FVEL(チェーホフ)の 詳細解説
1F・2V・3E・4L|第6セクスタ

FVELは、第1機能に物質、第2機能に意志、第3機能に感情、第4機能に論理の側面がくるタイプです。原典の象徴名はチェーホフで、感傷を嫌って自分を抑え、義務感から人を助けるとされています。
- 物と快適さを好む: お金や物、快適さに無関心ではありませんが、けちや利己には向かわないとされています。
- 義務感から人を助ける: 無料の診療や学校の建設などの善行は、愛着より、よく発達した義務感から出ているとされています。
- 内面を人目から守る: 変わらない平静さと外から見た冷たさで、自分の内面を人目から守っているように見えるとされています。
- 悪意のないユーモア: 皮肉で身の回りのものを笑いの種にしますが、2Vの人のよさで、その笑いに悪意がないとされています。
- 定まらない見方: 思弁的な問題に関心が薄く、自分の見方を毎日変えると本人も認めていたとされています。
- 結婚を急がない: 1Fと3Eの組み合わせから結婚を急がず、そのためこのタイプは世の中にまれだとされています。
FVELを理解するには、次の4つのポイントがあります。
第一章FVELの4つの位置
サイコソフィアでは、論理・意志・感情・物質の4つの機能を、人ごとに第1から第4の順位に並べます。FVELでは、上の段に物質と意志、下の段に感情と論理がきます。
また、4つの位置のうち、結果型は1Fと4L、プロセス型は2Vと3Eです。そのため、FVELでは意志と感情が、人とのやりとりのなかで働く機能になります。
1F「所有者」
FVELの第1機能は、物質です。アファナシエフは、チェーホフの物への向き合い方を、こう書いています。
チェーホフは、知識人の伝統に反して、金、物、快適さにまったく無関心ではなかった。しかし、彼に備わる所有本能は、チェーホフを吝嗇家にも利己主義者にもせず、ゴーリキーがチェーホフの物への愛を「高貴な」ものと呼んだのも理由のないことではない。
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Отнюдь не равнодушен был Чехов, вопреки интеллигентской традиции, к деньгам, вещам, комфорту. Однако присущий ему собственнический инстинкт не сделал из Чехова ни скряги, ни эгоиста, недаром Горький называл Чеховскую любовь к вещам “благородной”.
上の引用にあるゴーリキーは、チェーホフと同時代のロシアの作家です。つまり、チェーホフは物や快適さを大事にしながら、けちにも利己的にもならなかったということです。原典は、1Fの所有の本能をこのように和らげているのが、2Vの働きだと見ています。
2V「貴族」
物質の次にくるのが、意志です。アファナシエフは、チェーホフの善行と人柄を、2Vから説明しています。
チェーホフに無料で診療させ、農村の学校を建てさせ、家族を経済的に助けさせ、故郷タガンログのために図書館を収集させたのは、まさに第2意志だった。チェーホフの天性の最良の面、すなわち実直さ、繊細さ、民主主義的な気質、控えめさなどが遡るのも、同じ第2意志である。
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Именно 2-я Воля заставляла Чехова бесплатно лечить, строить деревенскую школу, помогать материально семье, собирать библиотеку для родного города Таганрога. К той же 2-й Воле восходят лучшие стороны Чеховской натуры: порядочность, деликатность, демократизм, скромность и т. д. Но бессмертием своим Чехов обязан 3-й Эмоции.
言い換えると、チェーホフの善行も、実直さや控えめさといった人柄の良い面も、どちらも2Vから出ているということです。2Vは人と話し合いながら決め、支配も服従もしない位置なので、人を助けても、相手の上に立とうとしないと読めます。
3E「堅物」
下の段の第3機能は、感情です。アファナシエフは、チェーホフをよく知る人々の証言から、3Eを読み取っています。
彼に第3感情があったことに疑いはない。チェーホフをよく知る人々が、別の言葉でそれを伝えている。「彼の変わらぬ平静さ、均質さ、何か外的な冷たさが、不透過の鎧のように彼の人格を取り巻いていた。この人は自分の魂を、他人の目から注意深く守っているように見えた」。
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В том, что у него была 3-я Эмоция сомнений нет. О ней, только в других терминах, сообщали люди, хорошо Чехова знавшие:” Его всегдашнее спокойствие, ровность, внешний холод какой-то, казавшейся непроницаемой, броней окружали его личность. Казалось, что этот человек тщательно бережет свою душу от постороннего глаза.
