研究者ごとのFiの記述
アウシュラが 書いた Fi(内向倫理)
アウシュラは、Fi(内向倫理)を、ある対象が別の対象に引きつけられるか、反発するかという主観的な関係として書いています。主導機能のFiは誰が誰から何を望むかを知り、脆弱機能のFiは自分の気持ちにさえ確信が持てない、という幅で書かれています。
01引きつけられるか反発するか
これは、ポテンシャル・エネルギーまたは運動エネルギーの二つの担い手のあいだの主観的関係であり、ある対象あるいは主体の他の対象や主体への引力(あるいは反発)を示すものである。この情報要素のおかげで、人間はどの対象が自分を引きつけ、どれが反発するかを感じる。
原文を表示
Это субъективное отношение между двумя носителями потенциальной или кине- тической энергии, показывающее притягиваемость (или отталкиваемость) одного объекта или субъек- та с другими объектами и субъектами. Благодаря этому элементу ИМ человек чувствует, какие объ- екты его притягивают, какие — отталкивают.
- Fiは、2つの担い手のあいだで、引きつけられるか反発するかという関係の情報
- この要素で、人は何に引きつけられ、何に反発するかを感じる
- 定義に「主観的関係」とあるとおり、Fiが扱うのは主観的に感じられる関係
上の引用にある担い手は、対象と主体のどちらも指しています。
02Fiを倫理と呼ぶ理由
Fiの情報が人にどう意識されるかと、この要素を倫理と呼ぶ理由を、アウシュラはこう説明しています。
客観的世界のこのアスペクトについての直接的情報、すなわち第一信号系を介して得られる情報を、個体は、満足を与える特定の対象への欲求として、身体的欲望として、文化的=精神的秩序の願望として、他の人々への欲求として意識化する。(中略)この種の高次の感情は倫理的と呼ばれる(中略)なぜなら、人々の欲求間の相互関係は主として倫理的規範によって規制されるからである。
- Fiの情報は、特定の対象への欲求や願望として意識される
- その範囲は、体の欲望から人への欲求まで
- 人の欲求どうしの関係は主に倫理の規範で調整されるので、倫理と呼ぶ
- アウシュラの倫理は、欲求どうしの関係を扱う情報の名前と読める
03主導機能のFi
Fiが主導機能に入る人を、アウシュラはこう書いています。
この知覚のアスペクトが主導的であるとき、人間は自分自身と他者の願望を見て評価する技能—(中略)自分のものも他の人々のものも—によって際立ち、彼は常に誰が誰から何を欲しているかを知っている。(中略)自分に必要な人間関係を確保する技能と、他者に影響を与えられるという自分の可能性への確信によって際立つ。
04ESIのFiは関係を見誤らない
ESIの章で、アウシュラは主導機能のFiが人どうしの関係をどう感じ取るかを書いています。
個人は、人々の間の倫理的諸関係を明瞭に感じ取る。誰がどのような感情を経験しており、彼が誰に対していかなる感情 — 愛、憎しみ、共感、軽蔑等々 — を呼び起こしているかを、過誤なく知っている。
原文を表示
Индивид отчетливо чувствует этические отноше- ния между людьми. Безошибочно знает, кто какие чувства испытывает и какие сам вызывает у дру- гих — любовь, ненависть, симпатию, пренебреже- ние и т. д.
- ESIのFiは、愛や憎しみが誰から誰へ向いているかを、間違えずに知っている
- その範囲は、自分と相手の関係から、他人どうしの関係にまで広がる
このFiが下す評価の固さを、アウシュラはESIの言葉で書いています。
「悪い人物を許してはならない、たとえ謝罪してきたとしても。ただ、力がないだけだ。許すことはできるが、どうやって忘れるのか?(中略)「死者に関しては、よく語るか、何も語らないかだ」という諺は正しくない。悪人については、死後でさえ — 悪人だ」
原文を表示
Прощать плохого нельзя, если даже он изви- няется. Просто нет сил. Простить можно, но как забыть?〔中略〕Не пра- вильна пословица, что про умершего или хорошо, или ничего: негодяй и после смерти негодяй
- ESIのFiは、悪い人物への評価を、謝罪されても相手の死後も変えない
- 許すことはできても、忘れることはできない
05EIIのFiは望ましい関係を築く
EIIの章では、主導機能のFiが、関係をつくる側として書かれています。
このIMタイプの知的な強みは、自分自身および自分の親しい者たちにとって望ましい人間関係を、他者と築き上げる能力にある。(中略)身近な人々が何を望み何を望まないか、誰にどうして好意を抱き、誰に抱かないかを知っている。人々の本当の感情と見せかけの感情とを、常に見分けることができる。
原文を表示
Интеллектуальная сила этого типа ИМ — в его, умении налаживать желательные ему и его близким отношения с другими людьми. 〔中略〕 Знает, чего его близкие люди хотят и чего не хотят, кому и почему симпатизируют, кому не симпатизируют. Всегда способен разобраться в настоящих и кажущихся чувствах людей.
