研究者ごとのベータの記述
グレンコが 書いた ベータクアドラ
グレンコは、ベータクアドラを、最もまとめにくい人々を、強い結束と闘争の目的でまとめるクアドラとして書いています。英雄主義と正義を掲げ、個人より大きな集団を優先する、という像です。
01まとめにくい人々の結束
グレンコは、ベータの人々がどうまとまるかを、こう書いています。
βクアドラには、最も御しがたいタイプの人々が集中している。彼らをまとめるためには、強い家父長的家族 ― 数世代が1つの屋根の下に住み、その長の確固たる手によって導かれる ― が必要である。
- ベータには、最もまとめにくいタイプの人々が集まっているとされる
- そのため、まとめるには、強い家長が率いる大家族のような形が要る
02「我々と彼ら」の線引き
この結束をどう保つかについて、グレンコはこう続けています。
クアドラβは最大の集団主義を特徴とし、それは敵のイメージによって支えられている。このイメージは、最初は明確な対立「我々/彼ら」から形成される。β社会の信頼できる「セメント化」の手段は、単一の宗教とイデオロギーである。いかなる異論も基盤を損なうものとして知覚され、それゆえ何らかの方法で抑圧される。
- ベータは、4つのクアドラで最も強い集団主義を持つ
- その集団主義を支えるのは、「我々と彼ら」の対立から生まれる敵の像
- まとまりを固める手段は、1つの宗教と1つの思想
- 異論は、まとまりの基盤を損なうものと受け取られ、抑えられる
03英雄と闘争
ベータの人々が生きる物語の型は、ロマン主義と結びつけて書かれています。
このクアドラにおいてのみ、ロマン主義は心理学的に真正に見える。(中略)麗しい若い英雄たちは、滅びるか、勝って結婚するかである。しかし彼らは静かな家庭生活を味わうことはできない。彼らの運命は闘争である。
- ベータでは、ロマン主義が本物に見えるとされる
- ベータの英雄は、滅びるか勝つかで、静かな家庭生活には落ち着かず、闘い続ける
尊ばれる価値については、グレンコはこう書いています。
βクアドラの他の尊重される価値は、英雄主義と無私の献身である。それは、四重の情熱性(passionarity)と正当に呼びうる。情熱性は、歴史家レフ・グミリョフによれば、闘争の名の下に、自分の生命に至るまで多くを犠牲にできる人物を記述する。
- ベータで尊ばれるのは、英雄主義と無私の献身
- ベータの献身は、情熱性と呼べるとされる
上の引用にある情熱性は、闘争のために命まで差し出せる人の性質を指す、歴史家グミリョフの語です。
04合言葉の正義
闘争の物語と並んで、ベータには好まれる合言葉があります。
βクアドラの最も人気のあるモットーの1つは、正義(justice)である。歴史は、奴隷の蜂起や農民戦争から現代の政治的ポピュリズムに至るまで、このアイデアの下での多くの大衆運動を知っている。それらは常に、力による財産の再分配と関連した平等主義的感情を伴っている。
- ベータで最も人気のある合言葉の1つは、正義
- 奴隷の蜂起から現代のポピュリズムまで、多くの大衆運動がこの合言葉の下で起きた
- その正義には、力による財産の再分配を求める平等の感情が伴う
05スパルタ的な暮らしとエネルギー
この闘争を支える暮らし方を、グレンコはこう書いています。
クアドラβは、禁欲、肉体的・精神的な絶え間ない訓練、ならびに強制的な集団主義を提案する非常にスパルタ的な生活様式によってその理想を強化する。この社会組織は、時間における並外れた安定性を与える。良い歴史的な例はスパルタであり、約5世紀にわたって存在した。
- ベータは、禁欲と絶え間ない訓練の暮らしで、理想を支える
- その見返りは長く続く安定で、例は約5世紀続いたスパルタ
エネルギーの大きさについては、こう書いています。
最も秩序‐エネルギー的なのは第2のクアドラ(β)であり、社会において最大の拡張を遂行する。(中略)第2クアドラはエネルギーに非常に満ちているため、もし闘争の目的を見失うなら、自らを破壊し始める。
- ベータは、4つのクアドラで最も秩序とエネルギーに満ちているとされる
- 社会の中で、最も大きな拡張を進める
- エネルギーに満ちているため、闘争の目的を見失うと、自らを壊し始める
06個人より大集団
ベータが向かう先は、こうまとめられています。
このように、βクアドラは個人的なものを公的なものに犠牲にしつつ、他者への志向、すなわち大集団への志向を堅持する。この意味で、それは最も社会的に影響力のあるクアドラとして第1位に置かれるべきである。それは、一般に東洋的価値と呼ばれているイデオロギー的体系を最も完全に体現している。
- ベータは、個人的なものを公的なもののために差し出し、大きな集団に向かう
- この意味で、ベータは社会への影響力が最も大きいクアドラとして第1位に置かれる
- ベータの価値は、一般に東洋的価値と呼ばれる思想の体系を、最もよく体現するとされる
07支配するライオン
グレンコは、ベータのエリートを、思想家マキャヴェッリのたとえで書いています。
二つのクアドラの統合という問題を最初に提起したのは、イタリア人N・マキャヴェッリだった。彼は、支配するβエリートをライオンに、その地位を占めようとするγエリートをキツネにたとえた。
- マキャヴェッリのたとえでは、ベータのエリートは支配する側のライオン
- ベータのエリートは、その地位をほかのエリートに狙われる側でもある
グレンコとは
ヴィクトル・グレンコは、Ph.D.を持つ心理学者で、キエフの人道主義ソシオニクス学派の創設者と紹介されている研究者です。
- 心を、いくつものレベルからなる体系として考える
- 書いてきた主題には、集団のまとまりや、現代文明の統合タイプも入る
- そのため、ベータの記述も、1人の性格より、集団のまとまり方と社会の歴史の規模で書かれている
ほかの研究者が書いたベータクアドラ
グレンコが書いたほかのクアドラ
引用索引
- [1]Gulenko『64の肖像』(2019)クアドラ論 本文へ
- [2]Gulenko『64の肖像』(2019)クアドラ論 本文へ
- [3]Gulenko『64の肖像』(2019)クアドラ論 本文へ
- [4]Gulenko『64の肖像』(2019)クアドラ論 本文へ
- [5]Gulenko『64の肖像』(2019)クアドラ論 本文へ
- [6]Gulenko『64の肖像』(2019)クアドラ論 本文へ
- [7]Gulenko『64の肖像』(2019)クアドラ論 本文へ
- [8]Gulenko『64の肖像』(2019)クアドラ論 本文へ
- [9]Gulenko「クアドラ価値—社会的不平等の心理学的ルーツ」(原題:Квадральные ценности. Психологические корни социального неравенства)『ソシオニクス、メントロジー、パーソナリティ心理学』誌 №106(2000年) 本文へ
