研究者ごとのFiの記述
ユングが 書いた Fi(内向倫理)
ユングは、内向的感情を、受け入れるか退けるかを決め、その基準を主体の側に置く判断として書いています。ソシオニクスのFi(内向倫理)は、この内向的感情を元にした情報要素とされています。
01受け入れるか退けるかの判断
内向的感情の元になる感情そのものを、ユングは定義の章でこう書いています。
感情とは第一に、自我と与えられた内容とのあいだで起こる過程であり、しかもその内容に、受容か拒絶かという意味での明確な価値を与える過程である
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Feeling is primarily a process that takes place between the ego and a given content, a process, moreover, that imparts to the content a definite value in the sense of acceptance or rejection
- 感情は、自我と与えられた内容とのあいだで起こる過程
- その過程で、内容を受け入れるか退けるかを決め、価値を与える
そのうえでユングは、感情を判断の一種だと続けています。
それゆえ感情もまた一種の判断である。ただし知性的な判断とは異なり、知性的な連関を打ち立てることを目指すのではなく、もっぱら受容か拒絶かの主観的な基準を立てることに関わる。
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Hence feeling is also a kind of judging, differing, however, from an intellectual judgment, in that it does not aim at establishing an intellectual connection but is solely concerned with the setting up of a subjective criterion of acceptance or rejection.
- 感情も、思考と同じく判断の一種
- ただし筋道をつなげるのではなく、受容か拒絶かの基準を立てる判断
- この価値を与える判断が、内向的感情の元になると読める
02主観的な要因で決まる
内向的感情が何によって決まるかを、ユングは次のように書いています。
内向的感情は、主として主観的な要因によって決定される。(中略)その狙いは、客観的な事実に合わせることよりも、その上に立つことにある。
- 内向的感情は、主に主観的な要因で決まる
- 客観的な事実に合わせるより、その上に立つことを目指す
- 基準は、対象の側ではなく主体の側にある
- アウシュラがFi(内向倫理)を主観的な関係とした定義にもつながると読める
03外には否定の形で見える
内向的感情が外に出るときの形を、ユングはこう書いています。
それは第一に主観的な前提条件によって制御され、対象には二次的にしか関わらないため、この感情ははるかに表面に現れにくく、通例、誤解される。(中略)それは見かけのうえで対象を低く見積もる感情であり、それゆえふつうは否定的な現れ方によって気づかれる。(中略)肯定的な感情の存在は、いわば間接的にしか推し量れない。
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Since it is primarily controlled by subjective pre-conditions, and is only secondarily concerned with the object, this feeling appears much less upon the surface and is, as a rule, misunderstood.〔中略〕is a feeling which apparently depreciates the object ; hence it usually becomes noticeable in its negative manifestations.〔中略〕existence of a positive feeling can be inferred only indirectly, as it were.
- 内向的感情は主体の側の前提で決まるので、表に出にくく、誤解されやすい
- 外からは、対象を低く見ているように見える
- 肯定的な感情があることは、間接的に推し量るしかない
上の引用にある「それ」は、内向的感情のことです。
04身を引いて、深さへ向かう
内向的感情が外の対象とどう向き合うかを、ユングはたとえで書いています。
オジギソウのような感じやすさをもって、それは対象の粗暴さから身を縮め、そのぶん主体の深みへと広がっていく(中略)自己防衛の手立てとして、それは否定的な感情判断を差し出すか、深い無関心の様子を装う。
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with the sensitiveness of the mimosa, it shrinks from the brutality of the object, in order to expand into the depths of the subject〔中略〕It puts forward negative feeling-judgments or assumes an air of profound indifference, as a measure of self-defence.
- 内向的感情は、対象の粗さに触れると身を縮め、そのぶん内側へ深まる
- 身を守るときは、否定の判断を出すか、無関心を装う
上の引用にあるオジギソウは、触れると葉を閉じる植物です。
ユングは、この引いた態度を、内向的感情型の人の像でも書いています。原典ではこの人を「この型」「彼女」と呼んでいます。
表面的な判断は、いくぶん冷たく控えめな振る舞いに欺かれて、この型にはいっさい感情がないと言いかねない。しかしそうした見方はまったくの誤りである。実のところ、彼女の感情は外延的であるより内包的なのである。それは深さへと発展する。
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A superficial judgment might well be betrayed, by a rather cold and reserved demeanour, into denying all feeling to this type. Such a view, however, would be quite false; the truth is, her feelings are intensive rather than extensive. They develop into the depth.
