は誰も納得させない。それゆえ、私たちはあらゆる手を尽くしてこの機能を発達させようと努める。
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В третьем кабинете нашего "департамента" располагается "ведомство" "нормативной функции" или, как ее еще называют, функции "самодоработки".〔中略〕Как уже говорилось, информация по аспекту, воспринимаемому этой функцией, накапливается настолько медленно и усваивается с таким трудом, что полученных знаний едва хватает на удовлетворение самых минимальных потребностей. Понятно, что такое положение дел никого не устраивает. Поэтому мы всячески стараемся эту функцию у себя развивать.
言い換えると、規範機能は「自己仕上げ機能」とも呼ばれ、情報がゆっくりしか溜まらないので、最低限の必要を満たすのがやっとだということです。誰もその状態に満足しないので、人はあらゆる手を尽くしてこの機能を伸ばそうとする、とされます。
では、どこまで伸ばすのか。ストラティエフスカヤは、こう続けています。
もちろん、プログラム機能の能力には及ばない(力は同等ではない)。だが私たちにそれは必要ない。私たちはこのアスペクトを必要に迫られて、ただ「他者より劣らない」ためだけに発達させているのだ。それゆえ、それを規範的(最適な)レベルまでしか引き上げない。
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Конечно, возможностей программной функции ей не превзойти (силы не равны), но нам это и не нужно: ведь мы развиваем этот аспект только в силу необходимости, только для того, чтобы быть "не хуже других". А следовательно, и доводим его только до нормативного (оптимального) уровня.
上の引用にあるプログラム機能は、主導機能のことです。つまり、規範機能は「他者より劣らない」ためだけに、規範的なレベルまで育てる機能だということです。主導機能と力比べをするつもりはなく、人並みで足りる、という位置づけです。
アウシュラの「大多数より劣っていたくない」(03章)と、ほぼ同じことを別の語で書いています。ストラティエフスカヤの超自我レベルの説明でも、自我レベルでは他者より優れていることを恥じないが、超自我レベルでは「他者より劣らない」ように全力を尽くす、と書かれています。
規範機能にも価値はある
ストラティエフスカヤの書き方で特徴的なのは、規範機能の価値を問うところです。読者の問いに答える形で、こう書いています。
何らかの価値、敬愛する読者よ、規範機能のアスペクトはやはり持っている。少なくとも、その「外内向性」(外向か内向か)が、私たちの「プログラム」のアスペクトと一致しているということだけでも。(中略)それゆえ、このアスペクトを私たちはやはり尊重し、それに対し無関心でいることはできないのだ。
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Какую-то ценность, дорогой Читатель, аспект нормативной функции все-таки имеет. Хотя бы уже тем, что по своей "вертности" (экстра- или интровертности) он совпадает с аспектом нашей "программы"〔中略〕Поэтому этот аспект мы все-таки уважаем и быть к нему равнодушны никак не можем.
「外内向性」とは、外向か内向かのことです。つまり、規範機能の要素は、主導機能の要素と外向・内向が一致しているので、本人にとってまったくの無関係ではなく、尊重せずにはいられないということです。
規範機能の要素が主導機能と同じ指向を持つことは、配置の公理(13章)からも確かめられる事実です。ストラティエフスカヤは、その事実を「価値は少しある」という本人の感じ方として書いています。
主導機能への補助的な情報
規範的なレベルを超えて伸ばすこともある、とストラティエフスカヤは書いています。その理由はこうです。
それは、規範的アスペクトがときにわがプログラム的アスペクトに補助的な情報を提供するからである。(中略)私たちの「プログラム」が「関係の倫理」だとすると、規範機能は「関係の論理」となる。(中略)結婚に入る人々の気質、性格、年齢の比率は彼にとって興味深い。
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Затем, что иногда нормативный аспект дает вспомогательную информацию нашему программному аспекту.〔中略〕наша "программа" -"этика отношений", следовательно нормативная функция -"логика соотношений".〔中略〕соотношения темпераментов, характеров, возрастные соотношения людей, вступающих в брак, ему интересны.
言い換えると、規範機能の情報は、ときに主導機能の補助として使えるということです。主導機能が人間関係を見る倫理なら、規範機能は関係を筋道で整理する論理になります。例えば、結婚する2人の気質や性格や年齢の釣り合いは、倫理タイプにとっても興味深い、とされます。
同じ箇所でストラティエフスカヤは、倫理タイプがソシオニクスを学ぶことで、この規範機能を進んで伸ばすとも書いています。主導機能の役に立つかぎりで、規範機能は熱心に使われるという見方で、ブカロフの子どもが関係を論理の表で学んだ例(05章)の裏返しにあたります。
接触機能、役割機能
規範機能を熱心に伸ばすと何が起きるか。ストラティエフスカヤは、こう書いています。
さて、もし私たちが規範的アスペクトを熱心に発達させ始めたとしたら、何が起こるか? 当然、それに多くの力と注意を費やしているのだから、私たちは自分の努力の結果を披露することも目指す。これは特に、新しい交流の輪に入るときに頻繁に起こる。(中略)言い換えると、交流の際に、私たちはある「役」を「演じる」のである。ここから、規範機能はさらに二つの名前—「接触機能」または「役割機能」を得る。
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Итак, что же происходит, если мы начинаем усердно развивать наш нормативный аспект? Понятно, что уделяя ему много сил и внимания, мы стремимся также продемонстрировать результаты наших усилий, что особенно часто происходит, когда мы попадаем в новый круг общения.〔中略〕Иными словами, общаясь, "разыгрываем" некую "роль". Отсюда нормативная функция получает еще два названия: "контактная функция", или "ролевая".
つまり、伸ばした成果を見せたくなり、とくに新しい人間関係に入るときに、規範機能の立場から自分を見せて役を演じるということです。まだ知られていない相手に好印象を与えたいので、「捨てたものではない」ことを示そうとする、とされます。
ここから、規範機能には「接触機能」「役割機能」という2つの別名が付く、とストラティエフスカヤは書いています。一般像の「初対面で役を演じる」(01章)は、この記述に由来すると読めます。
専門家と思い込む、テストで反対のタイプになる
役を演じることには、本人の自己評価への副作用があります。ストラティエフスカヤは、こう書いています。
規範的アスペクトの発達に夢中になるあまり、私たちは自分の成功にすっかり喜び、ときに自分をこの分野で高い専門家だと誤って考えることがある。実際には、私たちはここで「追い上げてきた遅れ組」にすぎないのに。同じ理由で、テストにおいて誤りが頻繁に起こる—人間は自分の弱いアスペクトを過大評価しすぎるあまり、結果として完全に反対の人格タイプに自分を分類してしまう。
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Увлекаясь развитием нормативного аспекта, мы так радуемся нашим успехам, что иногда ошибочно считаем себя в этой области высокими профессионалами, хотя на самом-то деле мы здесь не более, чем "подтянувшиеся отстающие". По этой же причине часто происходят ошибки в тестировании: человек настолько завышенно оценивает свои слабые аспекты, что в результате причисляет себя к совершенно противоположному типу личности.
言い換えると、伸ばした成功がうれしくて、自分をその分野の専門家だと思い込むことがあるが、実際には「追い上げてきた遅れ組」にすぎないということです。同じ理由で、性格テストでは自分の弱い要素を過大評価し、反対のタイプに自分を分類してしまう、とされます。
アウシュラが超自我ブロックについて書いた「過大評価」(03章)を、ストラティエフスカヤはテストの誤りという具体的な結果まで書いています。フィラトワも、同じ誤判定を例で書いています(07章)。
タイプ章—ILEの義務感
第II部のタイプ章では、ILEの規範機能(Se、ストラティエフスカヤの語では「意志的感覚」)の節があります。そこでは、自由に考えたいILEが、周りから義務や約束を求められて苛立つ様子が長く書かれます。そのうえで、こう続きます。
義務感(必要性、責任の感覚)はILE〔原文: ドン・キホーテ〕において、これこれのように行動するという論理的理解を通じて、また自分の行動の結果の観察と論理的分析を通じて育成される。(中略)他方で、周囲に何らの不便も与えないことに常に集中し、食器を洗うことを忘れていないか、トイレの電気をつけっぱなしにしていないかを確認するために絶えず気を取られているILE〔原文: ドン・キホーテ〕を想像することは難しい—そのようなILE〔原文: ドン・キホーテ〕は時とともに、天才的なアイデアが訪れる頻度がますます少なくなっていることに気づき始める。
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Чувство долга (необходимости, ответственности) воспитывается у Дон-Кихота через логическое понимание поступить тем или иным образом и через наблюдение и логический анализ последствий своих поступков.〔中略〕С другой стороны, трудно себе представить Дон-Кихота, постоянно сосредоточенного на том, чтобы не доставлять окружающим никаких неудобств и постоянно отвлекающегося на то, чтобы проверить, не забыл ли он помыть за собой посуду и не оставил ли включенным свет в туалете — такой Дон-Кихот со временем начинает замечать, что гениальные идеи посещают его все реже и реже.
つまり、ILEの義務感は、論理的な理解と、自分の行動の結果の観察を通じて育つということです。一方で、周りに迷惑をかけないことばかり気にするILEは、だんだんアイデアが浮かばなくなる、とされます。
前半は、規範機能を主導機能と創造機能の道具(ここでは論理)で身につけるという、補助的な情報の話の具体例です。後半は、規範機能に力を注ぎすぎると主導機能が弱るという理論編の指摘(13章)を、ILEの日常で書いたものと読めます。
小括します。ストラティエフスカヤの規範機能の記述の軸は、3つです。
第一に、「他者より劣らない」ための規範的なレベルです。情報はゆっくりしか溜まらず、最低限がやっとなので伸ばしますが、目標は人並みです。
第二に、主導機能との結びつきです。外向・内向が主導機能と一致するので価値は少しあり、主導機能への補助的な情報として熱心に学ばれることもあります。
第三に、接触機能・役割機能としての出方です。新しい人間関係で役を演じ、伸ばした成功から自分を専門家と思い込み、テストで反対のタイプに分類することがあります。一般像の「人並み」「役を演じる」「テストで別のタイプが出る」(01章)は、どれもストラティエフスカヤの記述に出どころが見つかります。
07フィラトワの記述
フィラトワの規範機能の記述は、『ソシオニクスの鏡の中の人格』の第III部、モデルAの説明の中にあります。彼女の本は第II部まで4チャンネルのモデル・ユングで書かれ、そこに規範機能は含まれません(02章)。第III部でモデルAに移ったときに、初めてこの機能が説明されます。
番号の読み替えも1つだけ置きます。フィラトワは別の箇所で、規範機能を「上の環の第4機能」と呼んでいます。フィラトワは上の環(メンタルリング)を、主導ブロックの2つ、第2ブロックの左(脆弱機能)、右(規範機能)の順に置いて説明しているので、その4番目にあたると読めます。
規範的チャンネル、役割チャンネル
フィラトワは、SLEを例に、モデル・ユングに無いこの機能をこう説明しています。
このチャンネルの機能は、個人が社会の中で果たそうと努める社会的役割に合わせられている。このチャンネル自体はエネルギー的にかなり弱く、ここで人はめったにイニシアチブや創造性を発揮しない。この機能の作用領域において、彼は自分の周囲で受け入れられている規則や規範に従う。この観点から、第2ブロックのこのチャンネルは、規範的チャンネルと呼ぶことができる。時にこのチャンネルは役割チャンネルとも呼ばれる。というのも、一部の心理タイプは実際に、このチャンネルの機能の作用領域において、それ相応の役割を演じようと努めるからである。
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Функция этого канала настроена на ту социальную роль, которую индивид старается играть в обществе. Сам этот канал энергетически довольно слаб, здесь человек редко проявляет инициативу и творчество. В области действия этой функции он придерживается тех правил и норм, которые приняты в его окружении. С этой точки зрения этот канал второго блока можно назвать нормативным. Иногда этот канал называют ролевым, поскольку некоторые психотипы действительно стремятся играть соответствующую роль в области действия функции этого канала.