つまり、チェーホフはいつも平静で、外からは冷たく見えるほど、自分の内面を人に見せなかったということです。3Eは感情を気にしながら、それを自由には表せない位置なので、その冷たさは感情がないことではなく、内面を守る構えと読めます。
4L「学童」
最後の第4機能は、論理です。アファナシエフは、チェーホフの4Lを、世界観の定まらなさに見ています。
チェーホフの第4論理にも疑いはない。世界観と呼びうるもののうち、彼において明確だったのは、知性からではなく第2意志から来る倫理と、第3感情から来る美学だけだった。チェーホフ自身、毎日自分の見解を変えていると認めていた。(中略)チェーホフの日記に、次のような記述がある。「『神はいる』と『神はいない』のあいだには、巨大な野原が丸ごと横たわっており、真の賢者はそこを苦労して通り抜ける。ロシア人は二つの極端のどちらかを知っているが、その中間は彼の関心を引かず、そのため彼は通常、何も知らないか、ほとんど何も知らない」。
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4-я Логика Чехова также не вызывает сомнений. Из всего того, что можно назвать мировоззрением, определенность у него отличались только этика, идущая не от ума, а от 2-й Воли и эстетика — от 3-й Эмоции. Сам Чехов признавался, что меняет свои взгляды каждый день. Человеком неопределенных воззрений он выглядел и со стороны. В Чеховском дневнике есть такая запись:” Между “есть Бог” и “нет Бога” лежит целое громадное поле, которое с трудом проходит истинный мудрец. Русский человек знает какую-либо одну из двух крайностей, середина же между ними не интересует его, и потому он обыкновенно не знает ничего или очень мало”.
言い換えると、チェーホフの世界観ではっきりしていたのは、2Vから来る倫理と3Eから来る美学だけだということです。4Lは論理に重きを置かない位置なので、考えで世界を説明し尽くすことに、強い関心を向けないとされています。
また、日記の言葉も、神の有無という両極より、その間に広がる野原のほうに目を向けています。
第二章原典が描く「チェーホフ」
チェーホフは、ロシアの作家・劇作家で、医師でもありました。アファナシエフは、本人の生涯と作品に加えて、イギリス人の国民性もFVELの例に挙げています。挙げられているのは、愛着なしの親切、悪意のないユーモア、イギリスとのつながりの3つです。
愛着なしの親切
FVELの1Fと2Vの組み合わせは、人への接し方にも表れるとされています。アファナシエフは、作家クプリンの言葉を引いて、こう書いています。
第1物質は、チェーホフを、利己主義者、けち、消費者、人々の必要や苦しみに無関心な人間にしていてもおかしくなかった。外へ向けて展開された第2意志が、それを絶えず抑えていなければ。クプリンはこの組み合わせを不可解だと考え、チェーホフは「愛さずに親切で寛大であり、愛着なしに優しく思いやりがあり、感謝を当てにせずに恩人であることができた。周囲の人々にはいつも不明瞭であったこれらの特徴のなかに、おそらく、彼の人格の主な謎の鍵がある」と書いた。
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1-я Физика могла бы сделать из Чехова эгоиста, скрягу, потребителя, человека, равнодушного к нуждам и страданиям людей, если бы ее постоянно не придерживала развернутая вовне 2-я Воля. Куприн находил такое сочетание загадочным, он писал, что Чехов “мог быть добрым и щедрым не любя, ласковым и участливым — без привязанности, благодетелем — не рассчитывая на благодарность. И в этих чертах, которые всегда оставались неясными для окружающих, кроется, может быть, главная разгадка его личности”. Еще ближе к пониманию природы Чеховского альтруизма стоял другой писатель (Потапенко), по мнению которого “не может быть подвергнуто сомнению, что искреннего влечения к врачебной деятельности А.П. не питал. Заблуждения же наблюдателей объясняется тем, что за влечение они принимали исключительно развитое в нем чувство долга, которое заставляло его с улыбкой на губах делать то, что было ему неприятно и даже противно…”
上の引用にある外へ向けて展開された第2意志は、人に向けて働く2Vのことです。言い換えると、チェーホフは愛着や見返りがなくても、人に親切で寛大にふるまえたということです。周りの人には分かりにくかったこの特徴を、原典は1Fを抑える2Vの働きとして説明しています。
悪意のないユーモア
また、チェーホフの初期の作品は、ユーモアのジャンルでした。原典は、これを機能の順序全体から説明しています。