- 内向的感情は、冷たく見えても、外へ広がるより、内側で深まる
- 冷たく見えることと、感情がないことは別
05内向的感情型の人物像
内向的感情がいちばん発達した内向的感情型を、ユングはこう書いています。
彼女たちはたいてい寡黙で、近づきがたく、理解しがたい。(中略)自分の人生の統制を主観的に方向づけられた感情に委ねているため、その真の動機はたいてい隠されたままである。(中略)印象づけることも、影響を与えることも、どんな形であれ相手を変えることも望まない。
- 内向的感情型の人は、寡黙で近づきがたい
- 人生のかじ取りを主観に向いた感情に任せ、本当の動機はたいてい隠れている
- 相手に印象を与えることも、相手を変えることも望まない
人との交わりが穏やかに保たれる条件も、ユングは書いています。
調和した感情の雰囲気が保たれるのは、対象が穏やかな感情の強さで自分の道を進み、相手の道を横切ろうとしないかぎりのことである。
- 内向的感情型の人との調和は、相手が自分の道を横切らないかぎり保たれる
- 外へ働きかけない一方で、自分の道を横切られると調和が保てなくなる
06主体にだけ責任を負う自由
内向的感情が作り出す自由を、ユングはこう書いています。
対象との関係から絶えず自らを解き放ちながら、この感情は、行為の自由と良心の自由をともに作り出す。それは主体に対してのみ責任を負う自由であり、伝統的な価値のすべてを放棄することさえありえる。
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Continually emancipating itself from the relation to the object, this feeling creates a freedom, both of action and of conscience, that is only answerable to the subject, and that may even renounce all traditional values.
- 内向的感情は、対象との関係から離れながら、行為の自由と良心の自由を作る
- その自由は主体に対してだけ責任を負うもので、伝統的な価値を手放すこともある
- この自由は、良心の基準を、外の慣習ではなく主体の側に置くことと考えられる
ユングとは
カール・グスタフ・ユングは、スイスの精神科医で、1921年に『心理学的類型』を刊行しました。
- 人のタイプを、外向・内向の態度タイプと、いちばん発達した機能で分ける機能タイプの2つで考えた
- ソシオニクスの16タイプはこの組み合わせが元になったとされるが、ユング本人がソシオニクスを提唱したわけではない
- 内向的感情についても、心理機能としての内向的感情と、内向的感情型の人の像を書いている
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引用索引
- [1]ユング『心理学的類型』(原題:Psychologische Typen、1921) 原著は独語(1921年)。底本はH. G. Baynes英訳(1923年) 本文へ
- [2]ユング『心理学的類型』(原題:Psychologische Typen、1921)第11章 定義「感情」 原著は独語(1921年)。底本はH. G. Baynes英訳(1923年) 本文へ
- [3]ユング『心理学的類型』(原題:Psychologische Typen、1921)第10章 原著は独語(1921年)。本文は英訳版からの訳出 本文へ
- [4]ユング『心理学的類型』(原題:Psychologische Typen、1921)第10章 内向的態度「感情」 原著は独語(1921年)。底本はH. G. Baynes英訳(1923年) 本文へ
- [5]ユング『心理学的類型』(原題:Psychologische Typen、1921)第10章 内向的態度「感情」 原著は独語(1921年)。底本はH. G. Baynes英訳(1923年) 本文へ
- [6]ユング『心理学的類型』(原題:Psychologische Typen、1921) 原著は独語(1921年)。底本はH. G. Baynes英訳(1923年) 本文へ
- [7]ユング『心理学的類型』(原題:Psychologische Typen、1921)第10章 原著は独語(1921年)。本文は英訳版からの訳出 本文へ
- [8]ユング『心理学的類型』(原題:Psychologische Typen、1921)第10章 原著は独語(1921年)。本文は英訳版からの訳出 本文へ
- [9]ユング『心理学的類型』(原題:Psychologische Typen、1921)第10章 内向的態度「感情」 原著は独語(1921年)。底本はH. G. Baynes英訳(1923年) 本文へ