言い換えると、規範機能は社会の中で果たそうとする役割に合わせられた機能で、そこでは周りで受け入れられている規則や規範に従うということです。エネルギーは弱く、本人がそこで自分から何かを始めたり工夫したりすることはめったにない、とされます。
フィラトワは、この観点からこれを「規範的チャンネル」と呼び、一部のタイプが実際にそこで役を演じようとするので「役割チャンネル」とも呼ばれる、と書いています。規範と役割という2つの名前の由来を、1つの段落で両方説明しているのがフィラトワの記述です。
アンドレイ公爵—実務家の役
フィラトワは、規範機能がタイプの判定を難しくする例を、トルストイ『戦争と平和』のアンドレイ公爵で書いています。アンドレイ公爵はEIEで、規範機能はTe(外向論理)です。
上の環の第4機能が時に役割機能と呼ばれることを思い出そう—EIEはしばしば、実務家Teの役割を演じるのを好む。もしこのタイプのEIEにテストへの回答を求めれば、彼は、おそらく自分をLII(論理型、内向型、直観型、合理型)と判定するだろう。
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Напомним, что четвертую функцию верхнего кольца иногда называют ролевой — ЭИЭ часто любят играть роль деловых людей ЧЛ. Если человеку такого подтипа ЭИЭ предложить заполнить тесты, то он, скорее всего, определит себя как ЛИИ (логик, интроверт, интуит, рациональный).
つまり、EIEは実務家の役を好んで演じるので、テストを受けると自分を論理型のLIIと判定するだろうということです。フィラトワは、アンドレイ公爵が哲学的に思索し、領地の家政を合理的に営む人物であることを、その根拠に挙げています。
そのうえでフィラトワは、彼を倫理型と見る根拠として、人を操る力、周りの目に滑稽に見えることへの恐れ、感情の激しさを挙げています。規範機能の役ではなく、タイプの本来の性質の出方で見分ける、という手順です。
ストラティエフスカヤがテストで反対のタイプに分類されると書いたこと(06章)を、文学の人物で示した例として読めます。また、この例では、規範機能のTeが創造機能のNiと縦に組んだ「右のブロック」(Ni-Te)として強まっています。フィラトワは、この右のブロックの強化が心理タイプの判定を難しくすることがある、と書いています。
小括します。フィラトワの規範機能の記述の軸は、2つです。
第一に、社会的役割に合わせられた、規則と規範に従う機能としての定義です。エネルギーは弱く、主体的な工夫は少なく、規範的チャンネルとも役割チャンネルとも呼ばれます。
第二に、判定を難しくする役です。EIEが実務家の役を演じてLIIと自己判定する例は、規範機能の役が強く出ると、外見がタイプから離れることがあることを示しています。また、規範機能が初期の4チャンネルのモデルに無く、モデルAで初めて説明されるという本の構成自体が、この位置が後から加わったことを表しています。
08イェルマークの記述
ウラジーミル・イェルマークは、モデルAをシステム論の語彙で組み直した研究者です。8位置に固有の名と、情報処理のパラメータ(経験・規範・状況・時間)の数による次元を与えました。主著『人を理解することを学ぶには』では、規範機能を「機能3」と呼び、その働きを社会的規範と名づけています。番号は現行と同じです。
この章では、イェルマークが規範機能を、どんな課題のときに使われる機能として導き、外からどう見えると書いたかを見ます。
自分の課題でないとき—世間に頼る
イェルマークは、心の構造を、課題を解く手続きから組み立てています。慣れた課題は自動的に解けますが、人生は新しい課題を投げかけてきます。その場合について、イェルマークはこう書いています。
課題が「自分のもの」ではないが、私に解決を強いる場合、「世間に」、他の人々に頼らねばならない(誰かが似たようなことを解決していたはずだ!)—言い換えると、社会的規範 に関心を向けねばならない。
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Если задача "не моя", а заставляют её решать меня, придётся обратиться "к общественности", к другим людям (кто-нибудь ведь решал что-то подобное!) — иными словами, поинтересоваться социальными нормами .
言い換えると、自分の課題ではないのに解かなければならないとき、人は「世間」、つまり他の人々がどう解いてきたかに頼るということです。イェルマークは、その参照先を「社会的規範」と呼んでいます。
この手続きのために置かれるのが、超自我ブロック(イェルマークの語では管理ブロック2)の機能3です。規範機能は、自分に向いていない課題を、人のやり方を借りて片づけるための機能として導かれている、と読めます。
同じ箇所でイェルマークは、課題を解くことが「できない」ときは、ほかの新しい課題を解いた経験、つまり社会的経験(機能4、現行の脆弱機能)に向き直る、とも書いています。規範機能が「人のやり方」を、脆弱機能が「解いた経験」を参照するという分担です(13章)。
外からは気づかれない分析
この超自我ブロックの働きが外からどう見えるかについて、イェルマークはこう書いています。
この場合、意思決定、つまり似た課題を他の人々がどのように解決したか(機能3、社会的規範)、新しい事柄において社会的(人格的)経験が何を助けてくれるか(機能4)の分析もまた、外見上は必ずしも気づかれない(ただし、新しい課題の解決から「逃れよう」としたり、社会的規範と自分の社会的経験を再検証する場合、人はこのブロックについて論じはじめることもある)。
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В этом случае, принятие решения, т.е.анализ того, как подобные задачи решались другими людьми (функция 3 социальные нормы) и чем может в новом деле помочь социальный (личностный) опыт (функция 4), также не всегда внешне заметно (хотя, пытаясь, например, "отвертеться" от решения новой для него задачи или перепроверяя социальные нормы и свой социальный опыт, человек иногда пускается в рассуждения по этому блоку).
イェルマークの観察では、人が似た課題を他人がどう解いたか(機能3)を分析していても、外からはたいてい気づかれないということです。ただし、新しい課題から逃れようとするときや、規範と自分の経験を確かめ直すときには、このブロックについて論じはじめることもある、とされます。
これに対して、主導機能と創造機能の働きはふつう目立ち、声に出して論じられる、とイェルマークは続けています。規範機能は表に出るより、黙って参照されることの多い機能だという書き方です。ストラティエフスカヤが、規範機能の主な課題は行動より「論じる」ことだと書いたこと(13章)と、論じる場面の扱いが重なります。
タイプ別の記述—人工的で「役割的」
イェルマークの体系で規範機能がどう書かれるかは、書籍の付録にあるタイプ別のモデル記述によく表れています。例えば、ILEの規範機能、Se(外向感覚)の項はこうです。
社会的規範と一般通念の蓄積。パラメータ — 社会的経験と社会的規範。「自分を守る」、意志的反撃、抵抗、防衛方法に関する一般通念。これらは時に人工的で「役割的」に見える。(中略)機能の充填が不十分な状況では当惑し、絶望や抑鬱に陥ることもある。
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накопление социальных норм и общепринятых правил; параметры - два: социальный опыт и социальные нормы; функиионирование - общепринятые представления о способах "постоять за себя", волевом отпоре, сопротивлении, методах защиты; эти способы и методы иногда выглядят искусственными, “ролевыми”, а в условиях недостаточной наполненности функции〔中略〕может растеряться, впасть в отчаяние и даже депрессию.
言い換えると、ILEの規範機能には、自分を守ることや反撃や抵抗について、世間で通っている考え方が溜まっているということです。そのため、その振る舞いはときに人工的で「役割的」に見え、この機能が十分に満たされない場面では当惑し、落ち込むこともある、とされます。
パラメータが社会的経験と社会的規範の2つだけ、という一文が、この記述の根拠です。自分で状況を見て作ったやり方ではなく、世間の通念で動くので、役を演じているように見える、という因果で書かれています。レイニンのILEの恐怖の領域(04章)とは、同じSeについて、避ける面と、通念で動く面を別々に書いたものと読めます。
小括します。イェルマークの規範機能の記述の軸は、2つです。
第一に、課題を解く手続きからの導出です。自分の課題でないのに解かなければならないとき、人は他人の解き方、つまり社会的規範に頼り、そのための機能が機能3として置かれます。
第二に、外からの見え方です。その分析はふだん外から気づかれず、タイプ別の記述では、世間の通念で動くために人工的で役割的に見えるとされます。パラメータ(経験と規範の2つ)で規範機能を説明する点は、ブカロフの2次元(05章)と同じ枠で、14章で並べて見ます。
09カルペンコの記述
オリガ・カルペンコは、キエフの国際ソシオニクス研究所でブカロフとともに活動してきた研究者です。機関誌の論文で、規範機能を「第3機能」と呼び、言葉の性格、次元、構えの3つの面から書いています。番号は現行と同じです。
詩ではなく辞書
カルペンコは、機能ごとに、その要素について話すときの言葉がどう違うかを書いています。第2機能の言葉が滑らかに広く流れることを書いたあとで、こう続けます。
第3機能となると、もはやそのような自由は与えてくれない。その言語は同義語やニュアンスにきわめて乏しいが、そのかわり極度に具体的で正確である—それは詩ではなく辞書である。そして第4機能の言葉少なさは、他のTIMたちを当惑させかねないほどである。
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А третья функция уже не дает такой свободы. Ее язык очень беден синонимами и оттенками, но зато предельно конкретен и точен — это словарь, а не поэма. Лаконизм же четвертой функции способен другие ТИМы привести в замешательство.
TIMは情報代謝タイプの略です。つまり、規範機能の要素について話す言葉は、言い換えやニュアンスに乏しいが、そのぶん具体的で正確だということです。カルペンコは、それを「詩ではなく辞書」と呼んでいます。
定義を引いてくるように話す、という観察です。型にならって使う機能は、言葉の上でも決まった言い方を使うと読めます。
引用の最後の1文は、脆弱機能(第4機能)の言葉の少なさの話です。規範機能は、ほとんど言葉にならない脆弱機能と、自由に言い換えられる創造機能のあいだに置かれていることが分かります。
規範化された機能、役割機能
カルペンコは、規範機能の2つの呼び名の理由を、次元性の語で説明しています。
第3機能はしばしば規範化された機能と呼ばれる。その理由は、この機能の性格を規定する規範のベクトルである。この機能のもうひとつの名前—役割機能—は、人が使える仮面や役割のセットとしての規範ベクトルが、「私」のベクトルによって与えられる個人的経験や欲求と相互作用するさまを反映している。(中略)反応は第2機能ほど柔軟ではなく、このアスペクトでの世界の見え方はいくぶん「平板」で、中間調や細部を欠いている。
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Третья функция часто называется нормированной. Причиной тому — вектор норм, опреде- ляющий ее характер. Другое название этой функции — ролевая — отражает взаимодействие вектора норм как набора масок, ролей, доступных человеку, с его индивидуальным опытом и потребностями, что задается вектором «Я».〔中略〕Реакции не столь гибки, как по второй функции, видение мира по этому аспекту немного «плоское», без полуто- нов и деталей.