- EIIのFiは、自分と身近な人に望ましい関係を、他人と築く力
- 身近な人の好き嫌いを知っている
- 本当の感情と見せかけの感情を見分ける
EIIのFiによる共感について、アウシュラは同じく人を助けようとするEIE(ENFJ)と比べ、夜中の電話の例を挙げています。
しかし、観察が示すように、EIE〔原文: ハムレット〕には共感を求めて夜中でも電話をしてよいが、EII〔原文: ドストエフスキー〕には、いけない。
原文を表示
Противоположный ТЫ тии ИМ — ТМА, ЭТИКО-ИНТУИТИВНЫЙ ЭКСТРАТИМ (ГАМ- ЛЕТ) тоже сочувствует людям и старается им по- мочь. Но, как показывают наблюдения, к ГАМЛЕ- ТУ в поиске сочувствия можно позвонить и ночью. ДОСТОЕВСКОМУ — нет.〔中略〕ГАМЛЕТ словами говорит: «Да, раз- будил», но говорит он тоном, опровергающим ска- занное.
- 共感を求めて夜中に電話する相手として、EIIは向かないとされる
- 同じく人に共感するEIEには、夜中に電話してもよいとされる
06脆弱機能のFi
Fiが脆弱機能に入るときを、アウシュラはILE(ENTP)の章でこう書いています。
客体への感情そのものと、それらに対する態度の表現はきわめて慎重で、思慮深く、同時にきわめて臆病だ。(中略)このような個体は自分が誰かを真に愛しているか嫌っているか、決して確信がない。単に知らない、自分にその権利があるかどうかを。
原文を表示
Как само чувство к объек- там, так и выражение отношения к ним очень ос- торожны, обдуманны и вместе с тем очень пугливы. В каждую минуту индивид готов от них отказаться как под еле ощутимым давлением окружения, так и под давлением чувства. вызывающих объектов. Такой индивид никогда не уверен в том, что он всерьез кого-то любит или ненавидит. Он просто нс знает, есть ли у него на это право или нет.
- 脆弱機能のFiでは、感情や態度の表し方が慎重で、とても臆病になる
- 人を本当に愛しているのか嫌っているのか、確信が持てない
- そう感じてよい権利が、自分にあるのかも分からない
- 自分の関係の評価を決めきれないと読める
Fiを脆弱機能に持つのは、ILEとSLE(ESTP)です。
アウシュラとは
アウシュラ・アウグスティナヴィチューテは、リトアニアのヴィリニュスに住んでいた研究者で、ソシオニクスの基礎をつくりました。
- 人間関係の法則を探し、善意があっても衝突が起きる理由を説明しようとした
- 理論を観察から切り離さず、観察して分かったことを構造として書き出す
- Fiについても、要素の定義と並んで、ESIやEIIが人と人の関係をどう扱うかの観察を書いている
ほかの研究者が書いたFi(内向倫理)
アウシュラが書いたほかの情報要素
引用索引
- [1]アウシュラ『ソシオニクス入門』(原題:Соционика: Введение、1998) 原文には誤字が残る可能性がある 本文へ
- [2]アウシュラ『ソシオニクス入門』(原題:Соционика: Введение、1998)第4章 1982年執筆「ソシオン、またはソシオニクスの基礎」の再録部からの引用 本文へ
- [3]アウシュラ『ソシオニクス入門』(原題:Соционика: Введение、1998)第4章 1982年執筆「ソシオン、またはソシオニクスの基礎」の再録部からの引用 本文へ
- [4]アウシュラ『ソシオニクス 心理タイプ・テスト』(原題:Соционика: Психотипы. Тесты、1998) ESI章 本文へ
- [5]アウシュラ『ソシオニクス 心理タイプ・テスト』(原題:Соционика: Психотипы. Тесты、1998) ESI章 本文へ
- [6]アウシュラ『ソシオニクス:心理タイプ・テスト』(原題:Соционика: Психотипы. Тесты、1998) 本文へ
- [7]アウシュラ『ソシオニクス 心理タイプ・テスト』(原題:Соционика: Психотипы. Тесты、1998) EII章 本文へ
- [8]アウシュラ『ソシオニクス入門』(原題:Соционика: Введение、1998) ILE章 本文へ