当初チェーホフがユーモアのジャンルを選んだことは、よく理解できる。第1物質が彼の世界観を明るく、生を愛する陽気な色に染め、第3感情のいちじくの葉である皮肉が、身の回りのあらゆるものに嘲笑の種を見いだしたが、第2意志の人のよさが、その嘲笑を悪意のないものにしたのである。こうして、機能の順序の総和から、チェーホフの最初のユーモアの時期が形づくられた。より正確には、まだチェーホフではなく、アントーシャ・チェホンテの創作の時期である。
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То, что поначалу Чехов избрал себе юмористический жанр, очень понятно:1-я Физика окрашивала его мировоззрение в светлые жизнелюбивые, веселые тона, фиговый листок 3-й Эмоции — ирония — во всем окружающем находила повод для насмешки, однако добродушие 2-й Воли делало эту насмешку беззлобной. Таким образом, из всей суммы порядка функций и сложился первый юмористический период творчества Чехова, точнее, еще не Чехова, а Антоши Чехонте.
ここでいういちじくの葉は、見せたくないものを隠す覆いのたとえで、アントーシャ・チェホンテは若いころのチェーホフの筆名です。つまり、1Fの明るさ、3Eの皮肉、2Vの人のよさが合わさって、悪意のない笑いになったということです。原典によれば、その後、病と人生経験の積み重ねとともに作風は変わり、3Eが創作の中心になったとされています。筋も教訓もない「気分の演劇」も、3Eから生まれたと原典は見ています。
イギリスの国民性
さらに、原典は、FVELはこの世にまれなタイプだとしながら、このタイプが国民性をつくった国が1つあるとしています。
容易に推測できるように、イギリスのことである。健康、外見、金、暮らし(「わが家はわが城」)の問題への完全な真剣さ。これらすべてと、ほかのもっと小さな多くの特徴が、イギリス人の第1物質をはっきりと示している。民主主義、現代の法意識、自由思想の祖国であるブリテンは、むろん、住民のあいだに第2意志が優勢でなければ、そのようにはなりえなかった。イギリス人の冷静さ、素っ気なさ、控えめさについて書かなかったのは、怠け者だけである…
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Речь идет, как нетрудно догадаться, об Англии. Полная серьезность в вопросах здоровья, внешности, денег и быта (“мой дом — моя крепость”) — все это, а также множество других более мелких черт ясно указывают на 1-ю Физику англичан. Британия — родина демократии, нынешнего правосознания и свободомыслия — конечно, не могла стать таковой, без преобладания среди ее жителей 2-й Воли. О хладнокровии, суховатости и сдержанности англичан не писал только ленивый…
つまり、健康や金や暮らしへの真剣さは1F、民主主義と法意識は2Vの表れとされています。冷静で控えめなイギリス人の気質も、チェーホフの3Eの外見と重なると読めます。原典は、チェーホフがイギリスで祖国以上に愛されている理由も、ここにあると見ています。
第三章FVELとFVLEの違い
FVLEは、原典で「ゲーテ」と呼ばれるタイプです。FVELとFVLEは1Fと2Vが同じなので、物と暮らしを大事にしながら、人を支配しない点で似て見えます。原典は、どちらのタイプについても、1Fの欲を2Vが和らげていると書いています。
違いは、下の段にあります。FVELは感情が第3機能、論理が第4機能です。一方、FVLEは論理が第3機能、感情が第4機能です。第3機能は弱く本人が強く気にする機能、第4機能は本人があまり重きを置かない機能なので、2つのタイプでは気にするものと気にしないものが入れ替わっていることになります。
アファナシエフは、FVLEの3Lが、話し方に表れるとしています。
「ゲーテ」は、率直に言って、雄弁家ではない。運命はたいてい彼に洗練された知性を授け、人生はそれなりの教育を与えうるが、第3論理は自分の仕事をする。第3論理は、彼にたいてい、ゆっくり、苦労して話させ、語彙を念入りに平易にさせる。この事情は、「ゲーテ」について、強く、頼もしいが、浅く、単純な人間という印象をつくる。そして不思議なことに、「ゲーテ」の見かけの単純さもまた、彼の政治的イメージのために働く。
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“Гете”, прямо сказать, не златоуст. Хотя судьба обычно награждает его изощренным умом, а жизнь может дать приличное образование — 3-я Логика делает свое дело. 3-я Логика заставляет его обычно говорить медленно, с трудом, старательно упрощая лексику. Это обстоятельство создает о “Гете” представление как о человеке сильном, надежном, но недалеком и простоватом. И странное дело, мнимая простоватость “Гете”тоже работает на его политический имидж.