カルペンコの説明では、規範機能の性格を決めるのは規範のベクトルで、それが人の使える仮面や役割のセットとして、「私」のベクトル(個人的経験と欲求)と組み合わさるということです。そこから「規範化された機能」と「役割機能」の2つの名前が出てくる、とされます。
後半は、その結果としての見え方です。反応は創造機能ほど柔軟でなく、世界の見え方はいくぶん平板で、中間の色合いや細部を欠く、と書かれています。2次元の見え方を「平板」の一語で言い表したところが、カルペンコの書き方です。
構え「彼ら−」—規範を人に要求する
カルペンコは、心理学者エリック・バーンの交流分析に由来する構えの理論も使っています。構えとは、「私」「あなた」「彼ら」などのそれぞれを肯定(+)で受けとめるか否定(−)で受けとめるかのことです。カルペンコは、人々全般への構え「彼ら」を、第3機能に結びつけています。
思い起こそう。「彼ら」とは、人々全般への態度である。そして、この構えが最も鮮明に第3機能の特性に発現するのは、何ら驚くことではない。そこは、私たちにおいて社会的規範が蓄積される場所である。(中略)構え「彼ら−」のもとで、この機能は、本来この機能にあまり固有でない、ある種のコントロール的性格を帯びる。つまり、規範を蓄積し習得する代わりに、人は、蓄積した規範を社会への要求として積極的に突きつけ始める。自分がすでに習得したことを、今度は皆に要求するのである。
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Напомню, что «Они» — это отношение к людям в целом. И ничего удивительного, что эта установка наиболее ярко проявляется в особенностях 3-й функции, там, где у нас накапливаются социальные нормы.〔中略〕С установкой «Они–» она приобретает некий не очень свойственный для этой функции контролирующий характер. То есть, вместо того, чтобы накапливать нор- мы и усваивать их, человек начинает активно предъявлять накопленные нормы как требова- ния по отношению к социуму. То, что он уже усвоил, он ото всех теперь требует.
言い換えると、規範機能は社会の規範が溜まる場所で、人々全般を否定する構え(「彼ら−」)の人は、溜めた規範を周りへの要求として突きつけるようになるということです。本来は規範を覚える機能が、人を取り締まる機能のように働く、とされます。
カルペンコは、その例をタイプごとに挙げています。ILEとIEEについては、こう書いています。
(ILE)と(IEE)は、突然、並外れて喧嘩っ早くなる( 3)。私のお気に入りの例は、シラノ・ド・ベルジュラックである。「さあ、俺に触れた者も、俺が触れた者も—全員に決闘を申し込む!」。ロスタンの戯曲では、シラノが「彼ら−」であることが十分明確に見える。それどころか、彼が「私−」「あなた+」「彼ら−」「これ+」であることも、たやすく見て取れる。
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(ИЛЭ) и (ИЭЭ) становятся вдруг необыкновенно задиристыми ( 3). Мой любимый пример — Сирано де Бержерак: «Итак, кто задел меня, кто мною был задет — я вызываю всех!». В пьесе Ростана достаточно четко видно, что у Сирано «Они–», более того, легко увидеть, что у него «Я–», «Ты+», «Они–» и «Это+».
上の引用の( 3)は、規範機能のSe(外向感覚)のことです(原文では記号が入る箇所です)。つまり、「彼ら−」のILEやIEEは、規範機能のSeを通して、突然とても喧嘩っ早くなるということです。カルペンコは、ロスタンの戯曲のシラノ・ド・ベルジュラックをその例に挙げています。
ほかの研究者が、規範機能を人並みに合わせる受け身の機能として書くのに対し、カルペンコは、構えしだいで規範を外へ向ける攻めの機能にもなることを書いています。レイニンが同じSeを「避けたい領域」として書いたこと(04章)と並べると、同じ位置が構えによって逆の出方をする、と読めます。
小括します。カルペンコの規範機能の記述の軸は、3つです。
第一に、言葉の性格です。規範機能の要素について話す言葉は、ニュアンスに乏しいが具体的で正確で、「詩ではなく辞書」とされます。
第二に、規範ベクトルと仮面です。規範機能の名と役割機能の名は、規範のベクトルと、それが仮面や役割のセットとして使われることから来ていて、世界の見え方はいくぶん平板です。
第三に、構えによる出方の違いです。人々全般を否定する構えでは、規範機能に溜めた規範を人への要求として突きつけます。規範機能を、構えしだいで受け身にも攻めにもなる位置として書いた点が、カルペンコに固有です。
10グレンコの記述
ヴィクトル・グレンコは、キエフで「人道主義ソシオニクス」学派を主宰する研究者です。
読むときの注意です。グレンコの体系(モデルG)の位置の名と番号は、モデルAと一部しか対応しません。規範機能に入る要素は、モデルGでは第3「役割機能」に置かれ、ここは番号も要素も一致します(『64の肖像』の16タイプの見出しで照合)。
この章では、役割機能の定義、役割の仮面がタイプの判定に与える影響、タイプ別の書き方を取り上げます。
役割機能—意識的に訓練され、供給がないと落ちる
グレンコは、モデルGの機能の一覧で、役割機能をこう定義しています。
役割機能 ― 駆動される、安定的、外的。社会規範に従って意識的に訓練される。外部からの供給がない場合、この機能の活動はかなり急速に低下する。
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Role function — driven, stable, external. Consciously trained according to social norms. In the absence of external feeding, the activity of this function decreases rather quickly.
言い換えると、規範機能は、社会の規範に従って意識して訓練される機能で、外から支えられないと働きが早く落ちるということです。「駆動される、安定的、外的」は、モデルGで機能を分ける目印です。自分から動くのではなく、動かされる側の機能だという意味に読めます。
「意識的に訓練される」という言い方は、弱いのに意識の側にあるという、02章で見た規範機能の特徴をそのまま言っています。モデルGでは、役割機能は第7の制動機能(モデルAの脆弱機能の要素が入る位置)と組んで、エネルギーが最も小さい対ともされます。
役割の仮面
グレンコは、理論編の「役割機能」の節で、この機能をタイプの一面性を補う働きとして書いています。
人が一つの方向に傾くほど、彼は意識下に反対の特性のエネルギーをより多く蓄える。(中略)より一般的には、人は緊張を高めて崩壊に至らせることなく、段階的に「蒸気を抜く」。ソシオ分析では、この現象は 役割行動 あるいは 役割機能 と呼ばれる。役割の仮面はタイプの診断を極度に困難にする。
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The more a person leans in one direction, the more he accumulates in the subconscious the energy of the opposite property.〔中略〕More commonly, a person “releases steam” step by step without increasing the tension leading to the breakdown. In socio-analysis, this phenomenon is called role behavior or role function. Role masks make it extremely difficult to diagnose types.
グレンコの説明では、人は自分のタイプの方向に傾くほど、反対の性質のエネルギーを意識の下に溜め、それを少しずつ逃がすということです。その逃がし方が役割行動、つまり役割機能で、その役割の仮面はタイプの判定をとても難しくする、とされます。
続けてグレンコは、友人や知人のタイプを判定するには、タイプごとの役割機能の現れ方を知る必要がある、と書いています。規範機能を、タイプを読み違える原因として最初に注意しているところは、ストラティエフスカヤやフィラトワのテストの誤判定の話(06章・07章)と同じ向きです。
タイプ別の役割—逆の性質を見せる
同じ節で、グレンコは、2タイプずつ組にして役割の現れ方を並べています。ESIとEIIについては、こう書いています。
内的に感情的な人々であり、人間関係を深く経験するこれらのタイプは、外的には無関心と客観性を示す。しかしながら、この役割では、反対のサイン、論理(機能 L)もまた明確に区別できる。
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Being internally emotional people, deeply experiencing human relationships, these types demonstrate external impassivity and objectivity. However, in this role, the opposite sign, logic (function L), is also clearly distinguishable.
引用の「機能 L」は、Ti(内向論理)のことで、ESIとEIIの規範機能です。言い換えると、内面では感情的で人間関係を深く味わうESIとEIIが、外では無関心で客観的に振る舞い、その役割では論理がはっきり見えるということです。
グレンコの書き方では、役割機能は本来の性質と反対の側を外に見せる働きです。倫理のタイプが論理の役を、論理のタイプが倫理の役を見せる、という対で、ほかの組についても同じ形で書かれています。
16タイプ編では、各タイプの役割機能に節があります。ILE(役割機能はSe)の節は、こう書かれています。
本来ILEは攻撃的ではないが、自分の生き方と理論を非常に能動的に守ることができる。(中略)挑戦には応じられるものの、長期にわたる競争には耐えられない。なぜなら、自身を動員態勢に保つだけの十分な力がないからだ。それゆえ、直接的な競争を避ける。
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By nature, ILE is non-aggressive but able to defend his way of life and his theories very actively.〔中略〕Although he can respond to a challenge, he cannot endure long-term competition, as he does not have enough strength to keep himself in a mobilized state. Therefore, he avoids direct competition.
つまり、ILEは自分の生き方と理論を強く守れるが、長い競争には耐えられないということです。理由は、自分を動員した状態に保つだけの力がないことで、そのため直接の競争を避ける、とされます。
外から支えられないと働きが落ちる、という役割機能の定義を、ILEの短期の反撃と長続きしない競争で具体的に書いた例です。16タイプ編のほかの節でも、役割機能の要素で自分に何かを「強いる」書き方が多く見られます。
小括します。グレンコの規範機能(役割機能)の記述の軸は、2つです。
第一に、意識的に訓練され、外から支えられないと落ちる機能という定義です。社会の規範に従って身につけ、エネルギーは最も小さい側に置かれます。
第二に、役割の仮面です。タイプの一面性を補うために反対の性質を外に見せ、それがタイプの判定を難しくします。仮面を、偽りではなく、偏りを逃がすための自然な働きとして説明している点が、グレンコに固有です。
11その他の論者の記述
主要な研究者章に収まらない論者の記述を、この章にまとめます。取り上げるのは、イェルマークの体系を継ぐシステム・ソシオニクス学派のエグリトです。エグリトは「機能の次元性」という論文で、次元ごとの機能の現れ方を、発言の例を集めて書いています。原文はロシア語で、引用は当サイトの訳です。
規範のパラメータ—柔軟でない
エグリトは、規範のパラメータを持つ機能について、こう書いています。
規範のパラメータは、1次元の機能を除くすべての機能にある。2次元なのは機能3(「社会的規範」)と機能6(「個人的規範」)である。これらの機能は状況と時間のパラメータに左右されない。そのため柔軟でなく、どんな状況でも、一般に受け入れられた手法や規則(機能3)、本人にとって手慣れた習慣の情報処理の型(機能6)を使おうとする。規範はしばしば、ことわざや規則や指示書のなかに書き留められている。
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Параметр норм присутствует во всех функциях, кроме одномерных. Двухмерными являются функции 3 («социальные нормы») и 6 («индивидуальные нормы»). Данные функции инвариантны к параметрам ситуации и времени, поэтому они негибкие, в любой ситуации стремятся пользоваться общепринятыми приемами и правилами (ф. 3), отлаженными привычными для индивида шаблонами обработки информации (ф. 6). Нормы часто фиксируются в поговорках, правилах, инструкциях.
言い換えると、規範機能(機能3)は2次元で、状況と時間に左右されないので柔軟でなく、どんな場面でも世間で通っている手法や規則を使おうとするということです。エグリトは、その規範がことわざや規則や指示書に書き留められていることが多い、と書いています。
論文には、このあとに要素ごとの「規範的な考え」の例が並びます。例えば、外向論理ならよい働き手とは皆より劣らない仕事をする人だという考え、外向感覚なら規律は欠かせないという考えです。ことわざのような決まった言い方が、規範機能の中身の見本として集められています。
ことわざが出ただけで判定しない
ただし、エグリトは、その見本の使い方に注意を添えています。
タイプ判定のときに、文中にことわざや何かの決まり文句が出てきたからといって、その機能を規範的な機能と判定してはならない。規範は3次元の機能にも4次元の機能にもあることを覚えておく必要がある。タイプ判定のときは、情報の処理を「全体として」見るべきである。
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Не следует во время типирования определять функцию как нормативную, если в тексте встретилась пословица или какое-то устойчивое выражение. Нужно помнить, что нормы есть и в трехмерных, и в четырехмерных функциях. Во время типирования следует видеть обработку информации «в целом».
つまり、話にことわざや決まり文句が出てきたというだけで、それを規範機能と判定してはいけないということです。規範は3次元や4次元の機能にも含まれるので、情報の処理を全体として見る必要がある、とされます。
この注意は、規範機能の見分け方そのものに関わります。決まった言い方は規範機能の手がかりにはなるが、それだけでは足りないということで、16章の誤同定の話につながります。
小括します。エグリトは、規範機能を状況と時間に左右されない、柔軟でない2次元の機能として書き、その中身をことわざや規則の形で例示しました。同時に、決まった言い方だけで規範機能と判定することを戒めています。イェルマークのパラメータの定義を、タイプ判定の実務で使える形に書き直した記述と読めます。
12研究者間で残る中核と食い違い
この章は、03〜11章の研究者別の記述を、当サイトの責任で突き合わせます。新しい引用は置かず、研究者を横断して残る中核、差の所在、差の由来の仮説の順に進み、最後に誰が何と言ったかを名指しで並べます。小括は、この章では置きません。
研究者を横断して残る中核
第一に、人並み、つまり人より劣らない程度まで、外にある標準に合わせて使うことです。アウシュラ(大多数より劣っていたくない、押しつけられた標準への追従)、ストラティエフスカヤ(他者より劣らないための規範的なレベル)、フィラトワ(周りで受け入れられている規則や規範に従う)がこれを書いています。
イェルマーク(他人の解き方を参照する)、グレンコ(社会の規範に従って訓練される)、エグリト(一般に受け入れられた手法や規則)も、同じことを別の語で書いています。一般像の「型どおり」(01章)は、ここで扱った研究者の大半に共通する観測です。
第二に、役を演じる、仮面をつけることです。ストラティエフスカヤ(接触機能・役割機能)、フィラトワ(役割チャンネル)、カルペンコ(仮面や役割のセット)、グレンコ(役割の仮面)がこれを書き、イェルマークのタイプ別の記述(人工的で役割的)も同じ側に並びます。
呼び名の「役割機能」は、ストラティエフスカヤ、フィラトワ、カルペンコ、グレンコ、ブカロフ(ロール)と、系統の違う研究者がそろって使っています。この位置の名前として最も広く共有された語です。
第三に、本人が自分を過大評価し、タイプの判定を誤らせることです。アウシュラは超自我ブロックの要素の過大評価を書き、ストラティエフスカヤは専門家と思い込むこととテストで反対のタイプになることを書いています。フィラトワ(アンドレイ公爵)とグレンコ(役割の仮面は診断を難しくする)も、同じ現象を書いています。
つまり、規範機能は、弱いのに外からは得意なことのように見え、本人もそう思いやすい位置だということです。この観測は、相談の文脈(ストラティエフスカヤ)と診断の文脈(フィラトワ、グレンコ)の両方から出ています。
第四に、意識して努力して使い、長くは続かないことです。ストラティエフスカヤは超自我レベルの活動が追加的な努力を伴うと書き、グレンコは外から支えられないと働きが早く落ちると書いています。レイニンの心理的代価、タイプ節の「自分に強いる」書き方(グレンコ)、長い競争に耐えられないILE(グレンコ)も、同じ観測と読めます。
第五に、型どおりで柔軟でないことです。ブカロフ(テンプレートどおり)、イェルマーク(経験と規範の2つのパラメータ)、カルペンコ(平板、詩ではなく辞書)、エグリト(状況と時間に左右されない)がこれを書いています。
ただし、この4者はキエフ系とその継承で重なりが大きく、独立した観測とは数えられません。2次元という同じ定式が、学派の中で繰り返し言い直されているということです。
差の所在
第一に、差は規範機能に向かう本人の態度に現れます。アウシュラ、ストラティエフスカヤ、フィラトワは、規範機能を人並みに合わせようと努力する領域として書きます。一方、レイニンは同じ領域を、避けたい、怖い領域として書きます。
前者は「伸ばそうとする」、後者は「先延ばしにする」という逆向きの行動になります。さらにカルペンコは、構えしだいで溜めた規範を人に要求する攻めの出方を書いています。同じ位置について、近づく・避ける・押しつけるの3つの態度が書かれているということです。
第二に、規範機能に価値があるかどうかです。ストラティエフスカヤは、外向・内向が主導機能と一致することから、規範機能の要素は尊重せずにいられないと書きます。一方、アウシュラの要約は「押しつけられた標準への追従」で、本人の価値ではなく外から来るものとして書かれています。
第三に、規範機能を伸ばすことの評価です。アウシュラは押しつけない助けで百科事典のようになると書き、ストラティエフスカヤは主導機能への補助として熱心に学ばれると書きます。ですが、ストラティエフスカヤは同時に、伸ばしすぎると主導機能を弱めるとも書いています(13章)。伸ばすことを成長と見るか、主導機能との取り合いと見るかで、記述に幅があります。
第四に、名称と語彙です。アウシュラは第4機能、レイニンは第-4機能、ほかの多くは第3機能と、番号がずれています。名前は、大きく2つの系統に分かれます。規範機能(ストラティエフスカヤ)・規範的チャンネル(フィラトワ)・社会的規範(イェルマーク)・規範化された機能(カルペンコ)の「規範」系と、接触機能・役割機能・ロール・役割チャンネルの「役割」系です。
アウシュラが規範機能を「サジェスティヴな機能」と呼ぶことは、現行の暗示機能と名前が重なるので、16章で整理します。語彙の差は、書く面の違いでもあります。「規範」系は外の標準に合わせる面を、「役割」系は人前での出方を、レイニンの「恐怖」は本人の内側の感じ方を名前にしています。
差の由来についての仮説
当サイトの推測として、差の由来は3つ考えられます。第一に、観測の場面です。レイニンは職業選択と心理療法の文脈で書き、そこでは規範機能は避けたい仕事の領域として現れます。ストラティエフスカヤは夫婦関係の相談の文脈で書き、そこでは相手に良く見せたい領域として現れます。
同じ位置が、仕事の場では回避として、出会いの場では演技として観測される、ということかもしれません。カルペンコの構えの理論は、この違いを本人の構えの違いとして説明し直そうとしたものと読めます。
第二に、番号と体系の違いです。アウシュラの『機能の理論』は規範機能と暗示機能を同じ「サジェスティヴ」の語で書き、レイニンは規範機能を暗示機能の負の側に置きました。どちらも、規範機能を暗示機能と対にして見ているところから出発しています。
一方、ストラティエフスカヤ、フィラトワ、グレンコは、規範機能を主導機能と脆弱機能の側から見ています。何と対にして見るかで、受け身の追従(暗示機能と対)と、人並みへの努力(主導機能と対)のどちらが前に出るかが変わる、と考えることもできます。
第三に、モデルの成立の順番です。規範機能は、初期の4機能のモデルに無く、モデルAで後から位置を得ました(02章)。そのため、この位置には創始者の時点で固まった単一の像がなく、研究者ごとに別の面から名前を付けたことが、「規範」系と「役割」系と「恐怖」の3つの語彙が並ぶ理由の1つと考えることもできます。
誰が何と言ったか
- アウシュラは、規範機能(『機能の理論』の第4機能)を「弱い・メンタル・アクセプト」の機能と定義しました。主導機能と違うのは弱さだけで、情報はゆっくりしか溜まらず、決めるときに迷い、周りに尋ねる位置です。標準に合わせたい、多数より劣っていたくないという望みがあり、押しつけられた標準に従うとし、押しつけない助けがあれば百科事典のようになるが主導機能ほど断定的にはならない、と書いています。
- レイニンは、規範機能を第-4機能「恐怖の領域」と呼び、暗示機能の「私は欲する」と対になる「私は欲しない」「私は怖い」の領域としました。人はそこにある問題を避け、その領域が要る仕事は大きな心理的代価を払います。タイプ節では、仕上げられない、先延ばしになるという形で書かれます。
- ブカロフは、規範機能を「ロール、2次元」の機能、つまり自分の経験に社会の規範と行動のテンプレートを加えて参照する位置と整理しました。テンプレートどおりには十分に働き、規則が変わると緊張が生じることを、経理の仕事の例で書いています。
- ストラティエフスカヤは、規範機能を「規範機能」「自己仕上げ機能」と呼び、「他者より劣らない」ために規範的なレベルまで育てる機能としました。主導機能と外向・内向が一致するので価値は少しあり、主導機能への補助的な情報にもなります。新しい人間関係で役を演じるので「接触機能」「役割機能」とも呼ばれ、伸ばした成功から自分を専門家と思い込み、テストで反対のタイプに分類することがある、と書いています。
- フィラトワは、規範機能を「規範的チャンネル」「役割チャンネル」と呼び、社会的役割に合わせられた、周りの規則と規範に従う機能としました。エネルギーは弱く、主体的な工夫は少ないとされます。EIEが実務家の役を演じてLIIと自己判定する例で、判定の難しさを書いています。
- イェルマークは、規範機能を「機能3」、その働きを「社会的規範」と呼び、自分の課題でないのに解かなければならないとき、他人の解き方を参照する機能として導きました。その分析は外から気づかれにくく、タイプ別の記述では世間の通念で動くので人工的で役割的に見えるとされます。
- カルペンコは、規範機能を「第3機能」と呼び、言葉は「詩ではなく辞書」、世界の見え方はいくぶん平板だと書きました。規範ベクトルが仮面や役割のセットとして使われることを、「規範化された機能」「役割機能」の2つの名の由来としています。人々全般を否定する構えでは、溜めた規範を人への要求として突きつけるとしています。
- グレンコは、規範機能の要素をモデルGの役割機能に置きました。社会の規範に従って意識して訓練され、外から支えられないと働きが落ちる機能です。タイプの一面性を補うために反対の性質を外に見せ、その役割の仮面がタイプの判定を難しくする、と書いています。
- エグリトは、規範機能を状況と時間に左右されない、柔軟でない2次元の機能として書き、その中身をことわざや規則の形で例示しました。決まった言い方だけで規範機能と判定してはいけない、とも書いています。
13主導・観察・暗示の各機能との比較
この章では、規範機能を、配置の公理による導出対である3つの位置—主導機能、観察機能、暗示機能—と比べます。3つとも、規範機能と要素の決まり方が直接つながっている位置です。
導出の公理では、主導機能は規範機能の側面を反転して指向を保った要素、観察機能はさらに指向を反転した要素、暗示機能は規範機能と同じ側面で指向を反転した要素です。公理の形で書くと、次のとおりです。
- 規範機能(3番)は超自我ブロック・メンタルリングに属し、3標識は「弱・メンタル・受容」です。
- 配置の公理による導出対: 側面反転・指向維持=主導機能(1番)/側面反転・指向反転=観察機能(7番)/側面維持・指向反転=暗示機能(5番)。
加えて、同じブロックの相方である脆弱機能との対比を置きます。新しい引用は比較に要るものだけにとどめ、研究者章で引いた記述は章番号で参照します。
主導機能との比較—3標識では強弱だけが逆
主導機能と規範機能は、どちらもメンタルリングの受容側で、3標識のうち違うのは強弱だけです(要素は側面が反転し、指向は同じです)。例えば、ILEの主導機能はNe、規範機能はSeです。アウシュラが規範機能を「第1機能から区別するのは弱さ」と書いた(03章)のは、この関係をそのまま言っています。
ストラティエフスカヤは、この2つの機能(彼女の語では規範機能とプログラム機能)の関係を、取り合いとしても書いています。
さらに、規範機能を過剰に発達させると、私たちの「プログラム的」機能を弱めるリスクがある。なぜなら、これら両機能のアスペクトは同じ軸の上にあり、それゆえ互いを排除するからだ。
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Кроме того, чрезмерно развивая нормативную функцию, мы рискуем ослабить нашу "программную", хотя бы уже потому, что оба аспекта этих функций находятся на одной шкале и, следовательно, взаимоисключают друг друга.