言い換えると、FVLEは知性があっても、3Lのためにゆっくり言葉を選んで話し、単純な人に見えやすいということです。一方、FVELの論理は4Lなので、考えの正しさや見方の一貫性を、そもそも強く気にしないとされています。
また、感情の扱いも逆になります。FVELは3Eのため、感情を人目から守り、皮肉に包んで表します。反対に、FVLEは4Eのため、感情を伝える言葉そのものに、高い価値を置かないとされています。
第四章FVELの関係
完全アガペー:LEVF(パスカル)
- LEVFの2Eは、FVELの3Eが表現を試す過程を支えます。FVELの2Vは、LEVFの3Vが選択への自信を育てる場を作ります。
- FVELの1FはLEVFの4Fを生活面で支え、LEVFの1LはFVELの4Lへ明確な説明を提供します。
- プロセス型機能(第2・第3)の交差に、結果型機能(第1・第4)の交差も加わる、完全アガペーの配置です。原典はこれを最も実りのある関係とする一方、これほど重苦しい関係はないとも書きます。
アガペーの実例:FEVL(リカ・ミジノワ)
- FEVLの2EはFVELの3Eへ感情表現を促し、FVELの2VはFEVLの3Vへ対等な選択の可能性を示します。
- 原典の実例では、補完性があっても、冗談の調子を越えて率直に話すことが難しかったと記されます。それでも原典は、この恋を実りあるアガペーの例とします。
完全エロス:ELFV(ルソー)
第6セクスタの4タイプ
第1機能と第4機能が同じ組になる4タイプです。
- FEVL デュマ 1F・2E・3V・4L
- FVEL チェーホフ 1F・2V・3E・4L
- LEVF パスカル 1L・2E・3V・4F
- LVEF アインシュタイン 1L・2V・3E・4F
引用索引
- [1]アファナシエフ『愛の構文』(原題:Синтаксис любви、1987–1997)第二部「アントン・チェーホフ」 本文へ
- [2]アファナシエフ『愛の構文』(原題:Синтаксис любви、1987–1997)第二部「アントン・チェーホフ」 本文へ
- [3]アファナシエフ『愛の構文』(原題:Синтаксис любви、1987–1997)第二部「アントン・チェーホフ」 本文へ
- [4]アファナシエフ『愛の構文』(原題:Синтаксис любви、1987–1997)第二部「アントン・チェーホフ」 本文へ
- [5]アファナシエフ『愛の構文』(原題:Синтаксис любви、1987–1997)第二部「アントン・チェーホフ」 本文へ
- [6]アファナシエフ『愛の構文』(原題:Синтаксис любви、1987–1997)第二部「アントン・チェーホフ」 本文へ
- [7]アファナシエフ『愛の構文』(原題:Синтаксис любви、1987–1997)第二部「アントン・チェーホフ」 本文へ
- [8]アファナシエフ『愛の構文』(原題:Синтаксис любви、1987–1997)第二部「ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ」 本文へ