言い換えると、規範機能と主導機能の要素は同じ軸の両端にあるので、規範機能を伸ばしすぎると主導機能が弱まるということです。ILEの例で、周りに迷惑をかけないことばかり気にするとアイデアが浮かばなくなる、とされたこと(06章)が、その具体例です。
一方、アウシュラは、心理のエネルギーの流れの中で、この2つの機能を別の形で結びつけています。
このエネルギーには2種類ある:メンタル(ここでは情報性が最も顕著)とバイタル。その流入はそれぞれ第4機能と第8機能に起こる。それゆえそれをガソリンタンクに喩えることができる。(中略)しかも第1チャネルの活動は、第4チャネルへの流入の保証を担うものである。
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Энергия эта двух видов : ментальная ( здесь информационность наиболее заметна ) и витальная . Поступление ее происходит соответственно на 4-ю и на -4 функции. Поэтому ее можно уподобить бензобаку〔中略〕Причем деятельность 1-го канала призвана обеспечить приток по 4.
上の引用にある第4機能・第4チャネルは、現行の規範機能(3番)です。つまり、意識の側の情報(メンタルなエネルギー)は規範機能から入ってきて、その流入を保証するのが主導機能の働きだということです。アウシュラは、規範機能を燃料を受け入れる「ガソリンタンク」にたとえています。
ストラティエフスカヤが2つの機能を取り合う関係として書き、アウシュラが流入と保証の関係として書いている、という違いがあります。どちらも、規範機能を主導機能から切り離して見ていない点は同じです。
関係の面では、相手の主導機能の要素が自分の規範機能に入るのは、超自我関係と協力関係です(関係の公理から機械的に確かめられます)。自分が人並みに合わせようとしている要素を、相手はいちばん確かな領域として持っている、という組み合わせです。
観察機能との比較—双対が見守る位置
観察機能は、規範機能と側面も指向も逆で、どちらも受容の機能です。3標識では強弱と環が逆です。例えば、ILEの規範機能はSe、観察機能はNiです。
関係の面では、自分の規範機能の要素が相手の観察機能に入るのは、双対関係と準双対関係です。ストラティエフスカヤは、ILEの双対のSEIについて、こう書いています。
SEI〔原文: デュマ〕は、パートナーが自分に提示される要求をどう受け取るか、どんな義務を喜んで引き受けるか、それらをどう履行するかを、極めて繊細かつ敏感に潜在意識的に観察する。SEI〔原文: デュマ〕は非常に機転よく、彼に特有の柔らかく繊細な仕方でこの側面を調整する。同時にパートナーの要求に適応しつつ、周囲の可能性に配慮することを彼に教え込む。
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Дюма очень тонко и чутко подсознательно наблюдает, как воспринимает партнер предъявляемые к нему требования, какие обязанности он с готовностью берет на себя и как их выполняет. Дюма очень тактично, в свойственной ему особенной мягкой и деликатной манере регулирует этот аспект, одновременно и приспосабливаясь к требованиям партнера, и приучая его считаться с возможностями окружающих.
「この側面」とは、ILEの規範機能のSe(ストラティエフスカヤの語では意志的感覚)で、SEIではそれが観察機能にあります。つまり、SEIは、ILEが求められた義務をどう受け取り、どう果たすかを、意識しないまま細かく見ていて、さりげなく調整するということです。
双対の相手の観察機能は、強く、しかも意識の外で働く機能です。自分が意識して努力して使う規範機能の要素を、相手は意識せずに見守れるという組み合わせで、ストラティエフスカヤは、これをILEの規範機能の悩みが解ける場面として書いています。アウシュラが規範機能に必要なものとして「押しつけがましくない実際的な助け」を挙げたこと(03章)と、同じ形の助けです。
暗示機能との比較—3標識では環だけが逆
暗示機能は、規範機能と同じ側面で、指向が逆です。3標識では、どちらも弱い受容の機能で、違うのは環(メンタルかバイタルか)だけです。例えば、ILEの規範機能はSe、暗示機能はSiです。
アウシュラは、この2つにそろって「サジェスティヴ」の語を使っています。規範機能(第4機能)を「サジェスティヴな機能」と要約した(03章)のに対し、暗示機能(第8機能)については、こう書いています。
批判を平静に、世話として受け止める。(中略)第8機能は—サジェスティヴなバイタル機能、人間の意見は容易に影響を受け、社会のあとに従う。
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Критику воспринимают спокойно , как заботу .〔中略〕-4 функция - суггестивная витальная функция , на мнение человека легко влиять , он идет за обществом
上の引用にある第8機能は、現行の暗示機能(5番)です。言い換えると、暗示機能では批判を平静に、世話として受け止め、人の意見に影響されて社会のあとに従うということです。規範機能では批判が決して快くないとされた(03章)のと、ここが分かれ目になっています。
同じく受け身で外の影響を受ける2つの位置でも、意識の側(規範機能)では批判が痛く、意識の外(暗示機能)では批判が世話になる、という対比です。レイニンが、暗示機能(彼の第4機能)を「私は欲する」、規範機能(第-4機能)を「私は欲しない」と対にしたこと(04章)も、同じ2つの位置を表と裏に置いた書き方です。
次元性では、規範機能は2次元、暗示機能は1次元です。規範機能は世間の型を参照できるが、暗示機能は自分の経験だけで受け取る、という差になります(14章)。
ブロックの相方—脆弱機能
脆弱機能と規範機能は同じ超自我ブロックにあり、一方は生成、他方は受容です。ストラティエフスカヤは、規範機能の節の終わりで、この2つの分担をこう書いています。
ここでもまた、私たちを救うのは、分析性と機動性という「個人的な」特質を持つ規範機能である。それゆえそれの助けで、私たちは自分にとって不便な状況を分析し、それに適応することを試みることができる。(中略)そして規範機能一つの努力では足りないこともある(なおその主要な課題は、行動するというよりは「論じる」ことだ)ので、私たちの「省庁」の第4ポジションに配置された機能が仕事に加わる。
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Здесь нас опять же выручает наша нормативная функция, обладающая такими "личными" качествами, как аналитичность и маневренность. Поэтому с ее помощью мы можем попытаться проанализировать неудобные для нас обстоятельства и приспособиться к ним.〔中略〕Ну а поскольку усилий одной нормативной функции бывает недостаточно (тем более, что ее основная задача не столько действовать, сколько "рассуждать"), в работу включается функция, расположенная на 4-й позиции нашего "департамента"
第4ポジションの機能とは、脆弱機能のことです。つまり、規範機能は不便な状況を分析して適応しようとし、主な課題は行動より「論じる」ことで、それで足りないときに脆弱機能が加わるということです。
エグリトは、同じ順序を、ブロックの中の位置から説明しています。
第4機能はしばしば「最小抵抗の点」(TNS)とも、「痛みの」機能とも呼ばれる。この機能は、超自我のメンタルなブロックの執行の位置にある。したがって人は、第4機能のアスペクトの情報を、第3機能に「促されて」意識的に処理する。
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4-ую функцию часто называют «точкой наименьшего сопротивления» (ТНС), а также «болевой» функцией. Она находится в ментальном блоке Суперэго в исполнительной позиции. Следовательно, человек осознанно обрабатывает информацию по аспекту 4-ой функции «с подачи» 3-й функции.
エグリトの第4機能(最小抵抗の点)は、現行の番号どおり脆弱機能です。言い換えると、脆弱機能の要素の情報は、規範機能に促されて意識的に処理されるということです。脆弱機能は超自我ブロックの執行の位置にあり、規範機能が先に立つ、とされます。
イェルマークも、規範機能(社会的規範)から脆弱機能(社会的経験)へ進む順序で超自我ブロックを書いています(08章)。外の圧力が強いときに、人が規範機能と脆弱機能から出発して反応せざるをえなくなる状態を、イェルマークは「超自我型の歪み」と呼んでいます。規範機能が先に型を参照し、脆弱機能があとで経験から実行するという分担が、研究者間で共有されています。
小括します。導出対の3つとの比較で見えるのは、3つの読みです。規範機能は、主導機能から見ると同じ受容・メンタルの弱い側で、両者は取り合うことも、流入と保証の関係になることもあります。観察機能から見ると、双対の相手が意識せずに見守る位置です。暗示機能から見ると、同じ側面の意識の側で、批判が痛いか世話になるかで分かれます。
また、ブロックの相方である脆弱機能とは、先に型を参照する受容と、あとで経験から実行する生成で書き分けられます。いずれも研究者章の記述を並べて得た当サイトの整理で、研究者自身が4つの位置を同時に比較しているわけではありません。
14次元性から見る規範機能
機能の次元性は、各位置が参照できる情報の幅を1〜4次元で記述する、後代の拡張理論です。提唱者はブカロフで、イェルマークがパラメータの定式化を整備しました。
規範機能は2次元とされ、研究者章の多くの記述(テンプレート、平板、柔軟でない、世間の通念)は、この説明の言い換えとして読めます。この章では、2次元の中身と、規範機能に関わる定義水準の違いを確認します。
規範のパラメータ
イェルマークは、4つのパラメータのうち、規範のパラメータをこう定義しています。
Nr(規範 norm から)—規範のパラメータ —意思決定または管理影響の執行の過程で遵守すべき規範、規則、習慣、認められた手法、基準(個人的—Nr または社会的—Nr*)の特徴。
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М (от англ. погт) —- параметры норм - характеристика норм, правил, обычаев, принятых приёмов и стандартов (индивидуальных — Мг или социальных — Мг *), которых следует придерживаться в процессе〔中略〕принятия решения или исполнения управляющих воздействий
つまり、規範のパラメータとは、決めたり実行したりするときに守るべき規範、規則、習慣、認められた手法、基準のことです。イェルマークは、それを個人的なもの(Nr)と社会的なもの(Nr*)に分けています。
イェルマークの図式では、規範機能のパラメータは社会的経験と社会的規範の2つです。同じ2次元の動員機能(6番)は、個人的経験と個人的規範の2つで、エグリトが規範機能を「社会的規範」、動員機能を「個人的規範」と呼び分けたのはこの区別です(11章)。
火の理解の2段目
ブカロフは、4つの次元が認識の段階として現れることを、火の例で書いています。
認知の過程でこれらの段階を容易に発見できる。最初に現象は個人的経験で認知される ― たとえば石の硬さや火の焼く作用。次にこの現象との取り扱い方の規則が研究され決定され、それは学習の形で伝えられる。さらに、火は多くの方法で効果的に得て使用できることが明らかになり、これは火の本質に関するすでに3次元的な理解である。そしてついに火の完全な習得 ― 火は加熱されたプラズマの一例にすぎないという理解が生まれ、ここでは様々なプラズマ技術、金属加工、様々な分野でのプラズマの応用、プラズマこそ太陽が輝く源であり熱核反応炉が動作しうる源だという理解が生まれる。
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В процессе познания легко обнаружить эти этапы. Вначале явление познается на личном опыте — например твердость камня или обжигающее действие огня. Затем исследуется и определяется правило обращения с этим явлением, которое передается в виде научения. Далее выясняется, что огонь можно эффективно получать и применять множеством способов, и это уже 3-мерное понимание сущности огня. И, наконец, полное овладение огнем — понимание, что огонь — это частный случай разогретой плазмы; и здесь возникают различные плазменные технологии, обработки металлов, применение плазмы в различных областях, понимание, что плазма — это то, за счет чего светит Солнце и может работать термоядерный реактор.
言い換えると、1次元は個人的な経験、2次元は扱い方の規則、3次元は多くの使い方の理解、4次元は火を1つの例として含む全体の理解だということです。規範機能の2次元は、このうち2段目、つまり現象の扱い方の規則が決まり、学習の形で伝えられる段階にあたります。
規則は人から教わることができます。アウシュラの「教えられなかった」という言い分(03章)や、ストラティエフスカヤの規範的なレベルまで育てるという書き方(06章)は、教わって身につく段階の機能という次元性の説明と合っています。
2次元は状況と時間を持たない
2次元に何が無いかも、規範機能の性格を決めています。ブカロフは、3次元の創造機能で状況のベクトルが加わると書き(05章)、エグリトは、2次元の機能は状況と時間のパラメータに左右されないと書いています(11章)。
そのため、規範機能は、その場の状況に合わせてやり方を変えることが苦手で、規則が変わると緊張するとされます。ブカロフの経理の例(05章)とカルペンコの「平板」(09章)は、この欠けている次元を、職業と見え方の側から書いたものと読めます。
規範機能をめぐる定義水準の違い
規範機能を2次元とする点で、研究者は一致しています。ですが、2次元の中身の説明は同じではありません。ブカロフは「個人的経験と、社会的規範と行動のテンプレート」、イェルマークは「社会的経験と社会的規範」、エグリトは「状況と時間に左右されない」と書きます。
つまり、ブカロフでは経験は個人的なもの、イェルマークでは経験も社会的なものとして数えられています。規範機能の記述を原典で読むときは、どちらの定義の「2次元」かを保つ必要があります。
小括します。次元性は、規範機能の「型どおり」を、参照できる情報の幅が経験と規範の2つに限られることで言い直した説明で、研究者章の記述の多くはこれと対応します。一方で、経験の中身(個人的か社会的か)は定義によって違い、検証手続きの不在という理論運用上の問題は17章で扱います。
1516タイプの規範機能
配置の公理から導かれる16タイプの規範機能の要素は、次のとおりです。
| 規範機能の要素 | タイプ |
|---|---|
| Se(外向感覚) | ILE・IEE |
| Ni(内向直観) | SEI・SLI |
| Te(外向論理) | ESE・EIE |
| Fi(内向倫理) | LII・LSI |
| Ne(外向直観) | SLE・SEE |
| Si(内向感覚) | IEI・ILI |
| Fe(外向倫理) | LIE・LSE |
| Ti(内向論理) | ESI・EII |
表の各行は、位置と要素を合わせて規範Fe(外向倫理が規範機能に入る場合)のようにも呼ばれます。
表のとおり、規範機能の要素が同じタイプは2つずつあります。この2タイプは、主導機能の要素も同じです(主導機能の要素の側面を反転すると、規範機能の要素になるためです)。例えば、ILEとIEEはともにSeが規範機能で、主導機能はどちらもNeです。
研究者章で触れたタイプ別の観測を、要素ごとに並べると次のようになります。まず、Se(ILE・IEE)は、このページで最も多く書かれた規範機能です。レイニンは仕上げられない、先延ばしになる領域として、ストラティエフスカヤは論理的な理解で育つ義務感として書いています。
イェルマークは自分を守ることについての世間の通念として、カルペンコは「彼ら−」の構えでの喧嘩っ早さとして書きました。グレンコは強く守れるが長い競争には耐えられないこととして書いています。5人が同じ要素を、回避、学習、通念、攻撃、持久力の面から別々に書いていることが分かります。
また、Te(ESE・EIE)は、ESEにとって家の掃除のような手順の要る実務(レイニン)、EIEの実務家の役(フィラトワ)で書かれています。ブカロフの経理の例では、合理的倫理タイプの4つ、つまりTe(ESE・EIE)とTi(ESI・EII)がそろって2次元の規範的な論理として書かれています。Ti(ESI・EII)は、グレンコの「外的には無関心と客観性」の役でも書かれています。
さらに、Fi(LII・LSI)は、関係を論理の表で理解しようとするLIIの子ども(ブカロフ)として書かれています。Ne(SLE・SEE)は、フィラトワがSLEを例に規範機能の位置を説明したところに出てきます。
一方、Ni(SEI・SLI)、Si(IEI・ILI)、Fe(LIE・LSE)については、このページの研究者章では触れていません。同じ要素でも研究者によって書く面が違うことは、研究者章のとおりです。
各タイプの規範機能がどう働くかは、タイプ一覧から入れる各タイプの8機能の詳細解説に章があります。要素そのものの説明は、8つの情報要素の詳細解説にあります。この章では引用を置かず、規範機能の要素ごとの入口を示すにとどめます。
16誤読と誤同定
規範機能をめぐる読み違いのうち、研究者章の記述から指摘できるものを整理します。
規範機能を得意な機能と取り違える
規範機能は弱い機能ですが、人前ではそれらしく使われ、本人も得意だと思い込みやすいとされます。ストラティエフスカヤは、伸ばした成功から自分を専門家と思い込み、テストで反対のタイプに分類することを書き(06章)、フィラトワは、EIEがLIIと自己判定する例を書いています(07章)。
アウシュラが社会の標準による自己評価から超自我ブロックの要素の過大評価が起きると書き(03章)、グレンコが役割の仮面はタイプの判定を難しくすると書いたこと(10章)も、同じ取り違えへの注意です。そのため、人前でよく見せている要素を、そのまま主導機能や創造機能と読むと、反対のタイプに行き着くことがあります。
フィラトワのアンドレイ公爵の例では、規範機能の役ではなく、人を操る力や感情の激しさのような、本来の性質の出方で見分けていました。規範機能の出方は、長くは続かず、外から支えられないと落ちる(10章)ので、続け方を見ることも手がかりになります。
「規範=道徳」という読み
規範機能の「規範」は、道徳や倫理の規範のことではありません。研究者章の「規範」は、どの要素でも、その要素について世間で通っている型、規則、手順、通念のことです。
エグリトの例では、外向論理なら仕事のよしあしの通念、外向感覚なら規律についての通念、と要素ごとに中身が違います(11章)。ブカロフの経理の例では、規範は指示に従う手順でした(05章)。人間関係の規範が規範機能の中身になるのは、Fi(LII・LSI)やFe(LIE・LSE)が規範機能のタイプの場合です。
決まり文句だけで判定する
エグリトが注意したとおり、話にことわざや決まり文句が出てきたというだけで、規範機能と判定することはできません(11章)。規範は3次元や4次元の機能にも含まれます。
規範機能の手がかりは、決まった言い方そのものより、その要素について話すとき、言い換えやニュアンスが乏しく、状況に合わせて変えられないこと(カルペンコの「詩ではなく辞書」、エグリトの「柔軟でない」)です。
名称の衝突
規範機能については、同じ名前が別の位置を指す名称の衝突が、主導機能よりはっきりあります。注意が要るのは3つです。
第一に、「サジェスティヴ」です。アウシュラは『機能の理論』で規範機能(第4機能)を「サジェスティヴな機能」と要約し、暗示機能(第8機能)を「サジェスティヴなバイタル機能」と要約しています(03章・13章)。また、『ソシオニクス入門』の初期のモデルYuの4要素のうち、「サジェスティヴ」と呼ばれる第4の要素は現行の暗示機能(5番)で、規範機能ではありません(02章)。
第二に、番号です。アウシュラの『機能の理論』の「第4機能」、レイニンの「第-4機能」、フィラトワの「上の環の第4機能」が、どれも規範機能(3番)です。一方、レイニンの「第4機能」は暗示機能(5番)です。
第三に、グレンコの「規範型」です。グレンコのサブタイプの体系(支配型・創造型・規範型・調和型)の「規範型」は、Ti(内向論理)とFi(内向倫理)が強まったサブタイプの名前で、規範機能とは関係がありません。研究者ごとの呼び名と番号を一覧にすると、次のとおりです。
- アウシュラ『機能の理論』: 「第4機能」(弱い・メンタル・アクセプト)。要約では「サジェスティヴな(暗示にかかりやすい)機能」。『ソシオニクス入門』の初期のモデルYuには含まれません。
- レイニン: 第-4機能「恐怖の領域」。ラベルは「私は欲しない」。対になる第4機能は現行の暗示機能(5番)です。
- ブカロフ: 「第3機能」。「ロール、2次元」で、受信側の機能に分類されます。
- ストラティエフスカヤ: 「第3ポジション」の「規範機能」。別名は「自己仕上げ機能」「接触機能」「役割機能」です。
- フィラトワ: モデル・ユング(4チャンネル)には含まれません。モデルAで「規範的チャンネル」「役割チャンネル」、別の箇所で「上の環の第4機能」「役割機能」と呼ばれます。
- イェルマーク: 「機能3」=「社会的規範」(パラメータは社会的経験と社会的規範の2つ)。
- カルペンコ: 「第3機能」。「規範化された機能」「役割機能」と呼ばれます。
- グレンコ: モデルGの第3「役割機能」。制動機能(7)と組んでエネルギー最小の対をなします(10章)。
- エグリト(システム・ソシオニクス学派): 「機能3(社会的規範)」。イェルマークの体系を継ぎ、2次元の柔軟でない機能として書いています。
「弱い=使えない」という読み
逆向きの読み違いもあります。規範機能は弱い機能ですが、使えないわけではありません。アウシュラは押しつけない助けがあれば百科事典のようになると書き(03章)、ストラティエフスカヤは規範的なレベルまで育てると書き(06章)、ブカロフは規範的な仕事なら十分にこなせると書いています(05章)。
規範機能の弱さは、主導機能のような確信と柔軟さに至らないこと、続けると消耗することとして書かれています。レイニンの恐怖の領域でさえ、人に知ることも理解することもできないものはない、と添えられています(04章)。
小括します。規範機能の読み違いは、5つに集約できます。得意な機能との取り違え・道徳の規範との取り違え・決まり文句だけでの判定・「サジェスティヴ」と番号の読み替え・使えない機能という読みです。いずれも、要素と位置の意味で照合し、出し方ではなく続け方と柔軟さで見れば避けられる種類のものです。
17先行研究への懸念点
先行研究への懸念を、このページで扱った範囲に限って整理します。
定義水準の別と検証手続きの不在
14章で見たとおり、規範機能の「2次元」は、経験の中身(個人的か社会的か)の扱いが研究者で違います。そのため、規範機能を2次元と判定する手続きは、研究者ごとに違います。
また、ストラティエフスカヤのテストで反対のタイプになるという観察や、グレンコの役割の仮面が診断を難しくするという指摘は、観察からの一般化として提示されています。ですが、どのくらいの頻度で起きるのかを第三者が確かめる手続きは示されていません。レイニンの心理的代価も、どう測るかは示されていません。
学派内の反復と独立性
12章で「研究者を横断して残る中核」として挙げたものの一部は、キエフ系(ブカロフ、カルペンコ、イェルマーク、エグリト)の内部で継承された定式です。とくに2次元と規範のベクトルの説明は、この4者の間で言い直されています。
一方、「他者より劣らない」(ストラティエフスカヤ)、「規範的チャンネル」(フィラトワ)、「役割の仮面」(グレンコ)は別系統の記述で、互いに独立に近い観測として読めます。ただし、「役割機能」の名がこれほど共有されていることは、文献群が相互に参照し合った結果を含むと見るべきです。
名称の重なり
規範機能の名称は、「規範」系と「役割」系に分かれ、さらにアウシュラの「サジェスティヴ」が暗示機能と重なります。それぞれ、外の標準に合わせる面、人前での出方、外から影響を受ける面という別の面に名前を付けたものです。
名前だけを並べると、規範機能がルールを守る機能なのか、役を演じる機能なのか、暗示にかかる機能なのかが、体系によって違って見えます。研究者間で突き合わせるときは、名前ではなく記述の中身で照合する必要があります。
モデルの限界
ブカロフは、古典ソシオニクスとモデルAが何を記述しているかについて、こう書いています。
留意したいのは、A. アウグスティナヴィチューテの古典ソシオニクスのかなりの部分は、こうしたテンプレートの記述にほかならない、ということである。(中略)そしてこの意味でモデルAは人間を記述するが、ただモデルとして—言うなれば、原理的回路図として記述しているだけである。
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Отметим, что значительная часть классической соционики А. Аугустинавичюте — это и есть описание таких шаблонов.〔中略〕И в этом смысле модель А описывает человека, но лишь как модель, скажем даже — как принципиальная схема.
上の引用にあるテンプレートは、タイプに固有の型どおりの反応のことです。言い換えると、古典ソシオニクスのかなりの部分は、タイプの型どおりの反応の記述で、モデルAは人を原理的な回路図として記述しているにすぎないということです。
この指摘は、規範機能の記述を読むときに二重の意味を持ちます。規範機能そのものが型どおりの機能として書かれているうえに、その記述を含むタイプ論全体が型どおりの反応の記述だ、とブカロフは言っています。主導機能や規範機能についての記述は、人を説明し尽くすものではなく、型を描いた図として読むのが妥当です。
主張の4水準
このページの内容を、主張の水準で分けると、次のようになります。
- 文献上の事実—誰がどの位置をどう呼び、何を書いたか(研究者章の引用)。
- 理論内部の帰結—配置の公理による導出対、3標識、次元性の割り当て(02章・13章・14章)。
- 文献系列内で反復される観察—人並みに外の標準に合わせる、役を演じる、本人が過大評価して判定を誤らせる、意識して努力して使い長くは続かない、型どおりで柔軟でない(12章)。
- 独立に実証された主張—このページの範囲では確認できません。
小括します。懸念は、定義水準の別、検証手続きの不在、学派内の反復、名称の重なり、モデルの説明できる範囲の5つです。
いずれも規範機能に固有ではなく、ソシオニクスの位置論全体に及ぶ問題です。規範機能では、とくに名称の重なりが、読み違いの原因になりやすいと言えます。
18規範機能とは何か
ここまで見てきたものを、当サイトの責任でまとめます。新しい引用は置きません。確からしさは、研究者章の引用より一段低くなります。最後は、「規範機能とは、詰まるところ何なのか」に落ち着けます。
反復して現れる記述
規範機能について、研究者を横断して反復される記述は5つです。人並み、つまり人より劣らない程度まで、外にある標準に合わせて使うこと。人前で役を演じる、仮面をつけること。
また、本人が自分を過大評価し、タイプの判定を誤らせること。意識して努力して使い、長くは続かないこと。そして、型どおりで柔軟でないことです(2次元)。
ただし、このうち「型どおりで柔軟でない」(2次元)の記述はキエフ系の文献に特に多く、観測の非独立性を差し引いて読む必要があります。
弱いのに意識される、で見ると
5つの記述は、弱いのに意識の側にあるという1つの組み合わせから読み直せます。ユングの枠では、弱い機能は意識の統制に従いにくく、主導機能と逆の指向で働きました(02章)。規範機能は、その枠の外にある組み合わせです。
まず、意識の側にあるので、本人はその要素の大切さを知っていて、人並みにしようと努力できます。ストラティエフスカヤの規範的なレベル、グレンコの意識的な訓練、アウシュラの百科事典は、この面です。
一方で、弱いので、自分の中から基準を作れず、外の型を借りて使うことになります。アウシュラの押しつけられた標準、イェルマークの他人の解き方、ブカロフのテンプレート、エグリトのことわざや規則は、この面です。
借りた型は人前で見せることができるので、役を演じる、仮面をつけるという出方になります。そして、見せた型は本人にも自分の力に見えるので、過大評価と判定の誤りが起きます。ただ、弱い機能を意識して動かし続けるのは負担なので、長くは続かず、レイニンの言う心理的な代価がかかります。
このように見ると、5つの記述は別々の観測ではなく、「弱いが意識される」という1つの性格の別の面として並びます。弱いが意識されることが、規範機能を、脆弱機能(弱く意識されて痛む)とも、暗示機能(弱く意識の外で受け取る)とも分けている点です。
確定しない点
まず、規範機能に向かう本人の態度は確定していません。人並みに合わせようと努力するのか(アウシュラ、ストラティエフスカヤ)、避けて先延ばしにするのか(レイニン)、規範を人に要求するのか(カルペンコ)で、研究者の書き方が分かれます。
また、2次元の中身(経験が個人的か社会的か)も確定していません。判定の手続きは示されておらず、独立に実証された主張はありません。
規範機能像の要約
文献上の規範機能は、メンタルリングの弱い受容側にある位置です。その要素については情報がゆっくりしか溜まらず、確信がなく、決めるときに迷い、周りに尋ねます。
そのため、自分の基準ではなく、世間で通っている型や規則や通念を借りて使い、人並みより劣らないところを目指します。その型は人前でそれらしく見せられるので、新しい人間関係では役を演じることがあり、本人も自分を得意だと思い込むことがあります。
一方で、その働きは意識して努力して保つもので、外から支えられないと落ち、長く続けると消耗します。状況に合わせて型を作り変えるのは苦手で、規則が変わると緊張します。
また、規範機能は主導機能と同じ指向を持ち、主導機能の補助として学ばれることも、伸ばしすぎて主導機能と取り合うこともあります。双対の相手は、この要素を観察機能で意識せずに見守ります。これが、研究者章を通して浮かび上がる像です。
規範機能とは、詰まるところ
いろいろな研究者の書き方を見てきましたが、最初の一般像(01章)はほぼそのまま残ります。弱い、型どおり、長くは続かない、役を演じる—ここは研究者をまたいで残ります。言い直したいのは2つだけです。「苦手」というより、その要素について自分の中に基準がなく、外の型を借りて使っている(アウシュラ、イェルマーク、ブカロフ)。「役を演じる」のは偽りというより、借りた型を人に見せている状態で、本人もそれを自分の力だと思いやすい(ストラティエフスカヤ、グレンコ)。テストで別のタイプが出ることがあるのは、一般像のとおりです。
かみ砕いて言えば、規範機能は、自分が意識して使う4つの機能のうち、2番目に弱い1つです。その要素のことは大事だと分かっていて、人並みにはしたいと思っています。ですが、自分の中に確かな感覚がないので、世間のやり方や決まりごとや「普通はこうする」を借りて使います。決まったやり方があれば十分こなせますし、人前ではそれらしく見せることもできます。そのため、周りからも、ときには本人からも、得意なことのように見えます。ただ、自分のやり方ではないので、続けると疲れ、決まりが変わると戸惑い、本当は避けたいと感じることもある、と文献は書いています。
少なくとも、これだけは研究者をまたいで残ります。弱いけれど意識していて、人並みにはしたい。そのために世間の型を借りて使い、人前ではそれらしく見せられる。ただ、借りた型なので長くは続かず、本人もそれを自分の得意と取り違えやすい。規範機能は、おおよそそういう位置です。
19引用と記述の方法
引用を用いる理由と範囲
ソシオニクスの文献では、同じ規範機能について、研究者ごとに呼び名も観測点も評価も食い違います。食い違う記述を1つの要約にまとめると、どの研究者も書いていない「平均像」ができあがります。要約には書き手の解釈が混ざるため、研究者の記述は逐語の引用で示します。
引用は、本文で設定した論点の検討に必要な範囲にとどめます。そのうえで、当サイトの本文がその出典関係・記述の差異・適用範囲を分析します。各引用の位置づけの説明、各章末の小括、12章の横断比較、17章の懸念の整理が、このページの本文の役割です。
また、12章の横断比較や16章・17章の整理など、本文の分析には当サイトの判断が入ります。最終の18章はその延長で、記事全体の資料をまとめ直す独自の統合です(位置づけは章の冒頭でも明示します)。
引用の逐語性と翻訳
引用の訳文は当サイトによる訳出です(ユングはドイツ語原著の英訳版から、エグリトは学派が公開するロシア語の原文から訳出しています)。底本の綴りは各引用の「原文を表示」で確認できます。
底本は、研究者本人の著書と機関誌論文を主とします。原文は、各引用の下の「原文を表示」に格納しています(図版由来で原文を収載できない箇所は索引に注記します)。なお、原文には誤字が残る可能性があることをあらかじめお伝えしておきます。
引用の位置づけも明記します。本ページの引用は、公表された著作物からの、批評・研究を目的とする引用です。引用部は引用ブロックで明瞭に区分し、すべてに出所を番号つきで明示しています。
また、索引には著者・資料名と、確認できた範囲の刊行年・初出・該当箇所を掲載し、出所に留保が要る資料は注記で示します。本文と引用の関係は、本文の分析が主で、引用は各論点の根拠として示す資料です。出典・掲載についての指摘があれば対応します。
引用への編集操作
引用への編集操作は、次の3点に限ります。第一に、タイプ愛称の置換です。ソシオニクスの原典には、16タイプを著名人の名で呼ぶ愛称が頻出します。当サイトはタイプをコード表記(ILE、SEIなど)で統一しているため、引用内の愛称は「ILE〔原文: ドン・キホーテ〕」の形式で置換します。
第二に、タイプ略号、研究者名、モデル名のラテン文字への統一です。アウシュラの初期モデルの名は「モデルYu」〔Yuはユングの頭文字〕と表記します。第三に、要素記号の読みの付記です。原文で要素記号が入る箇所は( )で表示し、引用内の要素記号と一文字の機能記号(□、●など)には、表示のときに要素コードの読みを添えます。
一方、位置の名称には手を加えません。規範機能(3番)は研究者によって「第4機能」「第-4機能(恐怖の領域)」「規範機能」「規範的チャンネル」「社会的規範」「役割機能」などと呼ばれます。番号は、体系によって「第3」「第4」「第-4」とずれます。
そのため、引用内の名称と番号はそのまま残し、対応は各研究者章の冒頭と16章の一覧で示します。本文では、当サイトの名称である規範機能で統一し、番号が要るところは「規範機能(3番)」と書きます。
索引の使い方
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+索引(引用文献)
- [1]ユング『心理学的類型』(原題:Psychologische Typen、1921年)第10章 原著は独語(1921年)。底本はH. G. Baynes英訳(1923年) 本文へ
- [2]Filatova『ソシオニクスの鏡の中の人格』(原題:Личность в зеркале соционики、2001年)第III部 原文欄は著者の書籍(露語)の対応箇所 本文へ
- [3]アウシュラ『ソシオニクス入門』(原題:Соционика: Введение、1998年)節「モデルYuとA」 モデル名と人名の頭文字をラテン文字に転記(Ю→Yu、А→A、К.Г.→K.G.)。原文欄は露語版の本文で、誤字が残る可能性がある 本文へ
- [4]アウシュラ『機能の理論(フンクツィオニカ)』(原題:Теория функций. Функционика、刊年不詳) 「第4機能」の節(現行の規範機能、3番) 執筆年の明示がない著作(推定1980年代後半〜1990年代初頭)。サミズダートで流通したのち電子化されたもので、初出媒体は未確認 本文へ
- [5]アウシュラ『機能の理論(フンクツィオニカ)』(原題:Теория функций. Функционика、刊年不詳) 「第4機能」の節(現行の規範機能、3番) 執筆年の明示がない著作(推定1980年代後半〜1990年代初頭)。サミズダートで流通したのち電子化されたもので、初出媒体は未確認 本文へ
- [6]アウシュラ『機能の理論(フンクツィオニカ)』(原題:Теория функций. Функционика、刊年不詳) 「第4機能」の節(現行の規範機能、3番) 執筆年の明示がない著作(推定1980年代後半〜1990年代初頭)。サミズダートで流通したのち電子化されたもので、初出媒体は未確認 本文へ
- [7]アウシュラ『機能の理論(フンクツィオニカ)』(原題:Теория функций. Функционика、刊年不詳) 「第4機能」の節(現行の規範機能、3番) 執筆年の明示がない著作(推定1980年代後半〜1990年代初頭)。サミズダートで流通したのち電子化されたもので、初出媒体は未確認 本文へ
- [8]アウシュラ『機能の理論(フンクツィオニカ)』(原題:Теория функций. Функционика、刊年不詳) 「第4機能」の節(現行の規範機能、3番) 執筆年の明示がない著作(推定1980年代後半〜1990年代初頭)。サミズダートで流通したのち電子化されたもので、初出媒体は未確認 本文へ
- [9]アウシュラ『機能の理論(フンクツィオニカ)』(原題:Теория функций. Функционика、刊年不詳) 「第4機能」の節(要約) 執筆年の明示がない著作(推定1980年代後半〜1990年代初頭)。サミズダートで流通したのち電子化されたもので、初出媒体は未確認 本文へ
- [10]アウシュラ『機能の理論(フンクツィオニカ)』(原題:Теория функций. Функционика、刊年不詳) 「ブロック「超自我」の一般的特徴」の節 執筆年の明示がない著作(推定1980年代後半〜1990年代初頭)。サミズダートで流通したのち電子化されたもので、初出媒体は未確認 本文へ
- [11]Reinin『ソシオニクス: 類型論・小集団』(2010年)第1講 底本は英語版 本文へ
- [12]Reinin『ソシオニクス: 類型論・小集団』(2010年)第1講 底本は英語版 本文へ
- [13]Reinin『ソシオニクス: 類型論・小集団』(2010年)第2講「16タイプ」ILE節 底本は英語版 本文へ
- [14]Reinin『ソシオニクス: 類型論・小集団』(2010年)第2講「16タイプ」ILE節 底本は英語版 本文へ
- [15]Reinin『ソシオニクス: 類型論・小集団』(2010年) 底本は英語版 本文へ
- [16]Bukalov「職業的成功とソシオニクス・タイプ」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌(2023年) 出典リンク 本文へ
- [17]Bukalov & Karpenko「人類の進化—情報代謝機能構造とソシオンの形成」(原題:Эволюция человека: формирование структуры ФИМ и социона)『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 №6(2018年) 出典リンク 本文へ
- [18]Bukalov「職業的成功とソシオニクス・タイプ」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌(2023年) 出典リンク 本文へ
- [19]Bukalov「職業的成功とソシオニクス・タイプ」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌(2023年) 出典リンク 本文へ
- [20]Bukalov「職業的成功とソシオニクス・タイプ」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌(2023年) 出典リンク 本文へ
- [21]Stratiyevskaya『お別れしないために』(原題:Как сделать, чтобы мы не расставались、刊年不詳)第I部 原文欄は著者の書籍(露語)の対応箇所 本文へ
- [22]Stratiyevskaya『お別れしないために』(原題:Как сделать, чтобы мы не расставались、刊年不詳)第I部 理論編「規範機能」 本文へ
- [23]Stratiyevskaya『お別れしないために』(原題:Как сделать, чтобы мы не расставались、刊年不詳)第I部 原文欄は著者の書籍(露語)の対応箇所 本文へ
- [24]Stratiyevskaya『お別れしないために』(原題:Как сделать, чтобы мы не расставались、刊年不詳)第I部 原文欄は著者の書籍(露語)の対応箇所 本文へ
- [25]Stratiyevskaya『お別れしないために』(原題:Как сделать, чтобы мы не расставались、刊年不詳)第I部 原文欄は著者の書籍(露語)の対応箇所 本文へ
- [26]Stratiyevskaya『お別れしないために』(原題:Как сделать, чтобы мы не расставались、刊年不詳)第I部 原文欄は著者の書籍(露語)の対応箇所 本文へ
- [27]Stratiyevskaya『お別れしないために』(原題:Как сделать, чтобы мы не расставались、刊年不詳)第II部 ILE章 原文欄は著者の書籍(露語)の対応箇所 本文へ
- [28]Filatova『ソシオニクスの鏡の中の人格』(原題:Личность в зеркале соционики、2001年)第III部 原文欄は著者の書籍(露語)の対応箇所 本文へ
- [29]Filatova『ソシオニクスの鏡の中の人格』(原題:Личность в зеркале соционики、2001年)第III部 原文欄は著者の書籍(露語)の対応箇所 本文へ
- [30]Yermak『人を理解することを学ぶには』(原題:Как научиться понимать людей、2005年)第3章 原文には誤字が残る可能性がある 本文へ
- [31]Yermak『人を理解することを学ぶには』(原題:Как научиться понимать людей、2005年)第3章 原文には誤字が残る可能性がある 本文へ
- [32]Yermak『人を理解することを学ぶには』(2005年)付録2「心のTIMモデルの記述」 原文には誤字が残る可能性がある 本文へ
- [33]Karpenko「私たちは何を話しているのか?」『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌(1995年) 本文へ
- [34]Karpenko「情報流のアスペクトによるクアドラの順位づけについて」(原題:О ранжировании квадр по аспектам информационного потока)『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 №5(2002年) 出典リンク 本文へ
- [35]Karpenko「バーン=ブカロフによる構えがタイプの発現に及ぼす影響」(原題:Влияние установок по Бёрну–Букалову на проявления типа)『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 №6(2011年) 出典リンク 本文へ
- [36]Karpenko「バーン=ブカロフによる構えがタイプの発現に及ぼす影響」(原題:Влияние установок по Бёрну–Букалову на проявления типа)『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 №6(2011年) 出典リンク 本文へ
- [37]Gulenko『64の肖像』(原題:64 портрета, или Калейдоскоп в новом свете、2019年)理論編 モデルG 底本は英語版。引用本文はその当サイト訳 本文へ
- [38]Gulenko『64の肖像』(原題:64 портрета, или Калейдоскоп в новом свете、2019年)理論編 底本は英語版。引用本文はその当サイト訳。原文トグルは英語版本文 本文へ
- [39]Gulenko『64の肖像』(原題:64 портрета, или Калейдоскоп в новом свете、2019年)理論編 底本は英語版。引用本文はその当サイト訳。原文トグルは英語版本文 本文へ
- [40]Gulenko『64の肖像』(原題:64 портрета, или Калейдоскоп в новом свете、2019年) 16タイプ編 ILE「役割機能」 底本は英語版。引用本文はその当サイト訳。原文トグルは英語版本文 本文へ
- [41]Eglit「機能の次元性」(原題:Размерность функций)『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 №2(2007年) 底本はシステム・ソシオニクス学派(School of System Socionics)公式サイトのロシア語原文(初出は機関誌2007年№2)。引用本文はその当サイト訳 出典リンク 本文へ
- [42]Eglit「機能の次元性」(原題:Размерность функций)『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 №2(2007年) 底本はシステム・ソシオニクス学派(School of System Socionics)公式サイトのロシア語原文(初出は機関誌2007年№2)。引用本文はその当サイト訳 出典リンク 本文へ
- [43]Stratiyevskaya『お別れしないために』(原題:Как сделать, чтобы мы не расставались、刊年不詳)第I部 原文欄は著者の書籍(露語)の対応箇所 本文へ
- [44]アウシュラ『機能の理論(フンクツィオニカ)』(原題:Теория функций. Функционика、刊年不詳) 「情報代謝モデル」の節 執筆年の明示がない著作(推定1980年代後半〜1990年代初頭)。サミズダートで流通したのち電子化されたもので、初出媒体は未確認 本文へ
- [45]Stratiyevskaya『お別れしないために』(原題:Как сделать, чтобы мы не расставались、刊年不詳)第II部 ILE章 原文欄は著者の書籍(露語)の対応箇所 本文へ
- [46]アウシュラ『機能の理論(フンクツィオニカ)』(原題:Теория функций. Функционика、刊年不詳) 「第8機能」の節(現行の暗示機能、5番) 執筆年の明示がない著作(推定1980年代後半〜1990年代初頭)。サミズダートで流通したのち電子化されたもので、初出媒体は未確認 本文へ
- [47]Stratiyevskaya『お別れしないために』(原題:Как сделать, чтобы мы не расставались、刊年不詳)第I部 原文欄は著者の書籍(露語)の対応箇所 本文へ
- [48]Eglit「機能の次元性」(原題:Размерность функций)『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 №2(2007年) 底本はシステム・ソシオニクス学派(School of System Socionics)公式サイトのロシア語原文(初出は機関誌2007年№2)。引用本文はその当サイト訳 出典リンク 本文へ
- [49]Yermak『人を理解することを学ぶには』(原題:Как научиться понимать людей、2005年)第3章 原文には誤字が残る可能性がある 本文へ
- [50]Bukalov & Karpenko「人類の進化—情報代謝機能構造とソシオンの形成」(原題:Эволюция человека: формирование структуры ФИМ и социона)『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 №6(2018年) 出典リンク 本文へ
- [51]Bukalov「意識機能の管理的役割」(原題:Управляющая роль функции сознания)『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 №5(2016年) 出典リンク 本文へ
